補助金の申請手続きに必要な項目のひとつとしてよく挙げられる「GビズIDプライム」。省庁の用意する各種システムを円滑に利用するための「GビズID」アカウントのひとつであるGビズIDプライムは、2023年からオンライン申請に対応しています。
そこで本記事では、GビズIDプライムの概要を解説するとともに、オンライン申請に必要なもの、手続きの流れを紹介。記事の後半ではセキュリティを強化する2段階認証設定やGビズIDで申請できる補助金制度なども紹介していますので、ぜひ最後までご確認ください。
※：本記事は、執筆時点の情報をまとめたものです。最新情報と異なる可能性があるため、各種補助金制度の詳しい情報については公式サイトも併せてご確認ください。
本記事でわかること
・「GビズID」システムの概要
・GビズIDプライムのオンライン申請手順
・GビズIDプライムの「2段階認証」設定方法
目次
オンライン申請がスタートした「GビズIDプライム」とは？
日本の各省庁は、法人・個人事業主のサポートや健全な取引を目的に、データベースや申請システムを用意しています。こうしたシステム・ポータルサイトを一括で利用できる共通認証システムが「GビズID」です。
GビズIDにはプライム、メンバー、エントリーと3種類のアカウントがあり、それぞれで使用できる行政サービスが異なります。
本記事で紹介するGビズIDプライムは、行政サービスを無制限に使用できるタイプのアカウント。各種補助金の申請や届出・報告用システムの利用に必要となりますので、早めの取得をおすすめします。
GビズIDプライムの取得方法は郵送手続きのみでしたが、2023年8月にオンライン申請がスタートしました。迅速なIDの取得が可能になり、さらなる利便性の向上が期待されています。
「GビズIDプライム」のオンライン申請は法人代表者・個人事業主が対象
GビズIDプライムのオンライン申請は法人代表者・個人事業主の方のみ可能です。NPOおよび中小企業法人の方などは、書類郵送による申請を行ってください。
【オンライン申請可能な法人（2024年6月現在）】
株式会社
有限会社
合同会社
相互会社
特定目的
投資法人
組合契約
有限中間
無限中間
有責事業
限責信託
郵送による申請については、下記の関連記事をご覧ください。
『GビズID』のアカウント取得方法～3種類のアカウントはどれを取得すればいいの？
GビズIDプライムのオンライン申請に必要なもの
オンライン申請に必要なものは下記の4点です。
【メールアドレス】
GビズIDのアカウントとして使用します。GビズIDからメールが届くため、フィルター設定に注意しましょう。
【パソコン】
申請情報の入力に使用します。推奨環境がGビズIDホームページの「よくある質問」に掲載されているので、申請前にOSのバージョンをチェックしておくことをおすすめします。
【スマートフォン】
NFCと呼ばれる無線通信技術を搭載した機種を使用します。ワンタイムパスワードの受信、マイナンバーカードの読み取りなどを行います。
【マイナンバーカード】
署名用電子証明書暗証番号（英数字6～16桁の文字列）と券面事項入力補助用暗証番号（数字4桁）が必要です。
以上4点をあらかじめ用意しておくと、スムーズに申請が進むでしょう。
オンライン申請・GビズIDプライム作成手続きの流れ
作成の流れを要点別に分けると、以下の5ステップにまとめられます。
【手続きの流れ】
- GビズIDアプリをスマートフォンにインストールする
- パソコンでGビズIDのトップページにアクセス、必要事項を入力する
- パソコンの画面に表示されたQRコードをGビズIDアプリで読み取る
- アプリでマイナンバーカードを読み取り、申請内容に署名する
- パソコンで申請内容を確認し、GビズIDのパスワードを設定する
ここからは、各手順の詳細を見ていきましょう。
GビズIDアプリをスマートフォンにインストールする
マイナンバーカードの読み込みで使用する「GビズIDアプリ」をスマートフォンにインストールします。
iOSではAppleStore、AndroidではGooglePlayからダウンロードが可能です。
パソコンでGビズIDのトップページにアクセス、必要事項を入力する
GビズIDのトップページにアクセスし、「GビズIDプライムをオンライン申請する」ボタンから詳細説明ページに移動、ページ下部の「申請を始める」ボタンをクリックします。
アカウントIDとなるメールアドレスを入力し、利用規約を確認したうえでチェックボックスにチェックを入れます。
入力したメールアドレスにワンタイムパスワードが届くので、ホームページに入力しOKボタンをクリックします。
入力フォームが表示されるので、説明に従い基本情報とアカウント利用者情報を入力します。
【入力事項】
・屋号（必須項目）
・代表者名とフリガナ
・連絡先の郵便番号
・連絡先住所
・連絡先電話番号
・SMS受信用電話番号
なお、手続きに伴う郵送物は連絡先住所に、システム利用時のワンタイムパスワードはSMS受信用電話番号に送付されます。
パソコンの画面に表示されたQRコードをGビズIDアプリで読み取る
