事業再構築補助金の採択率はどれぐらいになるのか

事業再構築補助金採択率

 

新型コロナウイルスの感染が、まだまだ収まる気配を見せません。日本だけでなく、世界でも感染拡大の勢いが止まりません。
ワクチン接種も進んでいますが、副作用が多数報告されていて、人々に新たな不安が広がっています。

そのように仕事やプライベートで人々の行動が制約されている中、売上が激減し、廃業ギリギリで踏ん張っている経営者が、さまざまな業種でたくさんいらっしゃいます。

そこで、コロナ禍の影響で売上が低迷している状況を打開して、アイデアを出して新商品を開発したり、今までとは違うジャンルに進出してマーケットを開拓したりする、新たなチャレンジを行う企業を経済的に支援するため、2021年春から始まる新しい補助金が、「中小企業等事業再構築推進補助金」(事業再構築補助金)です。
事業再構築補助金 製造業について

ただし、初めて行われる補助金ですから、どういうタイプの新チャレンジでは採択されやすく、どうなると採択されづらいのか、ハッキリしていません。
採択率がどれぐらい高いのかも、事業再構築補助金に、実際に申請を行おうと考えている方々にとっては気になる点には違いありません。

この記事では、事業再構築補助金の採択率が高くなりやすい(おおむね80%以上)と予想される理由と、採択率が上がりにくいと考えられる理由にの双方について、それぞれ考察していきます。

事業再構築補助金の採択率が引き上がると予想される理由

採択率が80~90%以上と、比較的高くなりそうな根拠について挙げます。

1.事業再構築補助金のために確保された予算が潤沢

2020年12月15日の臨時閣議で、日本政府はコロナ対策と追加経済政策をともなう追加歳出(第3次補正予算案)を決定しました。総額にして21兆8353億円にものぼります。

その予算を確保するために、22兆円を超える新規の国債を追加発行しました。日本国の財政は「世界一の赤字」だといわれて久しいですが、その赤字をさらに広げてでも、コロナ禍で苦しんでいる事業者を救済する経済対策を取ろうと覚悟しているのでしょう。

第3次補正予算のうち、追加経済対策に充てられたのが19兆1761億円で、このうち、中小企業等事業再構築推進補助金に、1兆1485億円を計上しています。

通常、補助金に充てられる予算は、年間1000億円を超えても多いほうです。
たとえば、ものづくり補助金や持続化補助金、IT導入補助金は「中小企業生産性革命推進事業」として、年間3000億円ほど割り当てられていますので、各ひとつの補助金あたり1000億円程度となります。

そこからも、事業再構築補助金に割り当てられた予算がいかに巨額か、うかがい知ることができます。

巨額の予算が投じられるということは、全国の中小企業から、想定以上に多くの申し込みがあったとしても、十分に対応する余裕がある事実も意味します。
ひいては、採択率を引き上げる要因になりえます。

2.事業再構築補助金の社会的要請が高い

新型コロナウイルスの影響は、多くの企業に深刻な売上減というピンチをもたらしました。
単なる業績不振ではなく、緊急事態宣言・外出自粛要請などの影響で、小売店から客足が遠のき、それほど新型コロナの感染者がいない地域にまで「不要不急の外出を避けるように」との大手在京メディアのメッセージが伝わりすぎて、店舗売り上げが落ち込んでいる現状もあります。

小売店の売り上げが落ち込むと、そこへ物品を卸していた業者や人材を派遣していた業者も、波及効果で売上が悪化しやすくなります。

そこで、事業再構築補助金のように、売上減の状況を改善しようと果敢に、新しい取り組みにチャレンジしている経営者を力強くバックアップする救済策は、経済的に、ひいては倫理人道的にも求められています。

よって、採択率が通常の基準より高くなっても、国民からの批判は起きにくい状況にあるはずです。

採択率の高い持続化給付金と、性質が似ている

いわゆる持続化給付金(小規模事業者持続化補助金)は、販路拡大の取り組みを支援するものであるが、やはり中小企業や個人事業主などの小規模事業者向けであり、しかも「低感染リスク型ビジネス枠(旧:コロナ特別対応型)」という、新型コロナウイルスなど感染症リスクの対策で有利な条件を提示するなど、事業再構築補助金に、制度趣旨が近いところがあります。

そんな持続化給付金の採択率は、毎回おおむね80%を超える高い水準を示しています。よって、事業再構築補助金でも高い採択率になる可能性があります。
事業再構築補助金 飲食店について

事業再構築補助金の採択率が決して高くないと予想される理由

一方で、採択率が70%台、あるいはそれ未満と、それほど上がらないと考えられる根拠について挙げます。

1.補助枠の額が最大で数千万円台と大きい

たとえば、ものづくり補助金のように、補助枠の額が最大で数千万円台になる大型の補助金では、採択率があまり上がらない傾向にあります。
ものづくり補助金の場合の採択率は、公募回によって大きく変化しますが、おおむね30%~60%台と決して高くなく、採択までのハードルは厳しく設定されています。

事業再構築補助金は、通常枠で最大で6000万円、特別枠で最大1億円をサポートする大型の補助金事業であり、その上限額はものづくり補助金を上回っています。
たとえ、1兆円を超える予算が組まれているとしても、1事業者あたりの補助枠が大きいために、決して予算に余裕があるわけではなく、ものづくり補助金と同じように、それほど採択率が高くならない可能性があります。

2.コロナ対策としての緊急性がそれほど高くない

新型コロナウイルスの感染拡大による経済の低迷は、たしかに今までに無かった未曾有の水準で深刻でした。
しかし、企業の倒産件数は2019年と比べて、むしろ減少傾向にあります。
たしかに、売上が大幅に下がった企業は多いのですが、それ以上に、銀行などの金融機関が積極的に融資をしていますし、実質的に無利息の融資枠も多くなりました。

また、売上が大幅に減った事実を証明するだけで、持続化給付金によって中小企業に200万円、個人事業主に100万円が支給されています。
このほか、緊急事態宣言が出ている地域の飲食店は、営業時短要請に応じれば、売上減を埋め合わせる補償も受けられるようになっています。

さらに言えば、事業再構築補助金の公募開始は、2021年3月に予定されていましたが、2021年3月26日にようやく公募が始まり、申請の受付は、4月15日と発表されました。

そもそも、補助金という制度が「事業者が先に経費を払って、補助金が後で一部を埋め合わせる」ものです。実際に補助金が振り込まれるのは半年~1年、あるいはそれ以上かかりますし、経費の全額が埋め合わせられるわけではありません。
よって、事業再構築補助金は、その性質上、財務面である程度の余裕がある事業者が申請するイメージです。

つまり、持続化給付金や金融機関による特別の無利息融資などに比べれば、事業再構築補助金はそこまで緊急の救済策ではないと考えられています。

3.当初よりも条件が厳しいことが判明

事業再構築補助金が最初に発表されていた頃のパンフレットには「ヨガ教室がオンラインレッスンを始めた」「ガソリンスタンドが地域の健康を振興するためフィットネスジムを開始」などの事例が書かれていました。

ただ、3月17日に経済産業省・中小企業庁が発表した『事業再構築指針の手引き』によれば、補助対象となる新しい取り組みの条件が細かく定められていることが判明しました。ただ単に「オンラインレッスンを始めた」「異業種に進出した」だけでは採択されませんので、採択率も思いのほか低くなる可能性があるのです。