完全オンライン化をめざす補助金申請、その全体像と将来

補助金申請オンライン化

補助金の申請は、2019年末から、本格的な電子化が行われるようになりました。
新たに導入された「Jグランツ」では、補助金の申請手続きから、採択後の実績報告、補助金の交付申請まで、一括してオンライン上で行えるようになりました。

また、2021年3月からは、Jグランツの改良版が本格的に運用開始されています。

この記事では、日本国内の補助金申請手続きのオンライン化をテーマに、その全体像と将来の方向性について解説しています。

オンライン申請でめざす方向性

2019年5月に制定された「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律(通称:デジタル手続法)」では、3つの基本原則が定められています。

1つめは「デジタルファースト」です。補助金申請から、採択後の交付申請、実績報告など、それぞれの手続きが一貫してデジタル化され、データをオンライン上で送受信できるように整備することです。

2つめは「ワンスオンリー」です。過去に一度でも提出したことがある情報を、重ねて二度提出しなくてもいいよう、経済産業省などが管理するサーバー上に自動的に保存されるよう整備し、利便性を高めます。

3つめが「コネクテッドワンストップ」です。民間サービスを含めて、複数の手続きを一括で実現させることをめざします。

さらに、一連の「働き方改革」の方向性にも沿っています。
今まで、補助金の申請から、最終的な交付に至るまで、たくさんの書類を作成・提出・保管し続けなければなりませんでした。経理担当者などが、その手間や負担のかかる手続きに追われて、残業が多くなったり、本業がおろそかになったりしていたのです。補助金手続きのデジタル化・オンライン化が、企業の従業員の手間を大幅に減らすことが期待されています。

最新の電子申請システム「Jグランツ」のメリット

初めてJグランツ(jGrants)の運用が開始されたのは、2019年12月23日でした。
外資系コンサルティング企業のアクセンチュアや、国内ソフトウェア企業の伊藤忠テクノソリューションズが開発を担当しています。さらに、経済産業省の官僚からもデジタル化推進マネージャーなどのIT人材が開発陣に加わっています。

このJグランツを使うことによって、補助金の申請が24時間365日、いつでも行えるようになりましたし、自宅や職場など、どこでも申請手続きを可能にしました。

補助金の申請者は、法人に関する基本情報の入力、そして押印を省略できるようになっています。

また、過去に補助金を申請したことがある場合、入力事項がすでにJグランツ上で登録・保存されているため、過去の入力情報と重複する部分は、やはり入力を省略できます。

さらに、申請コスト(時間や費用の負担)も減らすことができます。申請書を提出するために受付窓口の所在地を調べる必要がありませんし、そこへ向かうまでの時間や交通費も不要になります。申請書を郵送する場合も、郵送の手間や切手代を支払う必要もなくなりました。

補助金の申請状況・処理状況などは、つねにJグランツのシステム上で、リアルタイムに把握できます。よって、手続き進行の現状を電話などで問い合わせる必要がありません。

Jグランツで補助金申請できるおもな補助金

Jグランツによる申請手続きのデジタル化・オンライン化に対応している補助金は、最初、27種類で始まりましたが、現在ではさらに拡大されています。

その中でもJグランツで申請できる主要な補助金についてご紹介します。

小規模事業者持続化補助金
中小企業や個人事業主の販路開拓に関する活動を支援する補助金事業です。店舗の改装、広告掲載、ホームページ制作にかかった経費の一部を補助します。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

中小企業や個人事業主の、設備投資や新サービス開発などに関する事業活動を支援する補助金です。最高で数千万円単位の補助を受けられる可能性がある大型の補助金事業で、ソフトの開発や製作機器の導入などにかかった経費の一部を補助します。

サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)

中小企業や個人事業主が、指定されたITツールなどを導入したとき、その一部を補助します。導入にかかるコンサルティング費用などまで補助対象に含まれるのが特徴です。

事業承継補助金

会社を事業承継によって譲り受けた後継者や、M&Aなどの事業再編や統合によって他社の事業を引き受けた企業が、新たなチャレンジを行うために使った店舗などの家賃、人件費、広告費などの一部を補助します。

インバウンド需要拡大推進事業(地域消費拡大推進事業)

日本を訪れる外国人観光客のニーズに対応し、商品やサービスを日本語だけでない他言語表記にしたり、店舗データ分析を用いた経営の高度化を推進したりした、中小企業などの取り組みに対して、経費の一部を補助します。

中小企業等事業再構築推進補助金

2020年からのコロナ禍による売上低下を克服するため、新事業を展開するなどのチャレンジを行う中小企業や個人事業主に対し、経費の一部を補助します。

ほかにも、県や市などの地方自治体が独自に行っている補助金もありますし、今後、Jグランツに対応する補助金の種類がさらに増えていく予定です。
詳しくは、Jグランツのシステム上で検索して調べることができます。

Jグランツを使うために必要なID

Jグランツを使って補助金を申請するためには、まず「GビズIDプライム」のID・パスワードなどが必要となります。
GビズIDとは、1組のID・パスワードで、補助金申請だけでなく、社会保険申請なども含む、さまざまな法人向けの行政サービスにオンラインでアクセスできる機能です。

GビズIDの発行には、1週間ほどかかる可能性があり、時期によっては2週間~3週間かかる場合もあります。補助金の申請受付期間は1か月程度しかない場合もありますので、期限ギリギリにJグランツでの電子申請をしようと思っても間に合わない可能性があります。
初めてJグランツを使う場合は、余裕のあるスケジュールで申請を進めましょう。

バージョンアップしたJグランツ、何が変わった?

2021年3月から本格的に開始された「Jグランツ2.0」では、入力しやすい申請画面によって、ユーザーインターフェイスの使い勝手が改善され、多くの申請者にとって操作方法がわかりやすくなりました。

また、過去に入力したことがあるデータの再入力を不要にする「ワンスオンリー」機能も強化され、添付ファイルも含めて、一度送ったデータは再提出する必要がなくなっています。

かつてのJグランツでは、申請項目をすべて埋めなければ、入力データの一時保存ができず、入力途中でPCがフリーズするなどのトラブルが起きた場合、再起動後に入力を最初からやりなおさなければなりませんでした。そこで、Jグランツ2.0では、データが随時、一時保存されるようになり、入力途中のトラブルにも強くなっています。

加えて、コネクテッドワンストップの機能が、さらに強化されています。会計ソフトやメッセンジャーアプリなど、民間企業が開発したインターフェイスとも積極して連携しながら補助金を申請できるかたちを目指しています。

将来のJグランツ

2021(令和3)年度内には、政府内で整備されている他のシステムと、Jグランツとを接続するオンライン環境がさらに強化されていく見込みです。

さらに、2022(令和4)年度からは、バックオフィス業務や検査も含めて、100%の手続きをデジタル化・オンライン化させる方向で、さらに開発が進められていく予定です。補助金申請を含む公的手続きにおいて、書類を紙で保存する必要性を完全になくす「デジタル国家」の実現を目指すことが、政府の基本的なIT戦略です。