【2024年版】リスキリングに活用できる補助金・助成金をご紹介!

現在の職業で求められるスキルの変化に対応するため、「リスキリング」が注目を集めています。本記事では、DX化や働き方改革に伴い重要性が増すリスキリングに取り組みたい中小企業・個人事業主に向けて、2024年度に実施されている補助金・助成金制度を詳しく紹介します。

行政・企業で注目される「リスキリング」とは?

リスキリング(Reskilling)とは新しい職業に就くため、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応を目的として、必要なスキルを獲得すること(させること)です。

近年はDX化に適応するためのスキル習得、働き方改革に伴う業務内容の改変が予想されており、該当職業につくためのスキル習得をリスキリングと呼ぶ傾向にあります。

2022年には新語・流行語大賞にノミネートされ社会的な注目も集めており、個人のみならず企業主体でのリスキリング促進が期待されています。

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2024年のリスキリングに使える補助金・助成金を紹介!

ここからは、企業によるリスキリング促進事業に活用できる補助金制度を紹介します。

なお、本記事で紹介する要素は制度の一部となります。申請可否を確認したい方や申請の手間を抑えたい方は、補助金・助成金の申請サポートを行う専門家への相談も検討してみましょう

人材開発支援助成金

事業主が雇用している労働者に対してリスキリングを目的とした訓練を実施した際、訓練期間中の経費や賃金を助成する制度です。

追加要件を満たせばeラーニングや通信制訓練も助成対象となるほか、利用しやすさの向上を目的に令和6年4月に制度の見直しが行われるなど、年度を追うごとに制度内容のブラッシュアップが進められています。

なお、「職業能力開発推進者」の選任と「事業内職業能力開発計画」の策定・周知を行っている事業主が対象となりますので、申請準備の際には注意しましょう。

実施する訓練内容に応じた支援を行えるよう、複数のコースが用意されていますが、本記事ではリスキリングに活用できる4つのコースを紹介します。

人材開発支援助成金「人材育成支援コース」

リスキリングを目的とした訓練にかかる経費や賃金の一部が助成されるコースです。

対象となる訓練として、下記の3つが指定されています。

訓練名 詳細
人材育成訓練 職務に関連した知識・技能を習得させるための10時間以上の訓練
事業活動と切り離して座学などを通して実施する(OFF-JT)
認定実習併用職業訓練 厚生労働大臣の認定を受けた実習併用職業訓練
OJTとOFF-JTを組み合わせて実施する
有期実習型訓練 有期契約労働者等に対し、正規雇用労働者等に転換するための訓練
OJTとOFF-JTを組み合わせて実施する

事業内訓練の経費に含まれる下記5つの経費が対象となります。

【対象となる事業内訓練の経費】

①部外講師への謝金や手当(※)

②部外講師の旅費(※)

③施設・設備の借上費

④学科や実技訓練等を行う場合に必要な教科書や教材の購入費

⑤訓練コース開発費

※:講師への車代、食費等は対象外

助成率は30~70%(企業規模や対象労働者、訓練規模により変動)、助成限度額は1人当たり10万円~50万円(企業規模や訓練時間により変動)となっています。

人材開発支援助成金「教育訓練休暇等付与コース」

有給教育訓練等制度を導入して、対象労働者が休暇を取りつつ訓練を受けた場合に助成金を交付するコースです。

3つの休暇制度に対して助成金が支給されます。

制度名 制度内容・支給額
教育訓練休暇制度 3年間に5日以上の取得が可能な有給の教育訓練休暇を導入した企業に30万円を支給
長期教育訓練休暇制度 30日以上の長期教育訓練休暇の取得が可能な制度を導入した事業主に20万円を支給
また、有給休暇に対して、1人につき1時間あたり960円/最大1600時間分(大企業の場合は1人につき1時間あたり760円/最大1200時間分)の賃金助成を支給
教育訓練短時間勤務等制度 30回以上の所定労働時間の短縮および所定外労働時間の免除が可能な制度を導入し、1回以上適用した事業主に20万円を支給(制度導入に対する助成金)

