補助金申請代行を利用するメリットは?選び方や注意点を解説

国や自治体が実施する補助金事業は、事業の課題解決や生産性向上などに役立てられます。しかし、その交付申請手続きは煩雑なものが多く、通常の業務と並行して行うことに苦労する事業者も少なくありません。

効率よく交付申請手続きを進めるためには、申請代行のサービスを活用することがおすすめです。本記事では、補助金申請代行のサービスを利用するメリットや業者の選び方、注意点について解説します。

【この記事の監修者】

ライズ法務事務所 行政書士 米山浩史
以前は霞が関(中央官庁)で国家公務員として補助金行政、許認可業務、政策の企画立案等に従事。また、各省庁から複数名ずつ派遣されて創設された省庁横断チームに参画して新しい支援制度の設立も担当した。業務で培った広い視野と制度知識をもとに、企業・事業者の補助金申請をサポートしている。

 

【行政書士 米山浩史氏からのコメント】
補助金は用意すべき書類が多いなどのことから、専門家を頼ることは検討したい手段のひとつです。しかし、料金やサポート体制は各社で異なります。本記事を参考に、自身が置かれている状況等にマッチしたパートナーを選びましょう。

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気になる補助金の申請代行とは?

補助金の申請代行とは、補助金事業の交付申請手続きについて専門家からサポートを受けるサービスのことです。

補助金の交付申請には、必要書類の作成や事業計画の策定などいくつものステップが定められています。交付申請の手続きが不慣れな場合は、必要書類の準備に苦労することも珍しくありません。

補助金の申請代行は、専門家によって手続のサポートを得られるため、効率よく手続きを勧めたい事業者や、初めて補助金の交付申請を行う事業者に多く利用されています。

補助金申請代行の価格相場

補助金申請代行のサービスを利用するときに気になるのが、価格相場についてです。ここからは、手数料のパターン別の相場について紹介していきましょう。

着手金

着手金とは依頼をした時点で発生する手数料で、相場は10万円~20万円ほどです。

着手金は交付申請の手続きを始める際に支払いますが、不採択となった場合の返金の有無は業者によって異なります。着手金の一部を返金するところもあれば、一切返金を行わないところもあるなど、料金体系はさまざまです。

成功報酬

成功報酬とは、補助金の交付申請が採択された場合に支払う手数料です。

採択された補助金の金額に応じて設定されており、10~20%で設定される傾向にあります。たとえば、300万円の補助金の交付を受けて成功報酬が10%であった場合、30万円の報酬を支払う仕組みです。

成功報酬型の料金体系では、不採択となった場合は手数料がかかりません。

固定報酬

固定報酬とは、補助金の金額に関わらずに一定の金額が手数料として定められている料金体系です。金額は業者によって異なりますが、おおむね20万~40万円ほどが相場となっています。

固定報酬では一律の手数料が適用されるため、大きな金額の補助金を受ける事業者にとっては手数料を抑えられるメリットがあります。

補助金の申請代行を利用するメリット

補助金の申請代行を利用することには、次の3つのメリットがあります。

  • 申請書類の作成を任せられる
  • 他の補助金も紹介してもらえる
  • 採択の可能性が高まる

それぞれくわしく解説していきましょう。

申請書類の作成を任せられる

申請代行サービスの大きなメリットは、申請書類の作成を任せられるという点です。

補助金の交付申請に必要な書類は複数の種類があり、その作成に苦労する事業者も少なくありません。忙しい日々の業務と並行するとなればなおさらでしょう。

申請代行サービスでは、書類作成の代行を依頼できるため、「事業に対する思いを文章にするのが難しい」、「書類を作成する時間がない」という事業者にも嬉しいサービスです。

【行政書士 米山浩史氏からのコメント】
特定の士業にしか作成が認められていない資料もありますので、依頼先の選定前に資料の詳細を確認しておくのがおすすめです。

他の補助金も紹介してもらえる

補助金事業にはさまざまな種類があり、事業内容によっては同時に交付申請が行えることもあります。

しかし、通常の業務をこなしながら、補助金の最新情報を常に把握するのは容易ではありません。利用できる補助金の情報を見落としてしまうこともあるでしょう。

その点、補助金の申請代行を引き受けている事業者は、補助金事業に関する情報を豊富に持ち合わせており、検討している補助金以外の情報についても教えてもらえるメリットがあります。効率よく情報収集を行いたい事業者は、申請代行の利用が便利です。

採択の可能性が高まる

補助金事業は事務局で審査が行われたのちに、交付の可否が決定されます。中には採択率が低い補助金もあり、申請したからといって必ず交付を受けられるわけではありません。

採択される可能性を高めるためには、ポイントを押さえた申請書や事業計画書の作成を行う必要があります。申請代行の事業者は、これまで多くの補助金事業でサポートを行ってきた実績があることから、交付申請に関するノウハウが蓄積されています。

もちろん「必ず採択される」というわけではないものの、交付申請に効果的なアドバイスがもらえるのは嬉しいメリットです。

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補助金の申請代行業者を選ぶ基準

補助金の申請代行業者には多くの種類があり、「どこへ依頼したらいいか分からない」と悩むことも少なくありません。申請代行業者を選ぶときは、次の5つの点を比較することが大切です。

