事業再構築補助金の予算はどれぐらい? 新型コロナ救済の目玉補助金!

事情再構築推進補助金予算

※2023年(令和5年度)4月新年度補助金申請相談受付中!

新型コロナウイルスの流行による緊急事態宣言・外出自粛要請によって、日本じゅう、世界じゅうの人々が、感染拡大だけでなく、経済停滞の影響を受けました。

都会から満員電車がほぼ一掃され、飲食店は午後7時でオーダーストップ、午後8時で閉店しなければならなくなりました。逆に、テレワークやウーバーイーツなどが一気に普及しています。

たとえコロナ前には好調だった事業であっても、思わぬ大打撃を受けた人もいます。
そこで、コロナショックから立ち直るために、別の業界へ進出したり、人が来店しにくい時代に対応するサービスを追加するなど、新たな取り組みに知恵を出し、果敢にチャレンジしようとする事業者もいるはずです。

そこから、今までになかったイノベーション(技術革新)が起き、「アフターコロナ時代」を見据えて新たな需要を喚起し、海外へ進出するきっかけにもなりえます。

ひいては、これからの日本経済を引っ張っていく役割を果たす、有力な事業者のひとつとなりえます。

そうした時代の変化に対応した、企業の新しいチャレンジを財務的にバックアップしていくのが、中小企業等事業再構築推進補助金という、新しい補助金事業です。

破格の規模! 事業再構築補助金の予算

新型コロナウイルスによって、人々が街をほとんど出歩かなくなりました。その影響を、真正面から受けている企業が全国に多くあります。

ただ、新型コロナの影響を打ち破る新しいビジネスアイデアを持っているのに、売上の急減によって、手持ちの資金が足りず、そのアイデアを実現できずに断念せざるをえない経営者もいるのです。

そこで、日本政府は、2020年12月15日の臨時閣議で、コロナ対策と追加経済政策をともなう追加歳出を決定しました。総額にして21兆8353億円となります。

そのために政府は、赤字国債を含む22兆3950億円の新規国債を追加で発行しました。コロナ禍によって次年度の税収が全体的に減ると見越しての対応で、2020年度の国債発行額は112兆5539億円に達し、過去最高額となりました。

さらに、歳出全体も175兆円を超え、過去最高だった2019年度の約1.7倍にも膨らみました。新型コロナウイルスによる感染拡大や経済停滞を「国難」と認識した政府による、思い切った対応だといえます。

第3次補正予算のうち、追加経済対策に充てられるのが19兆1761億円です。

このうち、中小企業等事業再構築推進補助金に、1兆1485億円を計上しています。通常枠で最大で6000万円、特別枠で最大1億円をサポートする大型の補助金であるとともに、できるだけ多くの事業者を救済したいという経済産業省の姿勢が、1兆円を超える予算額に表れているといえます。

この1兆1485億円を、4回の募集に分けて、この先1年間で使い切る見込みとなっています。

たとえば、ものづくり補助金・持続化補助金・IT導入補助金などを総称して「中小企業生産性革命推進事業」といいますが、約3600億円の予算を3年間で使い切ることになっています。

つまり、3つの補助金をあわせても年間1200億円規模の予算なのですから、比較すると、事業再構築補助金の予算がいかに巨額であるかがわかります。

このたびの3次補正予算で、生産性革命推進事業の「新特別枠」(低感染リスク型ビジネス枠)に充てる予算として、2300億円が追加されていますが、それでも合わせて5900億円です。

事業再構築補助金という、たった1つの補助金の年間予算の、約半分にしかなりません。アフターコロナ時代の日本経済の行く末を見据えた、現政府の意気込みが感じられます。

国会での議論

2020年12月に予算が組まれ、翌年1月に国会で予算が可決され、3月より募集開始予定の事業再構築補助金をめぐっては、国会でも議論が繰り広げられていました。

2020年11月10日に、菅義偉首相から梶山弘志経済産業大臣に対し、アフターコロナ時代を見据えた新たな経済対策を策定するよう指示がありました。それ以降の議事録で、事業再構築補助金の予算について触れられた箇所をまとめます。

2020年11月20日 衆議院 経済産業委員会

国民民主党の浅野哲議員は「現在編成中の第三次補正予算案において、……中小企業を支援するためにどのような視点で対策を検討しているのか、また、どの程度の予算規模が必要だと考えているのか」と質問しました。

