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○持続化補助金「コロナ特別対応型」令和3年は『低感染リスク型ビジネス枠』へ
2021年3月現在、2020年から続く新型コロナウイルス感染症の影響によって、多くの企業が大打撃を受けています。
しかし、そのような中でも感染症対策に取り組んで状況を打開しようという動きがあります。
「小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)」は、そのような取り組みに対する補助金制度として誕生しましたが、令和3年においては『低感染リスク型ビジネス枠』としてコロナ対応の特別枠がはじまる予定になっています。
現時点でまだ公募予定は決定していませんが、近日中には発表されるのではないかと言われています。
令和2年での「コロナ特別対応型」は、第1回でこそ採択率が81.6%ありましたが、第4回では30%を割っている状況がありました。
関連記事:小規模事業者持続化補助金の採択について解説しています。
そのため、今回も同様の経過が予想できるため、検討している個人事業主や小規模事業者においては、早めに計画の策定に取り掛かっておくことをおすすめします。
・「コロナ特別対応型」と『低感染リスク型ビジネス枠』の違いは?
コロナ特別対応型 | 低感染リスク型ビジネス枠 | |
対象 | A類型
※サプライチェーンの毀損への対応 B類型 ※非対面型ビジネスモデルへの転換 C類型 ※テレワーク環境の整備 |
オンライン化の為のツール・システムの導入、ECサイト構築費など
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補助率 | 補助対象経費の2/3~3/4以内 | 補助対象経費の3/4以内
※感染防止対策費は補助対象経費のうち1/4(最大25万円)または1/2(最大50万円)を上限に支援。
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補助上限額 | 100万円(特例事業者は150万円)
※特例事業者とはバーやカラオケボックス、ライブハウスなど、指定するガイドラインに該当する事業者を指す。 |
100万円
※ポストコロナ社会に対応したビジネスモデルへの転換に資する取組や感染防止対策費(消毒液購入費、換気設備導入費等) |
「コロナ特別対応型」においては、新型コロナウイルス感染症が蔓延するなかで、その対策に取り組んでいる個人事業主や小規模事業者に対して、一定の補助率・補助上限額に応じて支援を行う制度でした。
これに対して『低感染リスク型ビジネス枠』においては、ウィズコロナ・ポストコロナの社会の中で対応できるビジネスモデルに転換するための対策費用を支援しようというものです。
個人事業者をはじめとして小規模事業者が、地域の商工会議所や商工会の助言などを受けながら経営計画を立て、その計画に沿ってウィズコロナ・ポストコロナに対応する販路開拓などに取り組んでいきます。
その経費に対して3/4の範囲で補助しようとする制度です。
また、緊急事態宣言によって令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が、対前年または前々年の同月比で30%以上減少している場合、消毒用アルコールの購入などの感染防止対策費を1/4(最大25万円)から1/2(最大50万円)に引き上げされます。
補助上限額は最大100万円と、一般型よりも金額が大きいために、今回の補助金においても注目度が高くなることは間違いないでしょう。
関連記事:2021年小規模事業者持続化補助金の解説
・『低感染リスク型ビジネス枠』と「一般型」との違い
小規模事業者持続化補助金には「一般型」があり、『低感染リスク型ビジネス枠』と共に令和3年においても公募される予定になっています。
共にそもそもの制度の趣旨は同じものであり、あくまで地道な販路開拓などに取り組む費用の一部を補助しようとするものです。
ただし、そのネーミングの通り、
- 低感染リスク型ビジネス枠:ウィズコロナ・ポストコロナに対応するものに限定
- 一般型:「低感染リスク型ビジネス枠」以外の販路開拓に対する取り組み
と言えます。
そのため、低感染リスク型ビジネス枠においてはコロナ対策のための「オンライン化の為のツール・システムの導入」「ECサイト構築費」などの補助であると公表されています。
一般型においては、「棚の購入」「販促用チラシの作成」「ネット販売システムの構築」など、販路開拓に対する取り組み内容についてはさまざまなものが考えられます。
低感染リスク型ビジネス枠については、ウィズコロナ・ポストコロナに対応する特別枠になりますので、補助金も一般型よりも多くなっており、
- 低感染リスク型ビジネス枠:補助対象経費の3/4以内(上限100万円)
- 一般枠:補助対象経費の2/3以内(上限50万円)
となっているのです。
・持続化補助金の低感染リスク型ビジネス枠で採択率を高める取り組みは?
