個人事業主がIT導入補助金を受けるための基本。インボイス制度対応

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※2023年(令和5年度)4月新年度補助金申請相談受付中!

ビジネスの生産性を向上させるため、新しいITツールを導入する事業者が増えています。インターネットやAIなどと連携させたIT技術が発達して、以前よりもさまざまな取り組みが自動化できるようになったからです。

【2023年】インボイス制度への対応にIT導入補助金(デジタル化基盤導入類型)の記事はこちらをご覧ください。

生産性を上げるITツールを新たに導入するには、それ相応の費用がかかります。

しかし、経済産業省や中小機構などが主導して進めている「IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)」によって、導入の初期費用について経済的な負担を減らすことができます。

会社と比べて経済的な基盤や取引での立場が弱く、ときに資金繰りに苦しむこともある個人事業主ですと、特に補助金を受け取りたい人が多いのではないでしょうか。

この記事では、個人事業主はIT導入補助金を受け取ることはできるのか、受け取るためにどのような点に気をつけるべきか、解説していきます。

例外的にIT導入補助金を受け取る資格がない個人事業主の例

結論から申し上げると、IT導入補助金の申請をするにあたって、法人か個人かの区別はありません。

補助金の内容を公式に解説する「IT導入補助金公募要領」によれば、申請できる資格がある者として『生産性の向上に資するITツールを導入する中小企業・小規模事業者(個人事業主)であること』と明記されているからです。

事業規模や従業員数が比較的少ない事業者をサポートする補助金ですから、むしろ、大企業にIT導入補助金を受け取る資格がないのです。

ただし、個人事業主でも、次の場合は補助金を申請する資格がありませんので、注意してください。

    • 風俗営業法にいう「風俗営業」、「性風俗関連特殊営業」及び「接客業務受託営業」を営んでいる個人事業主
    • 反社会勢力の個人事業主、または反社会勢力となんらかのかかわりがある個人事業主

⇒ こうした立場の人々に補助金を交付することには、一般に国民からの批判が強いと考えられますので、あらかじめ排除されています。

    • ITツールを導入する予定がない、あるいはITツールを導入することで、生産性向上が実現する事業計画を立てられない個人事業主

⇒ なんとなく欲しいから、かっこよさそうだから、知り合いも持っているから導入したいという動機では、補助金を受けられません。将来の生産性や売上の向上を数値化して説明する事業計画書を作成できるほどの具体的なビジョンが必要です。

    • 経済産業省から補助金等交付停止措置または指名停止措置が講じられている個人事業主

⇒ 「過去に、偽りなどの不正な手段で補助金を受け取ったことがある」「補助金を他の目的に流用したことがある」「補助事業に付いた交付決定や条件などに違反した態様が悪質だった」個人事業主に対しては、ペナルティとして補助金を受け取る資格が一時的に停止されることがあります。

    • すでに本年の「IT導入支援事業者(ITベンダー)」として登録済みの個人事業主

⇒ IT導入支援事業者は、補助金を受け取りたい個人事業主にITツールを販売したり、サポートを提供したりする立場です。ITツールを他社に提供する立場にある個人事業主が、ツールを自分自身で導入するなどして申請を行うことは、IT導入補助金制度の趣旨に反します。

【2023年】インボイス制度への対応にIT導入補助金(デジタル化基盤導入類型)の記事はこちらをご覧ください。

個人事業主がIT導入補助金を申請しやすいITツール

まず、IT導入支援事業者(ベンダー事業者)が提供するITツールを購入・導入を予定している場合に限って、個人事業主に対しIT導入補助金の交付が認められます。

欲しいITツールを提供している業者が、たしかにベンダー事業者として登録済みであるかどうかを、まず確認しましょう。

一般社団法人サービスデザイン推進協議会が作成しているIT導入支援事業者・ITツール検索で、事前に調べることができるので、活用すると便利です。
関連記事のご紹介:IT導入補助金申請するならITベンダー事業者の基本について解説

