事業再構築補助金は個人事業主・フリーランスでも利用可能!申請時のポイントもご紹介

2024年度も引き続き公募が行われる予定の事業再構築補助金。「ポストコロナに対応する中小企業等を支援する」制度ですが、その「中小企業等」に個人事業主・フリーランスが含まれるのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、個人事業主・フリーランスの方に向け、事業再構築補助金を解説していきます。申請時に必要となる書類や、注意すべき要件(採択されるための条件)もご紹介しますので、ぜひ申請前の参考にご一読ください。

また、記事の後半では個人事業主・フリーランスの方が利用できる他補助金制度や、自治体・各省庁による助成金制度の検索方法などもご紹介します。事業の費用負担を少しでも軽減させたい方は、ぜひ記事後半もチェックしてみてください。

【この記事の監修者】

ライズ法務事務所 行政書士 米山浩史
以前は霞が関(中央官庁)で国家公務員として補助金行政、許認可業務、政策の企画立案等に従事。また、各省庁から複数名ずつ派遣されて創設された省庁横断チームに参画して新しい支援制度の設立も担当した。業務で培った広い視野と制度知識をもとに、企業・事業者の補助金申請をサポートしている。

 

【行政書士 米山浩史氏からのコメント】
事業再構築補助金は補助上限額が高く、新しい取り組みにチャレンジする際に役立つ支援制度のひとつです。補助金制度は融資と違い、返済の必要がないことが大きな魅力となっています。

本記事で、制度の理解を深めつつ申請準備を進めてみてください。

※:本記事は、執筆時点の情報をまとめたものです。最新情報と異なる可能性があるため、各種補助金制度の詳しい情報については公式サイトも併せてご確認ください。

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本記事でわかること

・事業再構築補助金が個人事業主、フリーランスも対象となる理由

・個人事業主の採択事例

・個人事業主やフリーランスの方が申請時に注意すべきポイント

・個人事業主やフリーランスが利用できる補助金制度

個人事業主・フリーランスでも事業再構築補助金を利用できる

事業再構築補助金の事務局が発表する『公募要領』によれば、「特定の要件を満たす「中小企業基本法」第2条第1項に規定する者」を補助対象者とする、と書かれています。

そして、下記の通り中小企業基本法第2条第1項各号には「会社及び個人」と明記されていますので、個人事業主およびフリーランスの方も、事業再構築補助金の補助対象となるのです。

一 資本の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
中小企業庁:中小企業基本法より

また、2020年12月1日付 日本経済新聞の記事にて「現在は中小企業に最大200万円を給付する経済産業省の「持続化給付金」があるが、政府は予定通り21年1月までで受け付けを終える方向で検討している。新しい補助金は事実上の後継制度となる」と指摘されています。

2021年5月に申請を終了した持続化給付金は、会社だけでなく、個人事業主にも100万円を支給しました。事業再構築補助金が持続化給付金の事実上の後継制度なのだとすれば、やはり個人事業主・フリーランスを対象にしているのは自然の流れといえるでしょう。

事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響により長期的な売上の低迷に苦しむなか、ウィズコロナ・ポストコロナ時代に対応するための新市場進出、事業・業種転換や事業再編、国内回帰などの「事業再構築」に挑戦する中小企業を支援する補助金です。

法人よりも資本的な基盤が総じて弱く、発注元であるクライアント企業との間で立場の格差が生じやすく、ウィズコロナ・ポストコロナ時代にひとりで立ち向かわなければならない個人事業主やフリーランスの多くは、中小企業よりも新型コロナウイルス感染症の影響が直撃しているといえます。

よって、事業再構築補助金が導入されたそもそもの理由まで考え合わせた実質的な意味でも、「中小企業等」にフリーランス・個人事業主を含めなければ、全体のつじつまが合わないというべきなのです。

個人事業主の採択事例をご紹介

個人事業主・フリーランスの方が補助対象となる理由を解説してきましたが、ここからは実際に採択された事例をご紹介します。結果が公表されている最新公募から、個人事業主の採択例を下記にまとめました。

【飲食業】

ハンバーガーショップの店頭に無人冷凍販売所を導入、新規事業により顧客を獲得

ハラールに考慮したキッチン事業を展開し、フードダイバーシティを実現

 

【製造業】

半導体組み立て装置部品の製造および半導体製造業市場への新規進出

雇用拡大・生産体制強化を行い、光学系検査装置市場へ製品を展開

 

