IT導入補助金の交付申請を行う際は、「IT導入支援事業者」と協力しながら手続きを進めていきます。IT導入支援事業者は交付申請をサポートしてくれる存在であるため、慎重に選定することが大切です。
本記事では、IT導入支援事業者の役割や選び方について解説していきます。また、補助対象となるITツールについても紹介しますので、導入を検討する際の参考にしてください。
目次
1.IT導入支援事業者とは
IT導入支援事業者とは、IT導入補助金の交付申請を行う中小企業や個人事業主をサポートしてくれるパートナーです。まずは、IT導入支援事業者の役割や種類を確認していきましょう。
1-1.IT導入支援事業者の役割
画像引用:IT導入補所金2023「IT導入支援事業者の役割・要件」
IT導入補助金の交付申請は、IT導入支援事業者を選定するところからスタートします。IT導入支援事業者は、ITツールの導入や補助金の交付申請をサポートしてくれる存在で、主に次のような役割を担っています。
・申請者に対して適切なITツールを提案する
・ITツールの導入・アフターサポートを行う
・IT導入補助金に関する申請者からの問い合わせ・疑問に対応する
・補助金事務局からの指示や指導を仲介する
・補助金不正受給等の不正行為を防止する
・ITツールの導入により生産性を向上できるようサポートを行う
つまり、IT導入支援事業者とは、きちんと補助事業が遂行できるように手助けしてくれる事業者です。交付申請が採択されるかはIT導入支援事業者のスキル・ノウハウにもかかってきますので、きちんと選定することが大切です。
1-2.IT導入支援事業者の種類
IT導入支援事業者には、大きく分けて次の2種類があります。
種類 | 特徴 |
ベンダー系 | 特定のITツールに特化している支援事業者。専門的なサービスを受けられる。 |
販売代理店系 | 複数のITツールを取り扱っている支援事業者。ニーズに適したITツールを提案してもらえる。 |
「このITツールを導入したい」と決めている場合は、ベンダー系の支援事業者がおすすめです。ベンダー系はITツールの開発・販売を行っている企業がそのまま支援事業者となっているため、ITツールへの専門的な知識を有していたり、よりITツールを活用するためのアドバイスがもらえたりするメリットがあります。
反対に、「どのITツールを導入するか決まっていない」という場合は販売代理店系がおすすめです。販売代理店系では複数社のITツールを取り扱っているため、事業課題の解決に適したツールを比較しながら選択できるメリットがあります。
2.IT導入支援事業者を選ぶポイントとは?
IT導入支援事業者選びは、交付申請においてもっとも重要なポイントです。IT導入支援事業者を選ぶ際は、次のようなポイントに当てはまるかチェックしましょう。
・導入したいITツールに対応している
・豊富なITツールを取り扱っている
・IT導入補助金に採択された実績がある
・面談方法がニーズに適している
それぞれくわしく解説していきます。
2-1.導入したいITツールに対応している
すでに導入したいITツールが決まっている場合は、そのITツールに対応している支援事業者を選びましょう。
IT導入支援事業者は、IT導入補助金の公式サイトから検索ができます。「IT導入支援事業者・ITツール検索」から「エリア」と「ITツール名」を入力のうえ検索すると、該当の支援事業者が一覧で出てきますので、その中から利用先を選定しましょう。
IT導入補助金2023「IT導入支援事業者・ITツール検索」
2-2.豊富なITツールを取り扱っている
導入したいITツールが決まっていない場合は、幅広いITツールを取り扱っている支援事業者を選ぶことがポイントです。複数のITツールを取り扱っている支援事業者では、申請者の経営課題をヒアリングしたうえでITツールを選定してくれるため、よりニーズに適したツールを導入できるメリットがあります。
また、ITツールの利用に不慣れな場合は、顧客サポートの内容も確認しておくと安心です。
2-3.IT導入補助金に採択された実績がある
過去の補助金採択の実績も確認しておきたいポイントです。ITツール導入補助金は「申請すれば必ず受けられる」というものではなく、申請したものの審査に落ちるケースも多く見られます。
採択の実績が多い支援事業者は、審査に通るためのノウハウやスキルを持ち合わせているので、交付申請で押さえておくべきポイントを教えてもらえるメリットがあります。
適切なサポートを受けるためにも、過去の採択実績は必ずチェックしておきましょう。
2-4.面談方法がニーズに適している
交付申請を行うにあたってIT支援事業者との面談が必要になりますが、その面談方法は事業者によってさまざまです。オンラインで面談するところもあれば、直接対面形式で面談するところもあるため、自社のニーズに適したところを選ぶとよいでしょう。
たとえば、「交付申請の書類作成が不安」という場合は、直接対面した方がスムーズに作業を進められます。反対に、「出張が多いので、なかなか事務所にいる時間が少ない」という場合はオンライン形式の方が便利です。
面談は一度だけでなく複数回行うことになりますので、負担にならない面談方式を選びましょう。
3.補助金の対象となるITツールとは?
