【2023年・令和5年度】業務改善助成金の申請期限はいつまで?

業務改善助成金には申請期限が定められており、交付申請は期限内に行う必要があります。交付申請には事業計画書の作成や書類の添付が必要となり、スムーズに申請手続きを行うためには計画的に取り組まなければなりません。

本記事では、2023年・令和5年度における業務改善助成金の申請期限や、手続きの流れについて解説していきます。

令和5年度業務改善助成金の期限はいつ?

令和5年度業務改善助成金はすでに募集が開始されていますが、交付申請には期限が設けられているため注意が必要です。助成金の活用を検討している事業者は、あらかじめ申請期限を確認したうえで計画的に手続きを行いましょう。

募集期間

令和5年度業務改善助成金の申請期限は2024年1月31日です。

交付申請はただ書類を提出するだけでなく、具体的な事業計画を策定したり、複数の書類を添付したりする必要があります。準備には相応の時間がかかるため、手続きは余裕を持って行いましょう。

また、交付申請が承認されると事業計画に基づいて事業を実施しますが、その完了期限は2024年2月28日となっています。事業計画を策定する際は、期限までに実施できるかどうか考慮するようにしましょう。

ただし、やむを得ない理由がある場合については、「理由書」を提出することによって事業完了期限が2024年3月31日までに延長されることもあります。

業務改善助成金の目的とは

画像引用:厚生労働省「業務改善助成金」

業務改善助成金は、「最低賃金の引上げに向けた環境整備を図ること」を目的に実施されている助成金事業です。対象となるのは「事業場内の最低賃金の引上げ」と「生産性向上のための設備導入」を行った事業者です。

対象事業者

業務改善助成金の対象事業者は、下記3つの条件を満たす必要があります。

  • 中小企業・小規模事業者であること
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
  • 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

なお、中小企業・小規模事業者には、下記のような定義が定められています。

業種 資本金または出資金 常時使用する労働者
小売業 小売店、飲食店など 5,000万円以下 50人以下
サービス業 物品賃貸業、宿泊業、医療、福祉、複合サービス事業など 5,000万円以下 100人以下
卸売業 卸売店など 1億円以下 100人以下
その他の業種 農業、林業、漁業、建設業、製造業、運輸業、金融業など 3億円以下 300人以下

引用:厚生労働省「業務改善助成金」

対象となる設備投資

業務改善助成金は、生産性向上のために行った設備投資の費用が対象です。具体例として、次のような費用が挙げられます。

  • POSレジシステム
  • 自動釣銭機
  • 運搬用冷凍車
  • 会計・仕入・販売システム
  • 顧客管理システム
  • 経営コンサルタント
  • 人材育成・教育訓練
  • 店舗改装

業務改善助成金では機器やシステムの導入だけでなく、経営コンサルタントや人材育成、店舗改装にかかった費用も対象となります。幅広い費用に充てられるため、ぜひ自社で活用できる設備投資がないか検討してみましょう。

業務改善助成金の助成金額

業務改善助成金では、最大600万円の助成金を受けることができます。ここからは、業務改善助成金の助成上限額や助成率を確認していきましょう。

助成上限額

業務改善助成金では、事業場内最低賃金の引き上げ額に応じて4つのコースが定められています。コースごとの助成上限額は下記の通りです。

コース区分 事業場内最低賃金の引き上げ額 引き上げる労働者数 助成上限額
右記以外の事業者 事業場規模30人未満の事業者
30円コース 30円以上 1人 30万円 60万円
2~3人 50万円 90万円
4~6人 70万円 100万円
7人以上 100万円 120万円
10人以上 120万円 130万円
45円コース 45円以上 1人 45万円 80万円
2~3人 70万円 110万円
4~6人 100万円 140万円
7人以上 150万円 160万円
10人以上 180万円 180万円
60円コース 60円以上 1人 60万円 110万円
2~3人 90万円 160万円
4~6人 150万円 190万円
7人以上 230万円 230万円
10人以上 300万円 300万円
90円コース 90円以上 1人 90万円 170万円
2~3人 150万円 240万円
4~6人 270万円 290万円
7人以上 450万円 450万円
10人以上 600万円 600万円