【建設業】

新事業として古民家の民泊施設へのリノベーション事業・民泊運営事業を開始

一級建築士の資格を持つスタッフによるDIY活性化事業の開始

 

【その他】

コンテナハウスで整骨院を増床、新たなスペースで運動・スポーツアロマ・栄養指導事業を開始

農園に加工場を建設、加工品の製造および自動販売機を使った新規販路開拓

個人事業主の方による事業計画は上記以外にも複数存在しますので、採択事例が気になる方は補助金公式ウェブサイトにある採択結果を確認してはいかがでしょうか。

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個人事業主・フリーランスが事業再構築補助金を利用する際に注意すべきポイント

個人事業主の方が事業再構築補助金に申し込む場合、法人や会社として申し込む場合と異なる書類が必要となります。また、事業計画の採択には複数の「要件(申請条件)」を満たす必要がありますが、個人事業主として申請する場合、一部要件は特に注意が必要です。

本項では、個人事業主・フリーランスの方が注意すべきポイントを2点まとめましたので、申請前に確認してみてください。

ポイント①個人事業主・フリーランスが用意すべき必要書類

個人事業主やフリーランスの方が事業再構築補助金に申請する際には、下記の書類が必要となります。

【必須書類】

①事業計画書

→最大15ページ、補助金額1,500万円以下の場合は10ページ以内で作成します。また、PDF形式で添付する必要があります。

 

②認定経営革新等支援機関および金融機関による確認書

→「認定経営革新等支援機関等によって、事業計画書の確認を受けていることが分かる書類」を指します。

 

③直近2年間の決算書

→貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表などが該当します。

→2年分を提出できない場合は、1期分のみを添付します。

 

④ミラサポplus「電子申請サポート」の事業財務情報

→「ミラサポplus」(https://mirasapo-plus.go.jp/)内の「電子申請サポート」を利用して作成します。また、PDF形式で添付する必要があります。

 

⑤従業員数を示す書類(労働基準法に基づく労働者名簿の写し)

→最低賃金枠に申請する場合には、最低賃金要件の対象となる3か月分の労働者名簿の提出も必要です。

 

⑥直近の確定申告書第一表及び所得税青色申告決算書の控え

→白色申告の場合は直近の確定申告書第一表及び収支内訳書の控えを提出します。

このうち、⑥の「直近の確定申告書第一表及び所得税青色申告決算書の控え」は個人事業主・フリーランスの方が申し込む場合にのみ必要な書類となります。忘れずに用意しておきましょう。

また上記は「必須書類」であり、申請枠や加点項目に応じて追加提出書類が必要となります。自身の検討している申請枠で必要となる追加書類を確認したい方は、事務局公式ウェブサイトの書類確認シートもご覧ください。

ポイント②「付加価値額要件」の達成

個人事業主・フリーランスの方が注意したい要件(採択されるための条件)が、すべての申請枠で共通の要件となっている「付加価値額要件」です。

【付加価値額要件】
申請時、以下2点のどちらかを達成する見込みの事業計画を策定すること

・補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0~5.0%以上増加
・従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0~5.0%以上増加

 

★付加価値額の増加率は申請枠ごとに下記の通り指定されています。
産業構造転換枠、最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠:3.0%
成長枠、グリーン成長枠(エントリー):4.0%
グリーン成長枠(スタンダード)、サプライチェーン強靭化枠:5.0%

事業再構築補助金では、付加価値額は「営業利益+人件費+減価償却費」の合計金額を指しますが、個人事業主・フリーランスの方はこのうちの「人件費」に注意が必要です。

人件費のほとんどは、従業員に支払う給与が占めています。たとえば、従業員のいない一人会社の場合、経理上は「代表取締役が自分自身への給与を支払っている」ケースが多いでしょう。会社と代表者は法律上、別人格として扱うからです。

つまり、会社の口座と代表者のプライベート口座を分けて、売上の一部を給与として、代表者のプライベート口座に入れているのです。これは「人件費」としてのカウントが可能です。

いっぽうで、法人成りしていない(会社を設立していない)個人事業主・フリーランスは、事業用の口座とプライベートの口座が一緒になっているケースが多いでしょう。この場合、事業再構築補助金の「付加価値額」が明確にならない、あるいは上昇させにくくなってしまうのです。

