事業再構築補助金は設備費用も対象になる?「建物費」および「機械装置・システム構築費」を解説

2020年から世界的に猛威を振るった新型コロナウイルス(covid-19)による緊急事態宣言・外出自粛要請・営業時短要請などによって、企業経営者は深刻な売上減に苦しめられました。こうした状況に対し、2020年度の第三次補正予算案で、1兆円を超える巨額の予算を組んで新たに始まったのが事業再構築補助金(中小企業等事業再構築推進補助金)です。

事業再構築補助金は、「新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰またはこれらの取組による規模拡大など、『思い切った事業再構築』に意欲を有する中小企業・個人事業主の挑戦支援」を目的としています。

まとまった金額の補助を受けられるため、新たな事業や商品の開発に必要な設備・建物・システムの導入費用を事業再構築補助金で補おうと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、事業再構築補助金はどんな費用でも補助金の対象となるわけではありません。また、審査を通過し採択されるにはその費用が本当に必要であるか、正しく申請される費用であるかを示さなければなりません。

そこでこの記事では、事業再構築補助金の設備費、システム購入費(構築費)について、より具体的に解説していきます。

なお、事業再構築補助金の制度詳細、申請方法などを確認したい方は、下記記事もあわせてご覧ください。

事業再構築補助金申請ガイド|2023年度・第10回公募の変更点や補助金額をご紹介

※:本記事は、執筆時点の情報をまとめたものです。最新情報と異なる可能性があるため、各種補助金制度の詳しい情報については公式サイトも併せてご確認ください。

本記事でわかること

・事業再構築補助金の費用区分

・申請可能な設備関連経費

・「建物費」および「機械装置・システム構築費」の詳細

・実際に採択された設備費用

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事業再構築補助金は設備・システムの導入費も補助対象となる

令和4年度補正予算にも組み込まれ、2023年も継続して公募が行われる事業再構築補助金。その補助対象となる費用については、制度詳細や申請方法をまとめた「公募要領」に具体的な内容が記されています。

記事執筆時点での最新公募である第10回公募要領には、下記11つの費用区分が設けられており、その名称からある程度の申請対象を把握できるようになっています。

・建物費
・機械装置・システム構築費
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・広告宣伝・販売促進費
・研修費
・廃棄費(※)

また、制度概要を説明する資料には、補助対象となる経費として「事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応規模の投資」と、ハッキリ記されています。

事業再構築補助金では、企業と認定経営革新等支援機関が共同で策定した「思い切った再構築を目指す事業計画」を中心に審査が行われます。策定する事業計画によって大小は異なりますが、新規事業拡大を目指す際、その資産の中心となるのは新たな施設や機器・システムです。

加えて、事業再構築補助金には要件(補助を受けるための条件)のひとつとして、付加価値額の年率を一定値以上増加させる「付加価値額要件」が設けられています。事業の付加価値額を最も効率的に向上させる先行投資としては、設備費が第一に挙げられるでしょう。

つまり、「建物費」や「機械装置・システム構築費」といった設備費用を盛り込むことは、申請においても重要なポイントのひとつとも言えるのです。

では、これらの設備費用は具体的にどのような費用が当てはまるのでしょうか。次の項目で、「建物費」と「機械装置・システム構築費」の該当費用について見ていきましょう。

※:産業構造転換枠に申請し、既存事業の廃止を行う場合のみ。

事業再構築補助金における「建物費」

建物費においてまず覚えておきたいのが、「建物」の定義です。

事業再構築補助金では「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)」における「建物」、「建物附属設備」を建物としています。「構築物」に分類される場合は対象経費となりませんので注意しましょう。

建物費として区分されているのは、主に下記4つの条件いずれかに当てはまる費用です。なお、費用を申請する際には、入札・相見積もりが必要となります。

①主に申請事業に使用される
・事務所
・生産施設
・加工施設
・販売施設
・検査施設
・共同作業場
・倉庫
・その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物
上記の建設や改修に必要となる経費
②申請事業の実施に必要な建物の撤去経費
③申請事業の実施に必要な賃貸物件などの原状回復経費
④貸工場や貸店舗などへ一時的に移転する際の経費(賃借料、移転費等)

