目次
○小規模事業者持続化補助金の申請書に必要な『コツ』とは
回数 | 申請数 | 採択数 | 採択率 |
一般型
(第1回締切分) |
8,044 | 7,308 | 90.9% |
コロナ特別対応型
(第1回締切分) |
6,744 | 5,503 | 81.6% |
コロナ特別対応型
(第2回締切分) |
24,380 | 19,833 | 81.3% |
一般型
(第2回締切分) |
19,154 | 12,478 | 65.1% |
コロナ特別対応型
(第3回締切分) |
37,302 | 12,664 | 33.9% |
一般型
(第3回締切分) |
13,642 | 7,040 | 51.6% |
コロナ特別対応型
(第4回締切分) |
52,529 | 15,421 | 29.4% |
※令和2年 小規模事業者持続化補助金 採択率
『小規模事業者持続化補助金』とは、個人事業主や小規模事業者などが生産性向上と持続的発展を図るために必要な補助を行うもので、「コロナ特別対応型」「一般型」の2種類があります。
「コロナ特別対応型」は補助対象となる経費の2/3~3/4で上限額が100万円で、事業再開に取り組むための「事業再開枠」50万円(もしくは100万円)が用意されています。
「一般型」については補助対象となる経費の1/2であり上限額は50万円(一定の要件によって100万円)が補助されることになっています。
「コロナ特別対応型」のほうが補助される上限額は高く設定されているために、申請数が多くなっていることが分かります。
ただ、採択率を見ると、一般型よりもコロナ特別対応型のほうが低くなっています。
2020年での採択率をみると、第1回一般型では90.9%、第1回コロナ特別対応型では81.6%と高い採択率となっていることが分かります。
しかし一般型の第2回・第3回は65.1%・51.6%となっており、コロナ特別対応型においては第3回・第4回では33.9%・29.4%と厳しい数字になっています。
特にコロナ特別対応型に厳しい数字となっていますが、本来、一般型である事業者がコロナ特別対応型に申請することによって採択されなかったのではないかと言われています。
ただ、単純にそれだけが採択されない理由ではなく、申請するために必要な経営の具体性や論理性がなかったり、納得させるための材料が揃ってなかったことが原因であると考えます。
逆に言えば、それらのポイントをしっかりと押さえておくことによって、採択率はグッと高くなるのです。
採択において重要になるものに「経営計画」「補助事業計画」があり、これらに取り組むことがもっとも大変なものになると考えられています。
○「経営計画」「補助事業計画」の具体的な書き方のコツ
①要点を押さえて書く
②箇条書きにすると書きやすく分かりやすい
③文章量の制限はなく、画像や表を加えることも可能
④商工会議所・商工会の助言を受けることがおすすめ
小規模事業者持続化補助金の「経営計画」「補助事業計画」の書き方のコツとして、経済産業省が公表する「ミラサポPlus」では、ポイントとして上記の通りまとめています。
そのポイントを意識したうえで、実際にどのように記載すればいいのか、そのコツについてお伝えしていきます。
・「経営計画書」の具体的な書き方のコツ
小規模事業者持続化補助金の申請において、もっとも重要なものに「経営計画」があります。
経営計画とは各種様式の「様式2-1」のことを指しており、
1.企業概要
2.顧客ニーズと市場の動向
3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み
4.経営方針・目標と今後のプラン
の4つの項目によって構成されています。
具体的に項目ごとにどのような点に注意して記載していけばいいのか、そのコツをお伝えしていきましょう。
1.企業概要
※経済産業省「ミラサポPlus」海鮮居酒屋の記載例より
・法人名・代表者名
・創業・設立日
・業種・従業員数・事業内容・営業時間など
・売上・利益の大きい商品やサービスや売上や顧客の構成など
この項目においては、分かりやすくこのような内容を入れていくことになります。
法人名や創業、業種などについては箇条書きで記載すればいいでしょう。
「売上・利益の大きい商品やサービス」については、表を活用して記載するといいでしょう。
また、売上の構成や顧客の構成などを記載しておくことによって、よりビジネスモデルや販促方法などが明確になります。
2.顧客ニーズと市場の動向
※経済産業省「ミラサポPlus」宿泊業の記載例より
・商品やサービスの顧客ニーズについて
・自社が提供している商品やサービスについて
・現在の経営状況をつくり出している環境について