引用:厚生労働省「令和5年度業務改善助成金のご案内」

業務改善助成金では、最低賃金の引上げを行った対象の従業員数が多いほど、助成上限額も高くなる仕組みです。90円コースで10人以上の従業員に最低賃金の引き上げを行った場合は、最大600万円もの助成金を受けられます。

助成率

業務改善助成金の助成率は、交付申請を行う前の事業場内最低賃金によって異なります。最低賃金ごとの助成率は下記の通りです。

引き上げ前の事業場内最低賃金 助成率
900円未満 9/10
900円以上950円未満 4/5
950円以上 3/4

仮に、事業場内最低賃金が900円の事業者が500万円の設備投資を行った場合、最大400万円の助成金を受けることができます。

なお、生産性を向上させた事業者に対しては助成率の割増が行われ、それぞれ下記の通りの助成率が適用されます。

引き上げ前の事業場内最低賃金 助成率
900円未満 9/10
900円以上950円未満 9/10
950円以上 4/5

最大90%の助成を受けられますので、業務改善助成金の交付申請を行う際は、併せて生産性向上に取り組むことを検討してみましょう。

業務改善助成金の申請方法

業務改善助成金は、下記のステップに沿って交付申請手続きを行います。

  • STEP1.助成金交付申請書の提出
  • STEP2.助成金交付申請書の決定通知
  • STEP3.業務改善計画と賃金引き上げ計画の実施
  • STEP4.事業実績報告書の提出
  • STEP5.助成金の額の確定通知
  • STEP6.助成金の支払い

ひとつずつ流れを確認していきましょう。

STEP1.助成金交付申請書の提出

はじめに、「交付申請書」と「事業実施計画書」を作成して管轄の労働局へ提出します。厚生労働省のホームページでは、申請書類の簡易作成ツールが提供されていますので、ぜひ活用してみましょう。

STEP2.助成金交付申請書の決定通知

申請書類の提出後、労働局にて交付可否の審査が行われます。無事に審査に通過したら、「交付決定通知」が届きますが、交付申請から交付決定までは1ヶ月ほどかかる見込みです。

早期に行いたい設備投資などがある場合は、なるべく早く交付申請手続きを行いましょう。

STEP3.業務改善計画と賃金引き上げ計画の実施

交付決定通知が届いたら、事前に提出した計画に基づいて事業を実施します。もし計画に変更が生じる場合は、管轄の労働局あてにその旨を届け出なければなりません。

・事業計画を変更する場合 ⇨ 「事業計画変更申請書」の提出

・事業計画を中止する場合 ⇨ 「事業廃止承認申請書」の提出

・事業完了に遅れが見込まれる場合 ⇨ 「事業完了予定期日変更申請書」の提出

STEP4.事業実績報告書の提出

事業が完了したら「事業実績報告書」と「支給申請書」を提出します。事業実績報告書の提出期限は、「事業完了から1ヶ月を経過する日」もしくは「翌年度4月10日」のいずれか早い日です。

STEP5.助成金の額の確定通知

提出した事業実績報告書に基づいて、助成額の決定が行われます。助成額の決定は原則20日以内に行われ、その後「支給決定通知」が届けられます。

STEP6.助成金の支払い

支給決定通知の交付後、通知内容に基づいて助成金の振込が行われます。設備投資の支払いから助成金を受け取るまでに時間がかかることもあるため、設備投資額が大きい場合はその間の資金繰りにも留意が必要です。

まとめ

令和5年度業務改善助成金の申請期限は2024年1月31日です。申請手続きには事業計画の策定も必要となり、余裕を持って手続きを進める必要があります。

業務改善助成金は最大600万円の助成が受けられる制度ですので、ぜひ自社で活用できないか検討してみましょう。