  • 実績の有無
  • 国家資格者がいるかどうか
  • 料金体系の水準
  • 親身になって対応してくれるか
  • 補助金以外の知見もあるか

それぞれくわしく解説していきましょう。

実績の有無

申請代行の事業者を選定する際は、より採択の実績が多いところを選ぶと安心です。採択の実績が多い申請代行業者は、コンサルティング能力が高く、交付申請のノウハウを持ち合わせている証でもあります。

採択の実績は、公式サイトなどで公開されていますので、ぜひ確認してみましょう。もし公開されていない場合は、直接問い合わせてみることもおすすめです。

国家資格者がいるかどうか

補助金の交付申請には、事業計画の策定やその後の計画実施など専門家のサポートが必要となる場面がいくつもあります。

補助金の交付申請代行を行う業者には、国家資格者(中小企業診断士、行政書士、税理士、社会保険労務士)が在籍しているところもあれば、専門的な資格を保有している人がいないところもあるなどさまざまです。

より具体的かつ専門的なアドバイスを受けるためには、国家資格を保有する専門家が在籍している申請代行業者を選ぶ方がよいでしょう。

料金体系の水準

補助金の申請代行にかかる料金体系も業者によって異なります。

「なるべくコストを抑えたい」という意向があっても、ただ料金の安さだけで選ぶことはおすすめできません。料金の安い申請代行業者は、十分なサポートが受けられない場合があるためです。

より質の高いサポートを受けるためには、価格の水準とサービス内容のバランスを考慮しながら依頼先を選定するようにしましょう。

親身になって対応してくれるか

申請代行業者を選ぶ際は、対応力も重視したいポイントです。

たとえば、「打ち合わせの移動時間をかけたくない」という場合は、Zoomなどオンラインでの面談に対応している業者の利用が便利です。反対に、「対面形式で相談したい」という場合は、近隣の地域の業者を選ぶとよいでしょう。

中には、何度でもZoomや電話で相談に乗ってくれる業者もありますので、複数の業者の対応力を比較してみることがおすすめです。

補助金以外の知見もあるか

補助金の交付申請では、事業計画書の作成が重要なポイントとなります。事業計画書の作成にあたって具体的なアドバイスをもらうためには、業界に関する知見やコンサルティング能力を有していることが重要です。

申請代行の業者を選ぶ際は、補助金に関する知識の有無だけでなく、「自社のビジネスに理解があるか」「同じ業種の会社で申請代行を行ったことがあるか」「銀行に融資申請するのも協力してくれるか」といった点を確認するようにしましょう。

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補助金の申請代行を利用する際のポイント

補助金の申請代行を利用する際は、あらかじめ次のポイントについて留意しておきましょう。

  • 全部を丸投げすることはできない
  • 必ず採択されるわけではない
  • 対応範囲を事前に擦り合わせておく
  • まずは相談から行ってみる

それぞれくわしく解説していきます。

全部を丸投げすることはできない

申請代行業者に依頼しても、交付申請の手続きをすべて丸投げできるわけではありません。たとえば、交付申請には事業計画書の作成が必須ですが、作成にあたって「自社で補助金をどのように活用するのか」ということを社内で考える必要があります。

事業計画の策定にあたってサポートを受けられるものの、「全く何もしなくてよいわけではない」ということを理解しておきましょう

【行政書士 米山浩史氏からのコメント】
最近では、書類審査だけではなく申請者(社長など)に対するオンライン面接による審査が必要な補助金も登場してきています。

申請作業を丸投げせず、二人三脚で作り上げていくことを意識しましょう。

必ず採択されるわけではない

補助金の申請代行業者に依頼したからといって、必ず交付の採択を受けられるわけではありません。補助金の種類によっては採択率の低いものもあり、きちんと対策を練って交付申請を行っても採択を受けられないこともあります。

より採択の可能性を高めるためには、前述の通りこれまでの採択実績などを確認しておくとよいでしょう。

対応範囲を事前に擦り合わせておく

申請代行業者に依頼する際は、対応してもらえる範囲を事前に確認しておくことが大切です。実際にサポートが始まったあとに認識に相違があると、追加の料金がかかったり、トラブルに発展してしまったりすることもあるかもしれません。

「想定以上に依頼料がかさんでしまった」ということにならないためにも、サポート内容は事前にすり合わせておくようにしましょう。

まずは相談から行ってみる

補助金の申請代行サービスの利用を検討している事業者は、まず一度相談してみることがおすすめです。どのようなサポートが受けられるかは業者によって異なっており、料金体系もさまざまです。

まずは気になる業者をいくつかピックアップしてみて、疑問点や不明な点を直接相談してみるとよいでしょう。

まとめ

補助金の交付申請手続きは、書類の作成や事業計画の策定など多くの手続きを行う必要があります。中には、採択率が低い補助金もあり、交付を受けるためにはポイントを押さえた書類を作成することが大切です。

効率よく交付申請の手続きを進めるためには、申請代行のサービスを利用することがおすすめです。これまでの採択実績や料金体系などを比較しながら依頼先を選んでみましょう。

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