IT導入補助金の対象となるITツールは、大きく分けて5つのジャンルに分類されています。それぞれどのようなITツールが対象となるのか確認していきましょう。
3-1.大分類Iソフトウェア
小分類 | 対象となる申請枠 |
カテゴリー1:ソフトウェア | 通常枠(A・B類型) デジタル化基盤導入類型 |
ソフトウェアにおいては、下記のプロセスの中から1つ以上に該当するものが補助の対象となります。
ただし、すでに購入済みのITツールを追加購入する場合は補助金の対象となりません。あくまで新たに導入するITツールが対象となることを理解しておきましょう。
3-2.大分類IIオプション
小分類 | 対象となる申請枠 |
カテゴリー2:拡張機能 | 通常枠(A・B類型) デジタル化基盤導入類型 |
カテゴリー3:データ連携ツール | 通常枠(A・B類型) デジタル化基盤導入類型 |
カテゴリー4:セキュリティ | 通常枠(A・B類型) デジタル化基盤導入類型 |
オプションとは、導入したソフトウェアの機能を拡張したり、セキュリティを強化したりするものが該当します。たとえば、カテゴリー2の拡張機能では次のようなものが挙げられます。
・フォーマット変換・バックアップ・ファイル管理などのユーティリティー
・カスタマイズ用アドオン・プラグインソフト
・WEBサーバー
・DBサーバー
・システム運用などのミドルウェアパッケージ
なお、年会費のような形式で費用がかかるITツールについては、通常枠(A・B類型)とデジタル化基盤導入類型ともに最大1年分が補助対象です。
3-3.大分類III役務
小分類 | 対象となる申請枠 |
カテゴリー5:導入コンサルティング
|
通常枠(A・B類型) デジタル化基盤導入類型 |
カテゴリー6:導入設定・マニュアル作成・導入研修 | 通常枠(A・B類型) デジタル化基盤導入類型 |
カテゴリー7:保守サポート | 通常枠(A・B類型) デジタル化基盤導入類型 |
IT導入補助金では、支援事業者に支払う役務費用も補助の対象となります。たとえば、カテゴリー5の導入コンサルティングでは、ITツールの導入計画や、社員への教育計画の策定への対価が補助対象です。
また、ITツールは導入後も保守費用が発生することが一般的ですが、その保守費用も補助の対象となっています。ソフトウェアの保守費用は最大2年分が補助対象となりますので、導入後の運用に不安を感じている事業者にとっても嬉しいポイントです。
3-4.大分類IVハードウェア(デジタル化基盤導入類型用)
小分類 | 対象となる申請枠 |
カテゴリー8:PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機 | デジタル化基盤導入類型 |
カテゴリー9:POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機 | デジタル化基盤導入類型 |
「デジタル化基盤導入類型」ではソフトウェアだけでなく、ハードウェアも補助の対象となります。ただし、ハードウェア単体での導入は補助対象とならないため、必ずソフトウェアと一緒に導入する必要がある点に注意しましょう。
3-5.大分類Vサイバーセキュリティお助け隊サービス(セキュリティ対策推進枠申請用)
小分類 | 対象となる申請枠 |
カテゴリー10:サイバーセキュリティお助け隊サービス | セキュリティ対策推進枠 |
「セキュリティ対策推進枠」では、「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の利用料金が補助対象となります。サイバーセキュリティお助け隊サービスとは、セキュリティ対策に関するサービスをワンパッケージで利用できるものです。
サービス内容には「ネットワーク監視型」、「端末監視型」、「併用型」の種類がありますので、IT導入支援事業者と相談しながら自社に適したタイプのものを利用しましょう。
なお、本サービスの利用が一時的な利用に留まり、事業への貢献度が限定されるものは対象外となるため注意が必要です。
4.まとめ
IT導入補助金の交付申請では、IT導入支援事業者と協力しながら手続きを進めていきます。補助金交付の採択を受けられるかは、IT導入支援事業者のスキルやノウハウにもかかっていますので、しっかりと業者選びを行うことが重要です。その際は、本記事で紹介した支援事業者の選び方をぜひ参考にしてみてください。
また、申請の手続き方法がなかなか理解できない方には、IT導入補助金の申請をサポートする行政書士や中小企業診断士への相談がおすすめです。補助金の窓口では、無料のLINE電話相談にも対応しています。最適な補助金選び、申請書類作成から受給までをトータルサポートいたしますので、ぜひ一度お気軽にお問合せくださいませ。