建築から移転まで幅広い経費が対象となりますが、「既存の建物の購入・賃貸費用」は対象外ですので注意しましょう。

また、一部費用については一定の条件が設けられていたり、対象外となったりする可能性があります。

例えば新築建物の建設費用については「必要性が認められた場合」に限られており、事業計画と合わせて「新築の必要性に関する説明書」の提出が必要です(※)。
また、②および③の経費のみの事業計画は補助対象となりません。先述の通り、事業の拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応の規模の投資を行うことが必要です。

④の一時移転経費は「補助対象経費総額の1/2まで」と補助上限金額が定められているほか、補助事業実施期間内に、工場・店舗の改修や大規模な設備の入替えを完了し、貸工場・貸店舗などから退去しなければなりません。

※:採択された場合も、建物の新築については補助対象経費として認められない場合があります。

事業再構築補助金の「機械装置・システム構築費」

事業再構築補助金における「機械装置・システム」とは、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)」における「機械及び装置」、「器具及び備品」、「工具」を指し、「構築物」、「船舶」、「航空機」、「車両及び運搬具」に関連する経費は対象外となります。

機械装置・システム構築費は、下記3つ条件いずれかに当てはまる費用(※)が対象です。

①主に申請事業のために使用される

・機械装置

・工具

・器具(測定工具・検査工具など)

の購入、製作、借用に必要な経費

②主に申請事業に使用される

・専用ソフトウェア

・情報システム

などの購入、構築、借用に必要な経費

③①又は②と合わせて行う、改良や修繕、据付けまたは運搬に必要な経費

上記のうち「改良や修繕」とは、申請事業のために新規購入する、または使用される機械装置などの機能向上や耐久性を増すことを目的として行うものを指します。また「据付け」とは、機械装置などの設置と一体で捉えられる軽微なものに限られています。

機械装置・システム構築費の特徴としては、「借用に必要な経費」つまりリース・レンタル費用も対象となっている点が挙げられます。

購入時と比較して初期費用を抑えられるリース・レンタルは、新たに設備を導入する際に魅力的な選択肢のひとつです。事業再構築補助金を活用すれば、さらに新規設備の導入ハードルを下げられるでしょう。

なお、これらの費用は補助金の採択(交付決定)後の契約が確認できるもの、かつ補助事業実施期間内に必要な経費のみが対象です。リース・レンタル契約の期間が申請事業の実施期間を超える場合は、按分などの方式で算出された当該事業実施期間分が対象となります。

ただし、リースについては、中小企業・個人事業主とリース会社が共同申請をすることで、申請者がリース会社に支払うリース料から補助金に相当する金額分が減額されることなどを条件として、機械装置・システム購入費用について、リース会社を対象に補助金の交付を受けられます。詳細は、申請準備時に共同策定者である認定経営革新等支援機関へお問い合わせください。

※:3者以上の中古品流通事業者から、型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合は、中古設備も対象になります。

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建築費および機械装置・システム構築費などの設備費用を事業再構築補助金で補った実例

ここまで、「建築費」、「機械装置・システム構築費」といった設備費用の詳細を解説してきましたが、実際に申請する際に気になるのは「過去にどんな設備・機材費用が採択されたのか」という点ではないでしょうか?

そこで、本項では事業再構築補助金公式サイトに掲載されている過去の採択事業から、建築費、機械装置・システム構築費として採択された項目をご紹介します。事業計画の策定にあたり、どんな設備やシステムを導入するか悩んでいる方は、ぜひ下記の実例をご覧ください。

実例①:「ケータリング」から「物販商品の製造」へ業態転換した飲食サービス業

法人向けのケータリング料理提供サービス・サービス利用者へのスペース貸出を行う事業者が、新型コロナウイルス感染症の影響により新たな業態に転換した事例です。

この企業では転換先の業態として、コロナ禍でも売り上げを維持していた個人向けBBQ事業に着目。件数の多さと個別対応の必要性を解決するため、製造した料理を店舗へ運ぶビジネスモデルから、調理前の製品を小分け包装しセルフクッキングを楽しんでもらう「物販商品」として提供するサービスに切り替えました。