人材開発支援助成金「人への投資促進コース」

令和4年から8年度までの間のみ行われる期間限定のコースです。

「デジタル人材・高度人材の育成」「労働者の自発的な能力開発の促進」「柔軟な訓練形態の助成対象化」を目的とした3つの訓練、2つの訓練促進に対して助成金が交付されます

【デジタル人材・高度人材の育成・柔軟な訓練形態の助成対象化】

訓練名 訓練内容
高度デジタル人材訓練(成長分野等人材訓練) ITスキル、DX推進スキルのレベルアップ(※)を目的とした海外を含む大学院での訓練
情報技術分野認定実習併用職業訓練 IT分野未経験者の即戦力化を目的とした、OFF-JTとOJTを組み合わせた訓練
定額制訓練 労働者の多様な訓練の選択・実施を可能とするサブスクリプション型研修サービス「定額制訓練」

※:ITSS・DSS-Pレベル3・4

【労働者の自発的な能力開発の促進】

制度・施策名 制度・施策内容
長期教育訓練休暇等制度 働きながら訓練を受講するための長期休暇制度・短時間勤務等制度を導入する事業主への助成拡充
自発的職業能力開発訓練 労働者が自発的に受講した訓練費用を負担する事業主に対する助成

各項目の助成額および助成率は下記の通りです(かっこ内は中小企業以外の数値)。

訓練 賃金助成額 経費助成率
高度デジタル人材訓練 960円(480円) 75%(60%)
成長分野等人材訓練 960円(※2) 75%
情報技術分野認定実習併用職業訓練(OFF-JT)(※1) 760円(380円)(※3) 60%(45%)(※4)
定額制訓練 60%(45%)(※4)
自発的職業能力開発訓練 45%(※5)
長期教育訓練休暇制度 960円(760円)(※6) 20万円(※7)
教育訓練短時間勤務等制度 20万円(※7)

※1:OJTを実施した場合20万円(11万円)、賃金要件を満たす場合25万円(14万円)
※2:国内の大学院を利用した場合に助成
※3:賃金要件等を満たす場合助成額960円(480円)
※4:賃金要件等を満たす場合助成率75%(60%)
※5:賃金要件を満たす場合60%
※6:有給休暇の場合のみ助成、賃金要件を満たす場合960円
※7:賃金要件を満たす場合24万円

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人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」

新規事業の立ち上げをはじめとした事業展開に必要となる知識や技能の習得を目的とした訓練を実施する場合、訓練の経費や賃金の一部を助成するコースです。

企業のDX化、グリーン・カーボンニュートラル化を進める際に必要となる専門知識や技能習得を目的とした訓練も助成対象となります。助成対象となる「事業展開」の定義は下記の通りです。

【事業展開の定義】

・新製品の製造やサービス提供を通した、新たな分野への進出

・事業や業種の転換

・既存事業のなかで製品やサービスの製造・提供方法の変更

対象となる訓練は「事業内訓練」と「事業外訓練」の2種類に分かれます。

【事業内訓練】

・自社で企画・主催・運営する訓練計画により、いずれかの要件を満たす社外より招へい

する部外講師により行われる訓練等

・自社で企画・主催・運営する訓練計画により、いずれかの要件を満たす部内講師により

行われる訓練等

・事業主が自ら運営する認定職業訓練

 

【事業外訓練】

・公共職業能力開発施設、職業能力開発総合大学校、職業能力開発促進法第15条の7第

1項ただし書に規定する職業訓練を行う施設、認定職業訓練を行う施設

・助成金の支給を受けようとする事業主以外の事業主・事業主団体の設置する施設

・学校教育法による大学等

・学校教育法第124条の専修学校、同法第134条の各種学校、これと同程度の水準の教育訓練を行うことのできる各種学校等

・その他職業に関する知識、技能、技術を習得させ、向上させることを目的とした教育訓練を実施する団体の設置する施設

事業内訓練では部外講師への謝金や手当、施設の借上費、教材購入費などを経費として申請可能です。事業外訓練では、受講に際して必要な入学料や受講料、教科書代などが対象経費となっています。また、ITSSレベル、DSS-Pレベル2・3・4資格試験をはじめとした特定の資格試験の受験料も対象です。

