事業再構築補助金の令和5年度予算はどのくらい?過去の予算と採択件数もご紹介

中小企業の事業再構築を支援する事業再構築補助金は、2022年第2次補正予算でも予算が割り当てられ、引き続き2023年度も制度が実施される見通しです。そこで気になるのは、「予算はどのくらいなのか」、「予算に応じた採択件数はどのくらいか」という点ではないでしょうか。

本記事では、2023年度の事業再構築補助金の予算額や、過去の予算額・採択件数などをご紹介します。記事後半では、申請を検討されている方に向けて今年度の事業再構築補助金の特徴を解説しています、申請に向けた知識のひとつとして、ぜひ最後までご覧ください。

※:本記事は、執筆時点の情報をまとめたものです。最新情報と異なる可能性があるため、各種補助金制度の詳しい情報については公式サイトも併せてご確認ください。

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本記事でわかること

・2023年の事業再構築補助金の予算額

・過去の予算額と採択件数

・2023年度事業再構築補助金の特徴

2023年・令和5年度事業再構築補助金の予算額

2022年度(令和4年度)第二次補正予算にて、令和5年(2023年)の事業再構築補助金の予算が計上されました。金額は5,800億円となっており、前年度予算6,123億円と比較すると323億円削減されています。

なお、前年度の予算額で実施された第6回~第9回まででは、25,000件前後の事業計画が採択され、補助対象者として選出されています。多少の減額はありますが、今年度も引き続き同程度の採択規模採択が予想できます。

なお、2023年度の事業再構築補助金は全3回の開催を予定しており、まもなく最新公募の第11回公募の詳細が発表される見込みです。補助金の利用を検討されている方は、今のうちから申請準備を進めてみてはいかがでしょうか。

認定経営革新等支援機関の選定・必要書類の準備・事業状況の分析など、どんな手順で申請を行うのか確認したい方は、下記記事も参考にしてみてくださいね。

事業再構築補助金申請ガイド|2023年度・第10回公募の変更点や補助金額をご紹介

事業再構築補助金を受け取るまでの流れを解説!電子申請の詳細や注意点もご紹介

過去の事業再構築補助金予算額と採択件数をご紹介

2021年春に第1回公募がスタートした事業再構築補助金は、2020年の第3次補正予算以降、定期的に予算が組み込まれています。ここでは、これまでの事業再構築補助金の予算額を見ていきましょう。

2020年度(令和2年度)の第3次補正予算では、1兆1,485億円もの金額が割り当てられました。

当時は新型コロナウイルス感染症の影響が長期化しており、外食産業や宿泊業など一部の業種の需要・売り上げ回復の見込みが立っていない状況でした。政府はこうした状況を受け、事業再構築を目指す中小企業の支援を目的として「中小企業等事業再構築促進事業」を発表。その核として事業再構築補助金がスタートしたのです。

2020年第3次補正予算が割り当てられた第1回~第5回公募では、約39,000件の事業計画が採択されました。

第1回:2,866件
第2回:9,336件
第3回:9,021件
第4回:8,810件
第5回:9,707件

2021年度(令和3年度)には、業況支援・事業再生に取り組む事業者の支援を継続させつつ、「売上高減少要件」を緩和させるなど使い勝手を向上させた内容で補助金制度を改正。中小企業が変化する社会情勢や新たな制度に対応できるよう、申請枠や補助上限額を改訂しました。

前述の通り、2021年度補正予算が割り当てられた第6回~第9回公募では、約25,000件前後の事業計画が採択されています。

第6回:7,669件
第7回:7,745件
第8回:6,456件
第9回:4,269件

上記と2022年度第二次補正予算の一部で行われた第10回公募を合わせ、過去3年間で3度の予算が計上され、10回の公募が実施されています。

それぞれの採択件数にはバラつきがありますが、毎回数千件の事業計画が採択されていますので、今年度についても書類準備・具体性のある事業計画を策定することで、採択の可能性は十分にあると考えられます。

なお、各回の採択率詳細や応募件数が気になる方は、下記記事もご覧ください。

事業再構築補助金の採択率はどれぐらい?過去の業種別割合や申請時のポイントを紹介

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2023年・令和5年度事業再構築補助金のポイント

2022年第2次補正予算に計上された2023年度の事業再構築補助金は、中小企業のさらなる事業転換・新分野展開などを支援するため、新申請枠・既存申請枠の拡充などを実施しました。ここからは、申請を検討されている方に向けて、知っておくべき特徴を4点ご紹介します。

新規設立された3つの申請枠

第10回公募より、新たに設けられた成長枠、産業構造転換枠、サプライチェーン強靭化枠の3申請枠が設けられました。

成長枠は第9回までの通常枠に代わり設けられた申請枠で、売上高減少要件が撤廃され、幅広い企業が申請できる枠組みとなりました。補助金額は従業員規模に応じて2,000万円~7,000万円までとなっています。