- オンライン化の為のツール・システムの導入
- ECサイト構築費
冒頭からもお伝えしている通り、「低感染リスク型ビジネス枠」については、コロナの影響を受けた個人事業主や小規模事業者が、ウィズコロナ・ポストコロナに対応し販路開拓などのために上記の取り組みを行う必要があります。
つまり、上記の条件に該当していなければ、そもそも採択されることはありません。
そのため。これが具体的にどのような取り組みなのか、しっかりと把握しておく必要があります。
具体的に例を挙げるとすれば、
・店舗販売だけではなく、インターネット通販に力を入れるための投資
・クラウド型やオンプレスミス型のWEB会議システムの構築
・「SaaS」や「PaaS」、「IaaS」を活用したクラウドサービスの構築
・店舗営業において完全予約制に切り替えるためのシステムを導入
・飲食店のフロアに間仕切を設置するなどレイアウト変更
など、このような取り組みが想定できるでしょう。
補助対象の経費としては、設備や機械装置だけではなく、広報や展示会への出展、旅費などにかかる費用はもちろんのこと、専門家に支払う謝金や旅費なども可能です。
ただし、オンライン化やECサイト構築に必要だからといって、パソコンやモニター、タブレットなどに関しては、ほかの業務でも使用できるものですから経費対象とはなりません。
もちろん、自社の社員やアルバイトへの給料も認められることはありません。
○持続化補助金コロナ特別対応型の採択率は?第4回は?第5回はどうなる?
回数 | 申請数 | 採択数 | 採択率 |
コロナ特別対応型
(第1回締切分) |
6,744 | 5,503 | 81.6% |
コロナ特別対応型
(第2回締切分) |
24,380 | 19,833 | 81.3% |
コロナ特別対応型
(第3回締切分) |
37,302 | 12,664 | 33.9% |
コロナ特別対応型
(第4回締切分) |
52,529 | 15,421 | 29.4% |
コロナ特別対応型
(第5回締切分) |
? | ? | 2021年3月下旬
公表予定 |
「令和2年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>」については、第5回締切分で最終受付となりました。
新型コロナウイルス感染症は私たちが考える以上に経済に対して悪影響を与えていますので、その対策として活用できる「コロナ特別対応型」はどんどん申請者数が増えています。
第1回の公募は2020年5月15日に終了し、この時点では申請者数は6,744人。ただ、同年10月2日終了分である第4回については52,529人と、約8倍にまで増えている現状です。
採択された割合については、第1回で81.6%、第2回で81.3%と高い割合となっていましたが、第3回では33.9%、第4回で29.4%とかなり厳しい数字となっています。
現在、2020年12月10日の時点で第5回の公募が締め切られており、2021年3月下旬には公表予定となっています。
申請者数や採択数は発表されてはいませんが、社会の混乱は続いている状況、むしろ社会経済はかなり悪化していることが分かりますので、恐らく申請者は増えているように考えられます。
採択率の流れから見ても厳しいことが感じ取れますので、恐らくは第4回程度の採択率になるのではないかと考えられます。
○『低感染リスク型ビジネス枠』の採択率はどうなる?
上記でもお伝えした通り、「令和2年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>」については、回数を重ねるごとに厳しい採択率になっていることが分かります。
恐らく、『低感染リスク型ビジネス枠』においても同様に、採択率は回数ごとに少しずつ下っていくのではないかと予想されます。
そのため、コロナ対応のために対策を検討している個人事業主や小規模事業者であれば、早めの対応がいいのではないかと考えます。
2021年3月初旬現在において、まだ公募のスケジュールは発表されていませんが、「コロナ特別対応型」の利用を検討していた方は、近隣の補助金申請の専門家士業(行政書士・税理士)や商工会や商工会議所に相談のうえ、経営計画の策定に取り掛かりましょう。