創業助成金とは、東京都が都内で創業する事業者を支援するための助成金制度です。法人だけでなく個人事業主も利用できることから、これから東京都内で創業を検討している人はぜひ知っておきたい制度といえます。
本記事では、創業助成金の制度概要や、個人事業主が申請できる補助金制度について紹介します。
目次
個人事業主でも申請できる創業助成金とは
創業助成金は、東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する助成金事業で、都内の創業から5年未満の中小企業者、またはこれから創業を予定している人を対象としています。
まずは、創業助成金の目的や「補助金」との違いを確認していきましょう。
創業助成金の目的
創業助成金の大きな目的は、東京都内の開業率を向上させることです。
都内の開業率は2021年度で約5.0%と、米国や英国に比べて低い水準となっています。国内経済の中心地である東京都で新たな事業が育たなければ、今後日本の経済が衰退してしまう可能性もあります。
そのため、東京都は創業助成金によって新たに事業を立ち上げる中小企業の支援を行い、都内の創業率の向上を図っているのです。
創業助成金(東京都)の制度概要
創業助成金の大きな特徴として、次の3点が挙げられます。
- 最大400万円の助成金が受けられる
- 募集は年2回のみ
- 書類・面接の審査が実施される
それぞれくわしく解説していきましょう。
最大400万円の助成金が受けられる
東京都が実施する創業助成金では、100万円を下限に最大400万円まで支援を受けられます。対象となる経費は下記のとおりです。
- 賃借料
- 広告費
- 器具備品購入費
- 産業財産権出願・導入費
- 専門家指導費
- 従業員人件費
助成率は対象経費の2/3ですので、たとえば機材の購入に400万円を要した場合、最大266万円まで助成を受けることができます。
募集は年2回のみ
創業助成金は年2回募集を行っており、毎年4月・10月頃に募集期間が設けられます。直近は2023年10月に募集が行われ、2023年10月2日~10月11日の間が申請書の提出期間とされました。2024年も同じ時期に募集期間が設けられる可能性が高いです。創業助成金の対象になるようであれば、今から準備を進めておきましょう。
創業助成金の交付申請には、必要書類の作成や要件のクリアなど時間を要する手続きがあります。交付申請を検討している人は、募集要項を確認して期間内に申請を終えられるように計画的に取り組みましょう。
書類・面接の審査が実施される
先ほど「助成金は基本的に要件を満たすと交付を受けられる」と伝えましたが、東京都の創業助成金では交付申請の際に書類・面接審査が実施されます。
そのため、要件を満たしている場合でも、書類審査や面接審査に通過しなければ助成金を受けることができません。審査で主に重視されている点は次のようなポイントです。
- 具体的な内容、適切な価格設定、実施する時期や場所等について説明できているか
- 事業に活かせる自分の強み・弱みと、その補強方法が明確になっているか
- 競合他社との差別化、優位性が明確になっているか
- 製品・商品・サービスの製造・調達ルートが的確に設定されているか
- 経営計画・経営見通しが実現の見込める内容であるか など
なお、面接審査は共同経営の場合を除いて、代表者1名以外は入室することができません。面接官からたずねられた内容に適切に回答できるよう、しっかりと準備をしておくことが大切です。
また、面接の場に商品やサービスのサンプルを持ち込むことはできませんので注意しましょう。
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【追加情報】個人事業主が対象となる補助金
個人事業主が対象となる補助金事業として、下記の4種類が挙げられます。
- 小規模事業者持続化補助金
- 事業再構築補助金
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
それぞれ制度概要を確認していきましょう。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、中小企業や個人事業主が働き方改革やインボイス制度への対応などを行うことを支援するための補助金制度です。
社会情勢が大きく変化する中、個人事業主などの小規模事業者は賃上げや被用者保険の適用拡大などに取り組まなければならず、そのための費用負担に悩む事業者も少なくありません。
小規模事業者持続化補助金には「通常枠」や「賃金引き上げ枠」など5種類の申請枠がありますが、最大200万円の補助金が受けられ、さらにインボイス特例に該当する場合は50万円の補助金が上乗せされます。
対象となる経費は、機械装置等費や広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費などで、店舗改装にかかった費用も対象となっています。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、ウィズコロナの新しい経済社会に中小企業や個人事業主が対応できるように、新分野展開や事業転換、事業再編に取り組む事業者を支援する補助金制度です。
事業再構築補助金には、「成長枠」や「グリーン成長枠」など8種類の枠があり、中には5億円の補助金を受けられる申請枠もあります。
対象となる経費は、「事業拡大につながる事業資産への投資費用」で、具体的には次のような例が挙げられます。
・建物費
・機械装置・システム構築費
・技術導入費
・外注費
・広告宣伝費・販売促進費
・研修費
ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、中小企業や個人事業主が今後直面する働き方改革や賃上げなどの問題に対応するため、生産性向上に取り組むことを支援するための補助金制度です。
申請には「省力化枠」や「製品・サービス高付加価値化枠」などの枠が設けられており、従業員数によって補助金の上限額が異なります。たとえば、省力化枠で従業員が5人以下の場合は、最大750万円までの補助金を受けることが可能です。
対象となる経費は「機械装置・システム構築費」や「運搬費」、「技術導入費」などで、幅広い費用に活用することができます。
IT導入補助金
IT導入補助金とは、中小企業や個人事業主が労働生産性の向上のために、業務効率化やDX化に向けた ITツールを導入することを支援する補助金制度です。
申請には「通常枠」や「インボイス枠」、「セキュリティ対策推進枠」などの種類があり、申請枠によってはソフトウェアだけでなく、パソコンなどのハードウェアの購入費が対象となることもあります。
その他にも受発注ソフトや会計ソフト、レジ、券売機などさまざまな費用が対象となるため、幅広い事業者が活用しやすい補助金制度です。
まとめ
東京都の創業助成金は、都内で創業する事業者を支援するための制度で、個人事業主も交付申請を行うことができます。広告費や機材導入費、人件費など幅広い経費が対象となっており、最大400万円の助成金を受けられることが大きな魅力です。
募集は年2回のみですので、事前に募集要項を確認して計画的に申請手続きに取り組みましょう。
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