上記の事業転換にあたり既存店舗の改修や新たな器具の導入が必要となった申請事業者は、下記のような設備関連費を建物費、機械装置・システム構築費として申請しています。

【建物費】

BBQ会場の修繕代

テント・パラソル代

既存事業の設備撤去費用

 

【機械装置・システム構築費】

BBQ調理用コンロ・クッキング用調理器具の購入費

先述の費用区分で紹介した通り、新規導入費用だけでなく、既存事業の設備撤去費用も建物費に含まれます。業態転換・事業転換を計画している事業者の方は、既存事業に関する撤去費用の有無を確認しておきましょう。

実例②:民泊からビジネス・ファミリー層に向けた新規プランを開設した旅館業

住宅宿泊事業・カフェ営業・イベントスペース提供事業を運営するゲストハウスが、コロナ禍による利用者減少を打開するため、旅館業への事業転換を計画しました。

民泊(住宅宿泊業)から旅館業(簡易宿所)への転換には、旅館業を経営する許可の取得が必要です。そのために必要な改築費用・機械装置の設置費用などを下記の通り申請しています。

【建物費】

・建築基準法に適合させるための建物改修費

 

【機械装置・システム構築費】

・消防設備(自動火災報知機、誘導機など)の設置費

こちらの事業者は、既存施設の改修費用について「なぜ改修が必要か」、「増築する設備の位置」などを事業計画書に詳しく記しています。建物費の申請時には、「新築の必要性に関する説明書」だけでなく、事業計画書にも詳細を記しておくのがおすすめです。

実例③:食・イベント分野のDX推進で総合プロデュース企業へ業態転換したブライダル運営企業

結婚式や宴会・レストランの企画運営を中心に行う事業者が、コロナ禍以降も続くと予想されるブライダル業界の規模縮小をふまえ、オンラインイベントの運営や食品製造配送業への業態転換を計画しました。

新たな業態として、既存事業であるイベントプロデュース・飲食店類似業務のノウハウを生かしたオンラインイベントシステムの開発・販売、非接触型イベントの運営、ミールキット製造販売を計画。新たに導入する設備・機械装置として、下記の費用を申請しています。

【建物費】

・調理用施設の電源配線工事費用

 

【機械装置・システム構築費】

・配膳用ロボットや通信設備など、非接触型イベントで使用する機材・設備の導入費

・急速冷凍機、真空包装機など、ミールキット製造に必要な設備の導入費

・オンラインイベントシステム、ECサイト構築費用 など

上記にまとめた通り、DX推進事業ということで、設備だけでなくプログラムの開発・導入費用も申請しているのが特徴です

「設備費」という大きなくくりのなかでも、その内訳はさまざまです。事業計画の策定時には、より効率的・革新的な事業推進計画を練るために、認定経営革新等支援機関への相談も活用していきましょう。

まとめ

事業・業種転換、新分野展開など、さまざまな方法で事業の再構築を目指す企業・個人事業主を応援する「事業再構築補助金」。申請可能な経費も多岐にわたりますが、その中心となるのが建築物や機械装置・システム導入費などの設備費用です。

2023年度の事業再構築補助金では、こうした設備費用は「建物費」と「機械装置・システム構築費」の2通りに区分されています。これらの費用を申請する際には、導入設備の詳細と必要性を事業計画や説明書にまとめていかなければなりません。

こうした作業をよりスムーズに行いたい方は、共同で事業計画を策定する認定経営革新等支援機関に協力を依頼しましょう。支援機関のなかには、事業計画書の作成だけでなく、そのほかの提出書類の作成や申請後の手続きなどをサポートしてくれる機関も存在します。

補助金の窓口では、新たな設備の導入費用を含む事業計画の策定・申請サポートを行っています。まずは事業再構築補助金がどのような補助金なのか、どのくらいの規模の事業計画を申込めるのかを知りたいという方に向け、LINEでの無料電話相談にも対応しています。

事業再構築補助金で新規設備を導入したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。

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