これに対し、梶山経産大臣は「ポストコロナに向けて、事業再構築や生産性向上に挑戦する中小企業に対する支援ということで、コロナ禍の中で事業をどう変えていくかということを思案している企業が大変多かったと思います、そういったものに対する支援であるとか」と、新たな補助金を定める可能性に初めて明言し、予算規模については「中小企業の事業継続や雇用維持に万全を期すために必要な額を確保できるように、財政当局ともしっかりと議論をしてまいりたいと思いますし、機動的に柔軟に対応してまいりたい」と述べました。

2020年11月24日 参議院 経済産業委員会

自由民主党の宮本周司議員は、現在の中小企業の窮状について述べながら「ポストコロナ社会へ適合する、そういった努力、また新たな挑戦に取り組む企業を応援する、そういった新たな支援を充実していく必要があると思っております」と求め、「今ある支援事業の中ではちょっと足りないんじゃないかなと心配する面もございます」と、梶山大臣に訴えています。

2021年1月13日 衆議院 内閣委員会

赤澤亮正内閣府副大臣は、時短営業要請の影響で、売上が50%以上減っている飲食店に対する支援策について述べつつ、売上が半減まで至らなくても、時短営業要請で影響を受けた飲食店には、事業再構築補助金が優先的に採択される可能性について言及しました。

2021年1月20日 衆議院 本会議

立憲民主党の枝野幸男代表が、「事業再構築補助金、これは新分野への展開や業種、業態の転換などを図る中堅・中小事業者に対して設備資金を補助する制度ですが、こうした新たな投資などを前提に補助をするという通常時と同じような支援策を提起しています。しかし、……感染が収束しない限り、業種転換や新事業など、新たな投資ができる事業者は少ないのではないですか。また、これらによって経営状態を好転できる余地も著しく小さいのではないですか」と、事業再構築補助金の費用対効果について質問をしています。

これに対して菅首相は「コロナにより各企業の環境が変化する中で、中小企業の中には積極的に事業転換に取り組みたいとの声もあり、適切な支援を行ってまいります」と簡潔に回答しました。

2021年1月28日 参議院 予算委員会

梶山経産大臣は「事業再構築補助金につきましては、補正予算の成立後、3月に申請受付を開始することを目指しております」と明言しました。

2021年2月4日 衆議院 予算委員会

自由民主党の下村博文政務調査会長は「1月の22日に発表された東京商工リサーチの調査によりますと、このコロナによる事業環境の変化に対応するため、既に事業再構築に取り組んでいる、あるいは検討している企業は約47%に上り、規模別に見ますと、大企業が38%、中小企業が48%、特に飲食業や娯楽業では約8割の企業が事業再構築を目指しているとのことであります」と、事業再構築補助金の対象となりうる企業が、潜在的にかなりの数にのぼる可能性を指摘しました。

2021年2月9日 衆議院 予算委員会

自由民主党の小倉將信議員は「事業再構築補助金は、もの補助等、これまで行ってきた累次の補助金と違って、短期間に非常に多くの案件をさばかなければいけないことが予想されます。その彼らに、条件である、認定支援機関とともにきちんとした事業計画を策定する、あるいは事業終了後に一定割合の付加価値額の増加を達成すべきということを求めてしまうと、それだけで申請する側もそれを指導する側も戸惑ってしまうことが予想されます」と懸念を示しつつ、「混乱が現場で生じないような申請や審査の方法を、運用面で工夫をしていただきたいと思います」と述べています。

これに対して梶山大臣は「中小事業者が事業再構築に成功するためには、事業計画をしっかりと作成していただくことが重要であると考えます。他方、小規模事業者を中心に補助金申請に不慣れな方がいらっしゃることが想定をされます。このため、公募開始前から、申請に向けた準備ができるように、事業計画に記載いただきたい事項などについて分かりやすく紹介した資料を公表していく考えであります。また、よりよい事業計画を策定していただく観点から、金融、財務などの専門性を有する認定支援機関への相談を必須としております」と、申請手続きの必要性について回答しています。

さらに「補助金申請に不慣れな方の案件は比較的小規模であることが想定をされます。このため、事業規模が大きい事案に採択が集中しないよう、審査段階においても、補助金額の規模によって採択率に大きな偏りが生じないように配慮をしてまいりたいと考えております」と、事業規模によらず公平に採択が行きわたるよう対策を取っていくと述べました。

まとめ

コロナショックを脱する事業変革に挑む経営者を支援する事業再構築補助金は、年間1兆円を超える破格の予算が組まれています。その裏には、国会議員の議論だけでなく、その水面下で官僚や商工会議所、そのほか大勢の中小企業経営者の話し合いや働きかけがあったに違いありません。