助成額は企業規模に応じて変動します。中小企業の経費助成は75%、賃金助成は1人1時間当たり960円。中小企業以外は経費助成60%、賃金助成は480円となります。

なお、下記の通り企業規模と実訓練時間数に応じて支給限度額が設定されているほか、支給は1労働者につき1年度3回、1事業所につき1年度最大1億円までとなっています。

企業規模 10時間以上

100時間未満

100時間以上

200時間未満

200時間以上
中小企業 30万円 40万円 50万円
中小企業以外 20万円 25万円 30万円

※1人1訓練当たりの金額。限度時間は1,200時間(専門実践教育訓練は1,600時間)

リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業

経済産業省が実施する、リスキリングやキャリア相談対応などを支援するための事業です。

事業内容としては、下記4つを含む事業を実施する事業者が対象です。

【対象事業者】

①キャリア相談対応

民間の専門家へのキャリア相談体制を構築し、支援を受ける個人がキャリアの棚卸しやリスキリングを行えるよう体制を整える取組

②リスキリング提供

キャリア相談対応等を踏まえて、リスキリング講座を提供する取組

③キャリア相談対応、リスキリング講座の受講を踏まえて、転職に向けた伴走支援・職業紹介を行う取組

④フォローアップ

支援を受けた個人の転職後フォローアップとして、転職後1年間の転職先での継続的な就業や賃金上昇の確認を行う取組

上記内容の通り、リスキリングの前段階であるキャリアプランの構築から転職活動までを支援する事業となっていますが、利用する労働者が転職しない場合でも一部助成金を受け取ることができます。

補助対象経費は5つの区分に分けられており、それぞれで補助率・補助金額が異なります。

【補助対象経費】

①キャリア相談、転職支援、求人開拓などにかかる人件費

②外部専門家がキャリア相談を実施する際の謝金

③申請事業の実施に必要な補助員人件費

④申請事業を実施するために必要な広告費、システム構築・運営費、その他経費

⑤個人がリスキリングを目的として講座を受講する際の費用負担軽減費

補助対象経費 補助率 補助金額
①キャリア相談、転職支援、求人開拓などにかかる人件費 1/2以内※1 ①~③が支援開始人数1人当たり合計10万円 に収ま るように設定。

(①×1/2+②×1/2+③×7/10で計算)

 

ただし、②に関しては1時間当たり 7,500円、支援開始人数1人当たり最大8時間が上限

②外部専門家がキャリア相談を実施する際の謝金 1/2以内
③申請事業の実施に必要な補助員人件費 7/10以内
④申請事業を実施するために必要な広告費、システム構築・運営費、その他経費 7/10以内 【広告費】
集客目標人数1人当たり2.5 万円以内
【システム構築・運営費】
集客目標人数に応じて100万円~7,000万円以内
【その他経費】
支援開始人数1人当たり1万円以内
⑤個人がリスキリングを目的として講座を受講する際の費用負担軽減費 定額を助成 リスキリング講座価格の1/2相当額(1人当たり40万円が上限)

2024年度は第5次公募まで予定されており、最新公募である第5次公募のスケジュールは近日中に公表される予定です。

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地方自治体が実施するリスキリング補助金・助成金

続いては、地方自治体が実施するリスキリング補助金のうち、東京都が実施する制度を一例としてご紹介します。

なお、地方自治体による制度は各自治体のホームページにて公募情報が公表されます。そのため、企業が在籍する都道府県・市区町村のホームページをこまめにチェックしなければなりません。