フォームを入力しページ下部のOKボタンをクリックすると、QRコードが表示されます。10分以内にスマートフォンでQRコードを読み取り、次の手順を進めてください。
アプリでマイナンバーカードを読み取り、申請内容に署名する
スマートフォンでQRコードを読み取ると、マイナンバーカードの暗証番号・パスワードの入力画面に移行します。2つの入力が完了すると、カードの読み取り画面へと移行します。スマートフォンの読み取り部分にマイナンバーカードをかざし、完了するまでカードを動かさずに待機します。
パソコンで申請内容を確認し、GビズIDのパスワードを設定する
マイナンバーカードの読み取りが完了した後は、再度パソコン画面での操作を行います。表示内容に誤りがないかチェックし、画面下の「申請」ボタンをクリックしてください。
ワンタイムパスワードがSMS受信用電話番号に届くので、パソコン上に入力しパスワード設定画面へと移行します。
パスワードを入力するとアカウントの発行が完了します。
アプリによる「2段階認証」設定も併せて行うのがおすすめ
GビズIDプライムでは、第3者による不正ログインを防止するための「2段階認証」設定を利用できます。
「SMS認証」と「アプリ認証」2種類の設定が用意されていますが、SMS認証はセキュリティ強化を目的として廃止が予定されています。申請手続きの際にダウンロードした「GビズIDアプリ」でアプリ認証設定をするのがおすすめです。
アプリ認証は、GビズIDアプリのトップメニュー、設定ボタンから行います。
ボタンをタップするとログイン画面が表示されるので、必要事項を入力してください。
入力後、SMS受信用電話番号に認証設定用のワンタイムパスワードが届くので、アプリに入力しOKボタンをタップします。
ログイン時のアプリ認証設定に必要な「プッシュ通知」の設定ダイアログが表示されるので「許可」をタップしてください。
トップメニューに戻り、画面左上に「アプリ認証 設定済み」と表示されていれば手続き完了です。
GビズIDプライムで申請できる主な補助金制度
最後に、取得したGビズIDプライムで申請できる主な補助金制度を紹介します。新規事業や業種転換を検討している個人事業主の方は、下記補助金を活用し負担を軽減できるかもしれません。
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業や個人事業主が業務効率化や生産性向上を目指し、最新のIT技術を導入する際に支援するための補助金制度です。
指定されたITツールやソフトウェアの購入費・利用料が補助対象となっており、利用できる範囲に限りがありますが数百万円規模の補助を受けられます。
制度の詳細については、下記記事もあわせてご確認ください。
IT導入補助金申請ガイド｜2024年スケジュール・申請方法・金額などをご紹介
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、新分野展開や業態・事業転換などの「思い切った事業再構築」に取り組む中小企業や個人事業主を対象とした支援制度です。機械装置の導入費用、製品開発に関係する外注費や広告宣伝費など、幅広い費用が補助対象になります。
なお、申請にあたっては事業計画書の共同策定・確認を行う「認定経営革新等支援機関」の選定が必要です。制度を活用し新たな分野へチャレンジしたい方は、下記記事もあわせてご確認ください。
事業再構築補助金申請ガイド｜2024年度公募の変更点や補助金額をご紹介
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者や個人事業主の販路開拓・業務効率化を支援する制度です。令和5年度では「インボイス特例」が設けられ、インボイス制度への対応に必要となる費用も補助対象となりました。
なお、小規模事業者持続化補助金は業種や従業員数などの条件が指定されている点に注意が必要です。対象者や補助対象費用の詳細は、下記記事もあわせてご確認ください。
2024年の小規模事業者持続化補助金について解説！対象者や金額、変更点をご紹介
ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者を対象とした補助金で、自社の革新的な技術・商業・サービスの生産性を向上させるための設備投資に対し、国が補助金による支援を行う制度です。
1/2もしくは1/3の補助率と、1,000万円規模の最大補助金額が特徴。大規模な機材導入を通して生産性の向上を目指す事業者は、ぜひものづくり補助金の活用を検討してみましょう。
制度の詳細については、下記記事もあわせてご確認ください。
ものづくり補助金とは？2024年の申請方法や対象事業、金額などを解説
まとめ
本記事では、補助金の申請や電子報告書の提出などで活用されている「GビズIDプライム」アカウントを解説してきました。
GビズIDプライムはオンライン申請に対応しています。手続きの手間や期間を抑えられるので、ぜひ活用してみましょう。
また、GビズIDプライムは一度作成すればさまざまな補助金制度の申請で利用できます。GビズIDプライムアカウントを活用して新たな補助金制度へ申請する際は、ぜひ「補助金の窓口」による申請サポートも併せてご検討ください。
