事業再構築補助金の採択率はどれぐらい?過去の業種別割合や申請時のポイントを紹介

新たな分野への挑戦、業態転換などを通して自社の事業を再構築する中小企業を支援するための補助金「事業再構築補助金」。申請前に知っておきたいのが、「採択率」です。

毎年どれだけの事業者が申請し、どれだけの事業計画が採択されているのか。申請の検討材料として採択率を調べている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、2021年春の第1回公募から、2023年初春の第9回公募までの採択率を一挙にご紹介。さらに、最新の第9回公募採択結果を分析し、「採択された業種」「採択された補助金額」などから見える採択のポイントを解説します。

また、記事後半では採択につながるポイントもご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

※:本記事は、執筆時点の情報をまとめたものです。最新情報と異なる可能性があるため、各種補助金制度の詳しい情報については公式サイトも併せてご確認ください。

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本記事でわかること

・過去の事業再構築補助金の採択率

・第9回事業再構築補助金の申請・採択内訳詳細

・事業再構築補助金の採択率を上げるポイント

事業再構築補助金|第9回までの採択率を一挙紹介

さっそく、気になる過去公募の採択率を確認していきましょう。2021年春の第1回~2023年初春の第9回まで、過去の全公募の採択率は下記の通りです。

※複数の事業者で連携している申請は、構成員数に関わらず1件としてカウントしています。

事業再構築補助金は社会情勢や企業を取り巻く状況の変化を受け、公募ごとに申請枠や公募要領が改訂されます。それにより採択事業の詳細が異なるため、参考程度のデータとはなりますが、各公募で約45~50%の採択率となっていることが分かります。

採択率から分かる通り、事業再構築補助金は「応募すればほぼ確実に採択される補助金」とは言い難く、採択のためには補助金制度の目的に沿った事業計画の策定・公募要領に倣った書類の準備などを進めなければなりません。

申請前には、ある程度まとまった時間と自社の正確な分析が必要となるでしょう。

第9回公募の採択結果を徹底分析!

(引用:事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金第9回公募の結果について」より)

採択率を上げるためには、審査の中心となる事業計画書のクオリティを高めることが大切です。そこで、ここからは最新公募である第9回公募の結果から、どのような事業が採択される傾向にあるのかを見ていきましょう。

採択された事業の補助金額はどのくらい?

(引用:事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金第9回公募の結果について」より)

再構築事業の規模をはかる目安にもなる補助金額は、事業計画における主要素のひとつです。

第9回公募においては、応募・採択金額のうち最も多い比率は100万円~1,500万円までの小~中規模の事業計画となっています。また100万円~1,500万円までのデータをさらに細かく分析すると、501~1,000万円の比率が高くなっています。

これらのデータと過去の採択事例における費用内訳から推測すると、「新分野展開に向けた機器の購入費」、「新事業に必要となるシステムの導入費」など、新事業・新業態の軸となる大型機器・システムの導入費用を含む事業計画が採択される傾向にあると考えられます。

業種別の採択比率はどのくらい?

(引用:事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金第9回公募の結果について」より)

上記画像から分かる通り、幅広い業態・事業が補助対象となる事業再構築補助金では、毎年さまざまな事業計画が採択されています。

応募件数と採択件数を比較してみると、製造業の採択比率が最も高く、次に卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業の比率が高くなっています。

単純な日本全体の事業者比率によるところもあるでしょうが、「思い切った事業再構築に取り組む中小企業の挑戦を支援する」事業再構築補助金として、中小企業の多い業種の採択率が高くなっているのは嬉しい要素と言えるでしょう。上記で挙げた業種の方は、積極的に申請を検討してはいかがでしょうか。

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採択された企業が申請時に利用した認定支援機関は?

(引用:事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金第9回公募の結果について」より)

事業再構築補助金の補助対象要件のひとつとして「事業計画書が認定経営革新等支援機関の確認を受けている」ことがあります。

認定経営革新等支援機関とは、国によって認定された「税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に関する実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関」を指します。

機関として認定されている職種・団体は複数にわたり、銀行・金融機関や商工会議所といった事業者と関わりの深い企業・団体だけでなく、コンサルタント・中小企業診断士・行政書士のような事業分析のプロフェッショナルも含まれています。

第9回公募においては、地銀・信用金庫・銀行といった金融機関が最も採択率の高い認定経営革新等支援機関となっています。これは、「補助金額3,000万円以上の申請案件は、金融機関による事業計画の確認が必要となる」という条件が関係しています。

補助金額3,000万円以上の場合、策定した事業計画を認定経営革新等支援機関と金融機関のふたつに確認してもらう必要があります。しかし、金融機関が認定経営革新等支援機関である場合には、この確認を統合することが可能なのです。

また、数千万円単位の事業計画を練る際に重要となるのが、資金繰りの具体性です。事業再構築補助金は、申請事業の完了後に補助金が交付されるため、事業実施時には別途資金源を確保する必要があります。

その際に検討される手段が「つなぎ融資」です。事業の策定とあわせて融資先を探すことも可能ですが、認定経営革新等支援機関がつなぎ融資に強いコネクションを持っている、あるいは機関自体がつなぎ融資に対応しているのであれば、よりスムーズに事業計画を策定できるでしょう。