産業構造転換枠は成長枠同様の最大7,000万円までの補助を受けられる申請枠ですが、廃業費の上乗せが可能な点が特徴です。上乗せ金額は最大2,000万円となっており、業種・業態の転換における負担を大きく軽減できるでしょう。

サプライチェーン強靭化枠は、海外に拠点を置く製造業の国内回帰支援・国内サプライチェーンと地域産業活性化を目的とした申請枠です。

最大5億円もの補助上限金額を設定し、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等を支援するものです。事業再構築指針の国内回帰類型に該当する事業でのみ申請可能となっていますので、検討の際には公募要領や当サイトの解説記事で詳細をご確認ください。

事業再構築補助金申請ガイド|2023年度・第10回公募の変更点や補助金額をご紹介

「グリーン成長枠」の拡充

グリーン成長枠は、環境に配慮した事業展開を支援する申請枠で、第6回公募から設けられました。第10回公募からは、エントリー類型とスタンダード類型に2分され、使い勝手が向上しています。

エントリー類型は開発期間や従業員といった要件が緩和されており、小規模の企業・個人事業主も活用できる類型です。スタンダード類型はこれまでのグリーン成長枠同様、最大1.5億円の補助上限金額が設けられており、本格的な事業再構築計画に活用しやすい類型となっています。

賃上げ達成時のインセンティブ

これまでに紹介した申請枠のなかで、成長枠とグリーン成長枠のふたつは、補助事業期間内に下記2点を達成した際、補助率が2/3に引き上げられるインセンティブが用意されています。

①給与支給総額を年平均6%増加

②事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げ

どちらも給与に関連する項目となっており、達成できれば費用負担の軽減だけでなく、従業員のモチベーションアップも期待できるでしょう。

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大幅賃上げ・企業規模拡大を支援する追加申請枠

第10回公募では、成長枠・グリーン成長枠を活用する事業者に向け、補助費用を上乗せする追加申請枠として卒業促進枠大規模賃金引上促進枠が用意されました。

卒業促進枠は、下記条件を満たすことで申請枠に応じた補助金額・補助率1/2の追加補助金が給付されます。

・同一の公募回で成長枠またはグリーン成長枠に申請する
・成長枠またはグリーン成長枠の補助事業の終了後3~5年で中小企業・特定事業者・中堅企業の規模から卒業する(※)

※:中小企業は特定事業者、中堅企業又は大企業に成長、特定事業者は中堅企業又は大企業に成長、中堅企業は大企業に成長する必要があるなど、応募時点での企業規模により達成要件が異なります。

大規模賃金引上促進枠は、大規模な賃上げに取り組む事業者を支援する内容となっており、下記内容を満たすことで最大3,000万円、補助率1/2の追加補助金が給付されます。

・同一の公募回で成長枠またはグリーン成長枠に申請する
・成長枠またはグリーン成長枠の補助事業の終了後3~5年の間に、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き揚げる
・成長枠またはグリーン成長枠の補助事業の終了後3~5年の間に、従業員数を年率平均1.5%以上(最低事業計画期間×1人の増員が必要)増員させる

なお、上乗せ申請枠はどちらか片方のみ利用できます。どちらの申請枠を利用するのに適しているか、準備段階で自社の事業・業況を分析しておきましょう。

既存枠を統合した「物価高騰対策・回復再生応援枠」

第9回の回復・再生応援枠および緊急対策枠を統合し新たにスタートしたのが物価高騰対策・回復再生応援枠です。

新型コロナウイルスや物価高騰により厳しい業況にある事業者・事業再生に取り組む事業者を対象としており、売上高や事業計画に関する要件が撤廃され、統合前と比較して申請のハードルが抑えられています。

補助上限金額最大3,000万円、補助率は2/3(一部3/4)となっています。補助率が高めに設定されており、業況改善を検討している経営者・個人事業主の方は、再構築費用の負担をより軽減できるこちらの申請枠を検討してはいかがでしょうか。

まとめ

事業再構築補助金は、2020年の第3次補正予算以降継続して予算が計上されています。新型コロナウイルス以降、絶え間なく変動する社会情勢と新たな制度への対応に尽力する中小企業を支援するため、2023年度も引き続き公募が行われる予定です。

製造業・宿泊業・飲食業など幅広い業種を対象としており、さまざまな企業・個人事業主が申請可能ですが、申請にあたっては事業計画書をはじめとした書類提出が必要です。

申請を検討されている方は、まず本サイトの記事や説明会に参加し、制度の詳細や必要となる書類を把握してみましょう。また、「補助金の窓口」では、補助金制度に関する無料の電話相談窓口を設置しています。お気軽にお問い合わせください。

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