事業再構築補助金の対象となる『設備費、システム構築費』とは?

事業再構築補助金システム

事業再構築補助金の対象となる『設備費、システム構築費』とは?

2020年から世界的に猛威を振るっている、新型コロナウイルス(covid-19)による感染拡大にともなって、国や自治体からの緊急事態宣言・外出自粛要請・営業時短要請などの影響を受けた企業経営者が、深刻な売上減に苦しめられています。

そこで、2020年度の第三次補正予算案で、1兆円を超える巨額の予算を組んで新たに始まるのが「中小企業等事業再構築推進補助金(事業再構築補助金)」です。

事業再構築補助金は、経済産業省によって早い段階から公開されていたパンフレットによると「ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための、企業の思い切った事業再構築を支援」するという目的があります。

この「思い切った事業再構築」とは何なのか、その定義もやや複雑になっているようなのです。

仮に思い切った事業再構築に該当する取り組みだとして、どのような使い道(補助対象経費)が対象で、どのような経費が対象から外れるのかも問題です。

事業再構築補助金で、すでに明らかになっている補助対象経費のジャンルは、次の通りです。

・建物費、建物改修費
設備費、システム購入費
・外注費(加工、設計等)
・研修費(教育訓練費等)
・技術導入費(知的財産権導入に係る経費)
・広告宣伝費
・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)

この記事では、設備費、システム購入費(構築費)について、より具体的に解説していきます。

そもそも事業再構築補助金は、設備投資を支援するもの

2021年1月下旬に、事業再構築補助金の予算が国会で成立したばかりで、初めて導入される補助金制度ですので、ずっと詳細が判明していませんでした。

しかし、3月に開始予定されていた公募を前に、補助対象となる新規の設備投資について、具体的な内容が徐々に明らかになっています。

2021年2月15日に、中小企業庁より公表された『事業再構築補助金の概要』の中には、「本補助金は基本的に設備投資を支援するものです」と、ハッキリ書かれています。

つまり、申請内容で「設備費」か「システム購入費(構築費)」を盛り込んでいなければ、事業再構築補助金の制度趣旨を理解していない申請として、却下されるおそれが高いと考えられます。

これ以外の外注費や宣伝広告費、建物改修費などは、あくまでも、新規事業に必要な設備投資を補足するものと捉えるべきで、申請のメインとして位置づけないほうが得策でしょう。

そもそも、事業再構築補助金では、付加価値額を年率3%以上増加させることが、補助のための必須要件になっています。事業の付加価値額を最も効率的に向上させる可能性が高い先行投資こそ、「設備費」「システム購入費」だといえるでしょう。

事業再構築補助金の設備費・システム構築費(購入費)は、ものづくり補助金における「機械装置・システム構築費」とほぼ一致する可能性が高いです。

なぜなら、ものづくり補助金での補助対象でも、「革新的サービス開発」「試作品開発」などにかかる設備投資が挙げられていて、企業の思い切った事業再構築の支援を目的とした事業再構築補助金の趣旨とも、重なり合う部分が多いと考えられるからです。

だとすれば、具体的には次のような内容になります。

事業再構築補助金の「設備費」

・専用の機械の購入費、あるいはレンタル費用
・専用の装置や工具、器具の購入費、あるいはレンタル費用
・新商品などの製作にかかる経費(光熱費・材料費など)
・新規事業のため、必要に応じて今まであった設備を撤去する費用

※あくまでも、事業に使用する専用の機械装置でなければなりません。たとえば、コンピュータ支援設計(CAD)専用のパソコンであれば「装置費」として補助対象になる可能性があります。工具や器具も、商品を設計・制作するために必要な測定や加工をする専用のものでなければなりません。

事業再構築補助金の「システム購入費(構築費)」

・専用ソフトウェアの購入、構築、レンタル(リース)の費用
・情報システムの購入、構築、レンタル(リース)の費用

※パソコン・スマートフォン・タブレット・ワープロソフト・表計算ソフトなど、事業以外のさまざまな目的に使える汎用性が高いハードウェア・ソフトウェアの導入費は、補助対象外です。

※ものづくり補助金で対象となる「クラウドサービス利用費」が、事業再構築補助金の「システム購入費」にも含まれるのかどうかは、まだ不明です。続報が待たれます。

事業再構築補助金 具体的なシステム構築費の例

以上は一般論ですが、具体的にどのようなシステムを構築・購入したケースで、事業再構築補助金の対象となる可能性が高いか、考察します。

店舗販売に加えてECサイト(ネット通販サイト)を導入

外出自粛要請や時短営業要請の影響で、店舗売り上げが著しく下がった企業の中には、ECサイトで活路を開こうとするケースも多いです。

店舗営業ですと、近隣の顧客か、出張や観光で訪れた人しか相手にできないのが、ECサイトによって、日本中、あるいは世界中に商圏を切り拓くことができるからです。

しかも、人々が外出を自粛している時期でも、変わらずに売上をあげることができる強みもあります。

ECサイトの構築は、事業以外の目的やプライベートで流用されるおそれが小さく、もっぱら業態転換の目的に使われるのが明らかですから、補助の対象となる可能性が高いです。

ECサイトで新たな顧客層を発掘しようとすると、既存客からの紹介などで集客するのは望みが薄いです。Web広告をうまく使って、興味のありそうな見込み客にピンポイントでアピールし、サイトへのアクセス数を効率よく増やせれば、成功の芽が出てきます。

このWeb広告にかかる費用や、広告動画の外注制作費用なども、事業再構築補助金の対象となります。

飲食店が、料理のネット宅配サービスを導入

レストランや居酒屋などの飲食店が、客足が遠のいていることの苦境から脱するため、ウーバーイーツや出前館などの、ネット宅配サービスを始める例があります。

確かに、人々が外出を自粛し、自宅にこもっている状況下では、ただ待っていても客数は増えないため、料理のネット宅配によって「中食」の需要に応えるのが効果的といえます。

ただ、導入のためにはウーバーイーツや出前館などのプラットフォーム事業者が用意した宅配注文アプリなどのシステムを借りることが多いはずです。この場合は「システム構築」や「システム購入」には該当しないと考えられます。
宅配注文受付システムの利用手数料は、「クラウドサービス利用費」に該当するのかもしれませんが、もし設備投資とは異なるという扱いになれば、同じように補助対象外と考えられます。

一方、自社オリジナルの宅配注文受付システムを開発・構築した場合は、補助対象になりえます。

シェフが、オンラインクッキング教室を開設

プロの料理人がオンラインで料理教室を開けば、かなりの需要があるはずです。
ただし、一般的に販売されているパソコンやWebカメラを使い、ZOOMなどの汎用オンライン会議アプリを使っているのみでは、新規事業の専用のシステムを構築したとはいえず、原則として事業再構築補助金の対象外になると考えられます。

一方で、料理動画のリアルタイム配信を安定的に行うため、専用の高速回線を契約した場合は、例外的に補助対象になる余地もあります。通常、レストラン等の業務でインターネットの高速通信は不要であり、それがオンライン料理教室専用の設備投資と見なされやすいからです。