「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」の申請書類の書き方を解説!

東京都中小企業振興公社が展開する助成金事業として、令和6年からスタートしたのが「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」です。

既存事業の質を高める取り組みや新事業展開など、経営基盤の強化につながるための「深化」「発展」に関する取り組みに対して経費の一部を助成します

対象経費の幅広さが魅力ですが、申請の際には各種書類の提出や申請用サイトでの必要項目の記入が必要です。そこで本記事では、申請書の書き方や申請する際の注意点を詳しく解説します。

制度の概要については、下記記事も併せてご覧ください。

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業とは?助成金の内容やスケジュールを紹介

「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」の申請に必要な書類

「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」は、東京都内で事業を行う中小企業者を対象とした、既存事業の生産性・品質向上、新製品・サービス開発を目的とした取り組みに利用できる助成金制度です。

助成限度額は800万円で助成率も2/3となっているので、中小企業にとって使い勝手が良い補助金と言えるでしょう。

なお、申請のために必要な書類は、法人と個人や申請内容に応じて異なります必要となる書類と入手方法・注意点を一覧表で見ていきましょう。

【全申請者の必須書類

書類名 入手方法・注意点
申請様式(申請書) 助成金公式HPで「申請要件確認チャート」に回答後ダウンロード可能
誓約書 助成金公式HPでダウンロード可能
「反社会的勢力排除に関する誓約書」「助成金申請に関する誓約書」の2点

【法人の必須書類】

書類名 入手方法・注意点
履歴事項全部証明書 法務局で入手可能。発行後3ヶ月以内のものを提出
法人事業税納税証明書 都税事務所で入手可能。直近のものを提出
法人都民税納税証明書 都税事務所で入手可能。直近のものを提出
決算書【損益計算書】 申請様式に記入した売上高と対応する決算期の書類。
税務署の収受印のある別表1【写し】又は電子申告の受信通知【写し】を添付

個人の必須書類

書類名 入手方法・注意点
開業届 正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」。国税庁HPでダウンロード可能
個人事業税納税証明書 都税事務所で入手可能。代表者の直近のものを提出
※非課税の方は所得税納税証明書(その1)を提出(所管税務署で入手可能)
住民税納税証明書 市区町村役所で入手可能。代表者の直近のものを提出
※非課税の方は住民税非課税証明書を提出
所得税確定申告書【第一表、収支内訳書又は青色申告決算書、メール詳細又は税務署の受付印】 ・申請様式に記入した売上高と対応する決算期の書類
・個人番号(マイナンバー)が記載されている場合は、該当部分の墨消しを行う

該当者のみ提出する書類

書類名 入手方法・注意点
見積書・カタログ等 一契約あたり税抜30万円以上の申請経費について提出(カタログ等については、標準的な価格の分かるもの)
経費区分「その他経費」の申請項目は、金額に関わらず全ての申請経費について提出
※見積書の記載は経費の内訳及び内容が分かるものを提出
見積書(相見積) 一契約あたり税抜100万円以上の申請経費については、2社以上の相見積で提出
図面(設計図、平面図等) 【設備・機器等の購入がある場合】
設置場所等が分かるもの【住居兼事務所等における取組の場合】
居住空間と取組のための空間が物理的に区分されていることを証明するもの
特許証、特許等公報等 申請書「Ⅲ資金計画3.資金支出明細(4)産業財産権・出願導入費詳細(2)(3)」で「はい」と答えた場合に提出
展示会出展要項 【リアル展示会の場合】
主催者、会期、会場、開催目的、来場対象者、小間料など、一般に公開された展示会主催者発行のもの。【オンライン展示会の場合】
主催者、会期、開催目的、商談機能の有無、オンライン出展料など、一般に公開された展示会主催者発行のもの
ECサイトの出店登録要項 ECサイト上に掲載されたサイト運営者発行の日本語による出店登録ページを電子化したもので、運営者、初期出店登録料、利用規約、URLなどが分かるもの

なお、海外の展示会への出展費用を申請する際は、出展要項を日本語に翻訳する必要があります。書類作成時には、申請をサポートするコンサルタントや有資格者に確認しつつ作業を進めるのがおすすめです。

Jグランツへの記入が必要となる事項一覧

新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業の申請形式は、経済産業省が開発した補助金申請システム「Jグランツ」を使った電子申請のみとなっており、申請時には各種事項の記入が必要です。

ここからは、電子申請時に入力が必要となる「必須入力事項」「任意入力事項」を注意点も含めて紹介します。

入力事項 注意点
事業形態 法人または個人を選択して入力する
法人名/屋号
法人名/屋号(カナ)
法人は履歴事項全部証明書に記載されている会社名を入力する。個人は入力不要
本社所在地 印鑑登録証明書住所を記載、郵便番号は必須だが建物名の記載は任意
代表者名/個人事業主名 代表者または個人事業主名を入力する。フリガナも記載
電話番号及びメールアドレス 日中連絡がとれるものを記載
資本金 履歴事項全部証明書記載の資本金を入力、個人の場合は数字の「0」を入力
従業員数 パート・アルバイトを除いた人数を入力
主たる業種 売上高構成比の最も高い事業の業種を入力
申請担当者の連絡先 郵便番号・住所、担当者名など「gBizID」アカウント利用者情報がプレ入力されているので、変更が必要な場合は「gBizID」サイトにて編集
その他連絡先 担当者氏名のフリガナ、部署名、連絡先電話番号、担当者メールアドレスを入力、担当者の役職については任意
実施場所名称 本事業を実施する場所の名称を入力
実施場所所在地 本事業を実施する場合の場所の郵便番号・住所を入力、建物名の記載は任意