・将来への見通しなど
この項目には、上記のようなポイントを記載することになります。
記載例においては市場概況として、経営環境と共に自社の経営状況が記載されていますが、国や自治体などが発表している統計などを用いると客観的な根拠を示すことができます。
また、競合他社の状況なども記載することによって、自社の強みや弱みを明確にすることができ、今後の見通しについても明らかにできます。
3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み
※経済産業省「ミラサポPlus」カラオケ店の記載例より
・自社が他社よりも優れている点
・自社の商品やサービスが他社よりも優れている強み
・顧客に評価されている点
この項目には、上記の内容を踏まえて盛り込んでいきます。
普段から力を入れて取り組んでいることなど、アピールすればいいでしょう。
上記の記載例のように「①、②…」といった感じで記載すれば、見やすく理解されやすくなります。
顧客へのアンケートなど実施した例があれば、その記載内容などを紹介することも根拠として示すことができます。
4.経営方針・目標と今後のプラン
※経済産業省「ミラサポPlus」カフェの記載例より
・今後どのような「経営方針」や「目標」を持っているか
・方針や目標を達成するためのプラン(時期・具体的行動)
ここでは、具体的な経営方針を示し、その目標を立てたうえで、どのように行動・アピールしていくのか記載していくことになります。
行動・アピールだけではなく、それらによってお客様にどのようなメリットがあるのか明確になると、より経営方針のよさを伝えることができます。
また、数値目標も盛り込むようにすれば、より具体性が高まります。
・「補助事業計画書」の具体的な書き方のコツ
1.補助事業で行う事業名
2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容
3.業務効率化(生産性向上)の取組内容
4.補助事業の効果
申請には経営計画だけではなく、「補助事業計画書」も必要になります。
「補助事業計画書」とは補助金の明確な使い道を示すためのものです。
具体的に項目ごとにどのような点に注意して記載していけばいいのか、そのコツをお伝えしていきましょう。
1.補助事業で行う事業名
※経済産業省「ミラサポPlus」カフェの記載例より
・30文字以内で記入する
・今回の補助事業にタイトルを付けるとすれば…
「30字以内」と指定がありますので、この文字数は必ず守らねばなりません。
30字となると、一目で事業内容が具体的にイメージできるものである必要があります。
経済産業省の事例では、「○○の開発・販路開拓」といったものが提示されています。
・○○の拡充
・○○の販売強化
・○○による集客増
・○○に向けた企画
・○○による稼働率の向上
・○○による新規顧客の獲得
などといったものが考えられます。
2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容
※経済産業省「ミラサポPlus」割烹料理店の記載例より
・販路開拓などをどのような方法で行うのか
・これまでの取り組みとの違い
・他社の取り組みとの違い
・創意工夫した点
・今回の取り組みの特徴
新しい取り組みについて、具体的なポイントを記載していきます。
「具体的」と示してある通り、今までの取り組みとは違ったものにしておく必要があります。
また、どのように他社と差別化を図っていくかについても、明確にしておかねばなりません。さらに工夫した点や特徴についても盛り込んでいきます。
具体的な内容に加えて、数値目標なども入れておけば、さらに具体性を高めることができます。
3. 業務効率化(生産性向上)の取組内容
※経済産業省「ミラサポPlus」宿泊業の記載例より
こちらは「任意記入」となっていますが、業務効率化(生産性向上)の取り組みがあれば積極的に記載していきます。
「業務効率化(生産性向上)」の取り組み事例としては、
・業務改善の専門家からの指導・助言
・管理システムのソフトウェアの導入
などといったものになっています。
特になければ、空欄で提出しても問題ありません。
4.補助事業の効果
※経済産業省「ミラサポPlus」海鮮居酒屋の記載例より
・本補助事業によって売上・取引にどのような効果があるか
・本補助事業の効果に結び付く理由
今回の補助事業で販路開拓や業務効率化の取り組みを行うことによって、どうやって生産性向上に結び付くのか、なぜそのような効果が得られるのか記載していきます。
経営計画の内容なども踏まえて、まとめ的に記載するといいでしょう。