リサーチの手間を抑えたい方は、最新の補助金・助成金事情に詳しい申請サポート業者への相談も活用してみましょう

補助金例①:東京都「DXリスキリング助成金」

都内の中小企業が雇用者に対しDXに関する研修を実施した際、経費の一部を助成する制度です。都内企業のDX人材育成を促進させる目的で実施されています。

「レディメイド研修」または「オーダーメイド研修」に該当する研修が助成対象となります。

【レディメイド研修】

①教育団体や大学院、専門学校などの教育機関が計画した既存の公開研修

②集合研修(※)またはeラーニング

 

【オーダーメイド研修】

①申請企業等の従業員を対象として計画し、教育機関に委託して実施する研修

②集合研修(※)

※:オンライン会議システム等を利用したリアルタイム双方向研修も含む

研修の受講料、教材代、登録料、研修計画に要するヒアリング料などを対象経費として申請可能です。助成額は対象経費の3/4(受講者1人1研修あたりの上限75,000円)、助成限度額は100万円です。なお、上限額に達するまでは複数回申請が可能となっています。

補助金例②:東京都「事業内スキルアップ助成金」

従業員の職務に必要となる専門技能・知識の習得や向上、資格取得を目的とした研修を実施する都内中小企業を支援する事業です。

同時かつ双方向で行われるオンライン研修や集合研修が助成対象となっています。通信(添削方式)による研修は対象外となるため注意しましょう。

助成額は「助成対象受講者数×研修時間数×760円」、助成限度額は150万円となっています。なお、限度額に達するまでは複数回申請が可能です。

個人でのリスキリングを考えている方には「教育訓練給付金」がおすすめ

企業によるリスキリング促進を支援する補助金・助成金を紹介してきましたが、なかには「会社の動きとは別に特定の資格を取りたい」「個人事業主としてのスキルアップを行いたい」とお考えの方もいるかもしれません。

個人主体のリスキリング(リカレント)を検討されている方には、厚生労働省が実施する「教育訓練給付金」の活用がおすすめです。

給付対象となる教育訓練は約16,000講座にのぼり、具体的な講座は検索システムで絞り込みが可能です。対象訓練はレベルに応じて下記の3種類に分けられています。

【専門実践教育訓練】

・業務独占資格などの取得を目標とする講座

→歯科衛生士、保育士、調理師、看護師など

・デジタル関係の講座(高レベル)

→ITSSレベル3以上のIT関係資格取得講座など

・大学院、大学、短期大学、高等専門学校課程

→MBA、法科、教職大学院課程など

・専門学校の課程

→文部科学大臣認定の職業実践専門課程、キャリア形成促進プログラムなど

 

【特定一般教育訓練】

・業務独占資格などの取得を目標とする講座

→介護職員初任者研修、特定行為研修、大型自動車第一種・第二種免許など

・デジタル関係の講座

→ITSSレベル2の情報通信資格取得講座など

 

【一般教育訓練】

・資格取得を目標とする講座

→輸送や機械運転関係(大型自動車や建設機械の運転資格など)

→税理士、社会保険労務士、Webクリエイター、TOEIC、簿記検定など

・大学院などの課程

→修士、博士学位などの取得を目標とする課程

給付率や給付金額は教育訓練の種類ごとに定められています。

教育訓練の種類 給付率(最大) 給付金額(年間上限)
専門実践教育訓練 受講費用の70% 56万円
特定一般教育訓練 受講費用の40% 20万円
一般教育訓練 受講費用の20% 10万円

支給申請は対象講座の修了後、ハローワークまたは電子申請システムにて行います。支給タイミングが訓練修了後となる点に注意しましょう。

まとめ

本記事では、2024年度に利用できるリスキリング向けの補助金・助成金制度について解説しました

DX化や働き方改革の促進に伴い、リスキリングの重要性は高まるいっぽうです。企業は従業員のスキルアップを支援する制度を活用すれば、従業員の業務へのモチベーションアップ、競合企業との競争アップなども期待できるでしょう。

本記事を参考に、企業や個人の競争力強化にぜひ各種補助金・助成金をご活用ください。

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