補助対象となる生産性を向上させるためのITツールには、たとえば「労務・教育訓練・給与計算・人事」など、バックオフィス部門の業務を効率化するソフトがありますが、これらは従業員を雇用していることが前提ですから、個人事業主には不要なITツールです。

また、「調達・在庫管理・資金回収管理・物流・顧客対応・販売支援」などは、業種によっては個人事業主が行うこともありますが、その事業規模から考えて、補助金によるサポートが必要なほど高価なツールを導入しなければならない場面はほぼないはずです。

個人事業主がIT導入補助金を利用しやすいのは、ホームページの作成やそれにともなうITツールの導入です(ホームページ作成のみではIT導入補助金の対象になりませんので、ご注意ください)。
関連記事:IT導入補助金対象ソフト一覧

たとえば、次のような機能があるホームページを新たに作成する場合は、IT導入補助金の交付決定が出る可能性が高いです。

  • 顧客の日時予約システム
  • 会員登録・ログイン機能(訪問したユーザー別のコンテンツ閲覧機能)
  • 問い合わせチャット機能
  • ホームページ内コンテンツのキーワード検索機能
  • 商品購入・代金決済機能(ECサイト)
  • 売り上げ管理ツール
  • 集客ツール

また、こうした動的ホームページの導入に関して、個人事業主がITベンダー事業者から助言やサポートを受けた場合は、そのコンサルティング費用についてIT導入補助金の交付を受けることもできます。

【2023年】インボイス制度への対応にIT導入補助金(デジタル化基盤導入類型)の記事はこちらをご覧ください。

IT導入補助金の交付決定が出る可能性を上げるには?

個人事業主・フリーランスも、法人と特に区別なくIT導入補助金の申請をすることができます。だとしても、会社に比べれば業務のスケールが比較的小さいので、「こんな私に国から補助金なんて下りるのだろうか」と不安になる気持ちもわかります。

そこで、IT導入補助金の交付決定が出る可能性を補強する方法についてご紹介します。

事業計画書の完成度を上げる

個人事業主は、「依頼を受けた仕事を、ひたすらこなしていく」感覚の人が多いですし、誰かに相談や宣言をしなくても自己完結させられます。

よって「来年以降、3年後、5年後、どれほどの売上を上げている自分でいたいか」を考える機会が少ない傾向にあります。

そんな中、得意分野を生かしながら日々の仕事を進めていく自分自身と改めて向き合い、事業計画書を具体的かつ詳細につくれる個人事業主は、申請を審査する側にいい印象を与えるでしょう。

何から何まで一からオリジナルで書くのでなく、一定の型(テンプレート)に沿って書いたほうが楽ですし好印象です。また、事業内容をイラストで図示したり、売上や顧客数の変化をグラフで表せると、わかりやすくなります。

事業計画書の作成法に関する本を読んだり、セミナーを探して参加したりすると、より完成度が高まります。

おもてなし規格認証にチャレンジする

おもてなし規格認証を取得していると、IT導入補助金が採択される可能性が高まる「加点事由」になることがわかっています。
おもてなし規格認証とは、たとえば飲食業、小売業、宿泊業や旅客運送業といった観光関連産業の事業者など、顧客への高品質なホスピタリティを提供する全業種の事業者が、さらなる高品質なおもてなしサービスを提供し続けるため、『付加価値経営の推進』『デジタルトランスフォーメーション(DX)の促進』『新規雇用獲得と定着、維持』

「金」「紺」と最高ランクの「紫」の3段階があります。
また、訪日外国人観光客(インバウンド)対応に積極的に取り組んでいると認められる事業者には「トラベラー・フレンドリー認証」も与えられます。

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【2023年】インボイス制度への対応にIT導入補助金(デジタル化基盤導入類型)の記事はこちらをご覧ください。