会計帳簿上は、事業用口座からの生活費支出を「事業主貸」などとして計上されているでしょうが、これを人件費(給与)として扱うのは無理があり、「ゼロ」としなければなりません。

結果、付加価値額の中に人件費をカウントできず、「営業利益+減価償却費」として計算する必要があります。そのため、事業再構築補助金の申請をする際、付加価値額要件を満たす際により大きな営業利益・減価償却費が必要となってしまうのです。

こうしたケースへの対策として、一人会社のケースと同様に、申請前に事業用口座とプライベート用口座を分けてしまうのがおすすめです。

毎月の給与として一定額をプライベート口座に振り込むことで、人件費の額が明確になり、その「自分が自分へ支払う」給与額を毎年少しずつ引き上げていけば、付加価値額要件を満たすための下地が整います。

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個人事業主向けの支援制度

個人事業主・フリーランス向けの支援制度は、事業再構築補助金のほかにもさまざまな制度が用意されています。そこで本項では、2024年現在利用できる補助金・支援金制度の一部をご紹介します。

事業再構築補助金を含め、さまざまな制度の利用を検討している方は、ぜひ本項をチェックしてみてください。

IT導入補助金

地域DXの実現や生産性向上を目的とした取り組みに対し、ITツール(ソフトウェア・アプリ・サービスなど)の導入支援を通して企業をサポートする「IT導入補助金」は、事業再構築補助金と同様に個人事業主・フリーランスの方も申請可能です。

指定されたITツールのみが補助対象となる点には注意が必要ですが、下限金額が設定されていないので、規模の小さい事業を運営する個人事業主でも申請しやすい補助金となっています。

制度の詳細や申請の流れを確認したい方は、下記記事をぜひチェックしてみてください。

関連記事:IT導入補助金申請ガイド|2023年・令和5年度の申請方法、金額などをご紹介

小規模事業者持続化補助金

個人事業主を含む「小規模事業者」の販路開拓や業務効率化を支援する「小規模事業者持続化補助金」。機械装置の導入費や新商品の開発費といった事業再構築補助金同様の費用に加え、自社サイトの更新・作成費用や展示会・商談会の出展費用なども申請できるなど、幅広い補助対象を備えています。

また、最新公募では「インボイス特例」も特徴のひとつとなっています。これは、2023年10月にスタートした「インボイス制度」への対応に努める事業者を対象に、補助上限額を50万円上乗せするという特例です。

事業展開と併せ、インボイス制度への対応を進めている方は、小規模事業者持続化補助金の活用も検討してはいかがでしょうか。

関連記事:2024年の小規模事業者持続化補助金について解説!対象者や金額、変更点をご紹介

自治体や各省庁による補助金・助成金

一部都道府県では、企業の競争力強化や事業継続を支援する制度を用意しています。また、経済産業省、農林水産省などの省庁では、特定の業種や推進事業を支援する補助金・助成金の申請を受け付けています。

たとえば鳥取市では、市の地域資源活用・ワーケーションを活性化させる目的で、市外の事業者を対象とした「関係人口推進補助金」を交付しています。

上記条件に倣い、鳥取市の地域資源を活用した新事業を展開する方であれば、「地域資源活用事業支援」を利用し最大100万円の補助金を受け取れる可能性があります。

なお、協力金・支援金制度は、制度ごとに補助対象や補助金額、申請受付期間が異なります。新事業・販路開拓に支援制度を活用したい方は、まず自身が事業所を置く地域でどのような制度が用意されているか、J-Netや自治体HPでチェックすることをおすすめします。

個人事業主の事業再構築補助金申請に関するまとめ

事業再構築補助金は、個人事業主でも申請が可能な補助金です。ただし、企業として申請するケースとは提出書類が一部異なりますので、事前準備の際には留意しておきましょう。

2023年度から新たに3つの申請枠が設立されるなど、より社会情勢に即した内容へと変化する事業再構築補助金。いっぽうで、申請枠ごとの追加要件や申請に必要となる書類が変更されているため、申請前の要件確認、書類準備などには時間が必要となるでしょう。

こうした申請前の作業をスムーズに行いたい方は、行政書士・中小企業診断士をはじめとした専門家への相談を検討してはいかがでしょうか。補助金の窓口では、補助金申請のサポート実績を持つ中小企業診断士が、申請書類の作成から受給までをトータルサポートいたします。

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