令和3年度補正予算として小規模事業者持続化補助金の公募がまもなくスタート
令和2年度においては「一般型」と共に「コロナ特別対応型」が創設され、コロナ特別対応型については計5回の公募が実施されました。
令和3年度については、「コロナ特別対応型」の公募は廃止され、『低感染リスク型ビジネス枠』として新たに公募がはじまります。
令和2年度の「コロナ特別対応型」では、第1回では80%を超える採択率になっていたものの、第4回では30%を切る結果となりました。
令和3年度の「低感染リスク型ビジネス枠」については、ポストコロナに対応するビジネスモデルの取り組みが必要となっています。
AIやIot、ロボット技術などによって革新的な製品・サービスの開発、生産プロセスの導入、サービス提供方法の改善などが求められています。
そのようなことから、採択されるためには具体的かつ綿密な経営計画が必要となります。
専門士業や地元の商工会や商工会議所に早くから相談をはじめ、計画の策定に取り組むことが大切です。
目次
○小規模事業者持続化補助金【令和2年度】の採択率はどうだった?
回数 | 申請数 | 採択数 | 採択率 |
一般型
(第1回締切分) |
8,044 | 7,308 | 90.9% |
コロナ特別対応型
(第1回締切分) |
6,744 | 5,503 | 81.6% |
コロナ特別対応型
(第2回締切分) |
24,380 | 19,833 | 81.3% |
一般型
(第2回締切分) |
19,154 | 12,478 | 65.1% |
コロナ特別対応型
(第3回締切分) |
37,302 | 12,664 | 33.9% |
一般型
(第3回締切分) |
13,642 | 7,040 | 51.6% |
コロナ特別対応型
(第4回締切分) |
52,529 | 15,421 | 29.4% |
令和2年度補正予算における小規模事業者持続化補助金の採択率については、令和3年度においても重要なカギを握るものになるでしょう。
というのも、採択率をまとめた上記表を見てもお分かりの通り、第1回の採択率から回数を重ねるごとに減少していることが理解できるからです。
令和2年度については、「一般型」と共に「コロナ特別対応型」が公募されました。
「一般型」よりも「コロナ特別対応型」に申請者が集中している様子が分かります。以下の表をご覧ください。
回数 | 申請数 | 採択数 |
一般型
(第1回~第3回) |
40,840 | 26,826 |
コロナ特別対応型
(第1回~第4回) |
120,955 | 53,421 |
公募の回数は違うものの、「コロナ特別対応型」については一般型の約3倍の申請があります。
しかも第5回については、現時点ではまだ公表されていませんが、恐らくは第4回程度の申請数が予想できますので、それであれば一般型の4倍以上もの申請数となります。
このような差があるのは、コロナに影響を受けた個人事業主や小規模事業者が多かったというだけではなく、補助金の上限額がコロナ特別対応型のほうが高いことが理由として考えられます。
「コロナ特別対応型」については、令和2年度の第5回公募で終了し、令和3年度補正予算については新しく「低感染リスク型ビジネス枠」が公募されています。
この「低感染リスク型ビジネス枠」についても、一般型よりも補助金の上限額が高く設定されているために、申請者は多くなることが予想されます。
関連記事:小規模事業者持続化補助金低感染症リスク型ビジネス枠についてはこちら
そのため、令和2年度と同じように、第1回の公募については高めの採択率になるかもしれませんが、回数を重ねて申請者が増えるにつれて採択率は下っていくことも予想できます。
補助金を活用したいと検討しているのであれば、早めに商工会や商工会議所に相談して、経営計画の策定を始めるようにしましょう。
○小規模事業者持続化補助金(第5回)の採択結果はいつ?