こうした理由から、3,000万円を超える事業計画の策定をおこなう事業者は、手続きの手間を抑えるために金融機関を利用する傾向にあります。

そのほか、100件以上の案件数を持つ機関のなかで、国家資格者である中小企業診断士の採択率が高い点も注目すべき要素です。

中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家であり、法律上の国家資格として一定の能力を持つ専門家のみが認定されています。

経営診断および改善のためのアドバイスを行う中小企業診断士は、事業再構築およびそれに伴う事業計画策定のプロと言える存在です。こうした特性をふまえ、クオリティの高い事業計画の策定を目指す事業者が中小企業診断士を利用しており、その傾向が件数に表れていると分析できます。

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採択率を上げるために意識すべきポイント

ここまで、過去の採択結果から採択につながる要素を分析してきましたが、ここからは実際に事業計画を策定する際に抑えておきたいポイントを3つご紹介します。

申請手順のポイントやスケジュールなど、申請に関する詳細を知りたい方は、下記記事もご覧ください。

事業再構築補助金申請ガイド|2023年度・第10回公募の変更点や補助金額をご紹介

加点項目を意識する

事業再構築補助金には、採択に有利となる要素として加点項目が設けられています。例として、第10回公募における加点項目の一部をご紹介します。

①成長枠・グリーン成長枠・サプライチェーン強靱化枠に申請するとともに、大幅な賃上げを実施する事業者
②大きく売上が減少し、業況が厳しい事業者
③最低賃金枠に申請する事業者
④経済産業省が行う EBPM (エビデンスに基づく政策立案)の取組みに協力している事業者
⑤パートナーシップ構築宣言を行っている事業者

上記のような指定条件を満たし、別途必要となる書類を提出すると、審査において採択されやすくなるのです。採択率を上げたい方は、事業計画書を共同作成する認定経営革新等支援機関や国家資格者の中小企業診断士や行政書士に相談しつつ、申請する事業で達成できる加点項目を検討してみましょう。

申請書類のチェックは厳密に

事業再構築補助金では、事業計画書とあわせて複数の書類を添付し申請をおこないます。書類が揃っていない・書類内容に不備がある場合不採択となるため、書類準備・書類内容のチェックは時間をかけておこないましょう。

なお、申請枠を問わず提出が必要となる必須書類は下記の通りです。

・事業計画書
・認定経営革新等支援機関による確認書
・決算書等
・経済産業省ミラサポplus「電子申請サポート」により作成した事業財務情報
・従業員数を示す書類
・収益事業を行っていることを説明する書類

上記に加え、申請枠ごとに必要となる書類を適宜提出します。例えば、成長枠では「市場拡大要件を満たすことを説明する書類」、「給与総額増加要件を満たすことを説明する書類」の追加提出が必要です。

なお、補助金の窓口では第10回公募での提出書類をまとめた記事を公開しています。書類作成の詳細を把握したい方は、下記記事もあわせてご確認ください。

事業再構築補助金の書類作成方法を解説!必要書類や事業計画書策定のポイントもご紹介

事業計画に盛り込むべき要素とは?

主な審査項目となる事業計画の策定は、採択に最も影響する要素です。可能な限り「正解」に近い事業計画を練りたいというのは、誰もが思うことでしょう。

しかし、事業再構築補助金は事務局の有識者による審査がおこなわれるため、機械審査のような「必ず採択される方法」は存在しません。ただし、過去の採択事例から分析すると、「盛り込むべき要素」は見出すことができます。

・既存のノウハウや具体的な根拠をもとに、新事業の収益モデルを具体的に示す
・申請する事業再構築類型の要件を満たしていることを、客観的な資料に基づいて説明する
・補助金の利用目的や購入予定の設備を明記し、事業のビジョンをハッキリと伝える

上記3点は、過去の採択事例にて盛り込まれていた要素の一部です。共通するのは、「具体性」です。事業計画の策定においては、資料や費用詳細を明記するとともに、将来の付加価値額向上や事業再構築について説得力のある事業内容を記すことが重要であると言えるでしょう。

まとめ

事業再構築補助金の採択率は公募ごとにやや差があるものの、45%~50%ほどとなっています。高いとは言えない採択率であることをふまえ、制度を正しく理解し、書類に不備が無いようしっかりと準備をしたうえでの申請が大切です。

なお、申請・審査の要となるのが、事業再構築の指針を示す事業計画書です。どのような事業を実施するかだけでなく、希望する補助金額やその使い道なども記す必要があり、現在の事業状態・新事業に必要となる設備など、幅広い要素を分析する必要があります。

こうした作業をフォローするのが、共同で事業計画書を策定する認定経営革新等支援機関や国家資格者の中小企業診断士や行政書士です。なかには、申請書類の作成や採択後の事業実施・事業報告などをフォローする機関もあり、認定経営革新等支援機関の選定は事業再構築補助金の申請・交付において重要な手順のひとつとなっています。

補助金の採択実績を持つ「補助金の窓口」では、事業再構築補助金のご相談にも対応しています。平日の10時~18時にはLINE電話による無料相談にも対応していますので、事業再構築補助金の申請を検討されている方、そもそもどの補助金に申請するか悩んでいる方も、ぜひお気軽にお問合せくださいませ。

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