申請様式(申請書)の書き方

続いては、申請書類のなかで最も重要な書類と言える「申請様式」の書き方について解説していきます。

「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」では、1次審査として提出した書類の内容を確認する書類審査が行われ、次の5つの視点から書類が確認されます

【発展性】
既存事業の深化・発展に資する取組であるか

【市場性】
コロナ後の事業環境変化前後の市場分析がしっかりとされているか

【実現性】
事業の実施体制は万全であるか

【優秀性】
事業者としての創意工夫や今後の展望が示されているか

【自己分析力】
自社の状況を把握しているか

採択率を上げるためには、上記のポイントを意識しつつ取組内容を記載することが重要です。申請書を作成する際は、公式HPの記入例も参考にしつつ、5つの視点に対する具体的な回答を記入していきましょう

【各視点を意識した取組内容の記入例】
①発展性
→既存事業からどのように改良を加えるか、発展的要素を具体的かつ定量的に説明する

②市場性
→市場環境や顧客動向、競合他社の状況を具体的に説明する

③実現性
→自社の開発体制について、実現性を意識しつつ詳細に記載する

④優秀性
→収益計画を達成するための方策、得た収益や知見の活用予定を具体的に記載する

⑤自己分析力
→競合や市場の状況をふまえどのように顧客を獲得するか、自社ならではの工夫や独自性を記載する

書類作成時の注意点

これまで申請に必要な項目や書き方について紹介してきましたが、続いては書類作成時の注意点を見ていきましょう。

最初に確認しておきたいポイントは、申請要件です。

都内の中小業者が対象で、法人であれば本店(実施場所が都内の場合は支店でも可)の登記が都内、個人事業者であれば納税地が都内にあり、大企業が実質的に経営に参画していないことが要件となっています。

2019年の決算期以降のいずれかの決算期と比較して減少している、又は直近決算期において損失を計上していることも必須です。

ほかにも令和6年度に本事業で一度も交付決定を受けていないことや反社会的勢力ではないこと、必要書類をすべて提出できること、同一テーマや内容で補助金を受けていないことなどがあるので、自社に該当するものがないかチェックしておきましょう。

また、提出する書類の不備や内容に不足がある場合は不受理になってしまうため、申請前の最終確認も重要です。

不受理になった場合は不備や不足の内容を示したチェックリストが送付されます。今回不採択でも別のスケジュールに申請できるので、次回の申請時に活用し採択を目指しましょう。

申請する経費が助成対象となっているかどうかもポイントです。対象経費としては、既存事業を深化・発展させるために直接必要な経費として下記があります。

・原材料・副資材費
・機械装置・工具器具費
・委託・外注費
・産業財産権出願・導入費
・規格等認証・登録費・設備等導入費
・システム等導入費
・専門家指導費
・不動産賃借料
・販売促進費(200万円まで)
・その他経費(100万円まで)

なお、パソコンや文書作成、表計算ソフトなどのように、汎用性があり目的外で使用しやすいものなどは経費の対象外となります。対象となる経費については、下記記事も併せてご覧ください。

「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」の対象経費を解説!

2次審査の面接にも備えておくのがおすすめ

2次審査では、専門家による対面形式の面接が行われます。

募集要項に面接審査期間があらかじめ記載されていますが、面接審査の実施対象となった事業者に面接日程と実施場所がメールで通知されます。

通知された日程に関しては変更ができないため、必ず面接審査機関はスケジュール調整できるようにしておきましょう。

面接に参加できるのは、事業者の代表者、役員・従業員のみの最大2名までで、顧問や経営コンサルタントなど出席できません

面接では提出した書類に基づいて事業内容を説明していきます。撮影や録音ができる電子機器類の持ち込みはできませんが、申請書類以外の補足資料やサンプル品などの使用は必要最小限の範囲で認められているので、必要な場合は準備して面接に挑みましょう。

まとめ

今回は令和6年度からスタートした「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」について解説しました。

本事業は既存事業の深化または発展に取り組み、経営基盤の強化につながると認められた場合に800万円を助成限度額として補助してもらえる制度となっています。

採択されるには所定の要件を満たしており、書類審査と面接審査に通過しなければいけません。採択のためには、審査におけるポイントを意識した書類作りが重要です。

また、スムーズな申請準備を行いたい方は、本記事の内容と併せて行政書士や中小企業診断士などの専門家による申請サポートの活用も検討してみてはいかがでしょうか。

補助金の窓口では、採択実績を持つ専門家による無料のオンライン診断も実施しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。