回数 | 申請数 | 採択数 | 採択率 |
コロナ特別対応型
(第5回締切分) |
? | ? | 2021年3月下旬
公表予定 |
「コロナ特別対応型」の第5回締切分については、2020年12月10日に締め切られました。
日本商工会議所が公表している公式サイトを確認すると、採択発表は2021年3月下旬ごろになるということです。
かなり申請者数が多くなっている様子でありますので、申請者数は第4回を超えるものになるのかもしれません。
となると、採択率は第4回を下回ることも予想されます。
第4回では30%を下回り、「29.4%」と低い数値になっていましたが、どのような数字が出るのか結果を待ちたいと思います。
○小規模事業者持続化補助金「低感染リスク型ビジネス枠」採択されるポイント
令和3年度の小規模事業者持続化補助金においては、「コロナ特別対応型」の公募は終了となり、新たに「低感染リスク型ビジネス枠」が創設されました。
採択されるには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。
・【令和3年度】「低感染リスク型ビジネス枠」とは
低感染リスク型ビジネス枠 | 一般型 | |
対象 | オンライン化の為のツール・システムの導入、ECサイト構築費などのポストコロナに対応するものに限る | 新商品を陳列するための棚の購入・新たな販促用チラシの作成、送付など販路開拓に対する取り組み |
補助率 | 補助対象経費の3/4以内
※感染防止対策費は補助対象経費のうち1/4(最大25万円)または1/2(最大50万円)を上限に支援。
|
補助対象経費の2/3以内 |
補助上限額 | 100万円
※ポストコロナ社会に対応したビジネスモデルへの転換に資する取組や感染防止対策費(消毒液購入費、換気設備導入費等) |
50万円
※ただし、「認定市区町村による特定創業支援等事業の支援」を受けた小規模事業者や2020年1月1日以降に開業届を提出した個人事業主などは100万円 |
令和3年度に新たに始まる『低感染リスク型ビジネス枠』は、ポストコロナ社会に対応できるビジネスモデルを構築するため、その対策費用の支援を行う補助金となっています。
対象者は個人事業者をはじめとして小規模事業者となっていますが、医師や系統出荷による収入のみである個人農業者・林業者、医療法人などは対象ではありません。
地域にある商工会や商工会議所の助言を受けながら経営計画を策定し、その計画に沿って取り組む事業の経費に対して補助が受けられる仕組みになっています。
補助率は3/4、補助上限額については100万円となっており、コロナ特別対応型と同様に一般型よりも高く設定されていることが分かります。
そのため注目度が高まることは間違いないでしょう。
・「低感染リスク型ビジネス枠」採択されるポイント
「低感染リスク型ビジネス枠」については、「ポストコロナ社会に対応したビジネスモデル」「感染防止対策費(消毒液購入費、換気設備導入費等)」という目的が掲げられています。
コロナ特別対応型での低い採択率を見る限り、今回においてもこの目的に沿っていない内容については採択されないことが予想できます。
「ポストコロナ社会に対応したビジネスモデル」について、次のような取り組みであると言われています。
- 対人接触を少なくできる製品やサービスの開発
- 対人接触を少なくできる製品やシステムを導入した生産プロセスやサービス提供方法
- ポストコロナ社会に対応するビジネスモデルへの抜本的な転換
具体的には、AIやIoTなどの技術を活用して製品を開発することや、ロボットシステムを導入した生産プロセスの改善、遠隔サービスの提供、などとなっています。
ただし、テレワークに必要となるパソコンの導入やキャッシュレス決済の導入、空調設備の設置などについては、ビジネスモデルの転換には当たりませんので、補助対象経費になりません。
採択されるためには、まず地域の商工会や商工会議所に相談し、助言を受けながら経営計画を立てることが大切です。
経営計画の具体性などが、採択に大きな影響を与えるものになるでしょう。
・「小規模事業者持続化補助金の低感染リスク型ビジネス枠」採択率はどれくらいになる?
「低感染リスク型ビジネス枠」については、ポストコロナに対応するビジネスモデルの取り組みに対して採択されるものです。
上記でお伝えした通り、パソコンの導入やキャッシュレス決済の導入などについては、汎用性のある設備になりますから、ビジネスモデルの転換として認められることはないでしょう。
より具体的なビジネスモデルの提案が必要となりますので、コロナ特別対応型よりも厳しい数字になることも予想できます。
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