ものづくり補助金の採択事例まとめ|当社担当ケースや人気業種の活用例をご紹介

ものづくり補助金は、中小企業や個人事業主の「革新的な製品・サービス開発」「海外需要開拓」などを支援する汎用性の高い補助金です。しかし、ポイントとなる「革新性」と「生産性向上」について理解しきれず、申請をためらっている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、飲食業や製造業、建設業、農業といった幅広い分野の採択事例を紹介しながら、採択に共通する要素を解説します。具体的な取り組みを知り、自社の申請に活かせるヒントをぜひ探してみてください。

ものづくり補助金の採択事例|当社の採択実績をご紹介

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業(小規模事業者・個人事業主含む)が取り組む「革新的なサービスや試作品の開発、または生産プロセスの改善、海外需要開拓事業」を支援する補助金です。

主に申請される「製品・サービス高付加価値化枠」の審査において問われるのは「革新的であるか」「プロセスの改善はなされるのか」であるといえますが、どんな計画であっても生産性の向上に帰結させることが重要です。革新的な開発や製品・手作業工程の自動化を示しても「どれくらい生産性が上がるのか」が具体的に記されていない場合、採択される可能性は低くなります。

革新的かつ生産性が上がる計画というと「世界初・国内初・業界初などの希少性の高い製品やサービス提供が必要なのではないか」あるいは「ある程度の規模(人材・開発技術・売上等)を誇る中小企業が対象なのではないか」といったイメージを持たれるかもしれません。

しかし、ものづくり補助金は「一人親方」や、「普通の飲食店を営む事業者様」なども多く採択されており、事業規模に関係なく革新性や生産性向上の達成は案外身近にあるということを裏付けています。ここではその実例として、当社が手がけた採択実績4件をご紹介します。

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採択事例その1|飲食業を営む株式会社Aの事例

コロナ禍で外食産業が打撃を受けるなか、換気システムに注力する焼肉店はいち早く回復の兆しを見せました。

しかし、もともと高価格帯である和牛市場は伸び悩み、全国の畜産農家は厳しい状況に。そこで和牛専門の焼き肉店を営むAさんは、店舗内業務の簡略化と独自製法を取り入れた新たなメニューの開発に着手しました。

業務の簡略化によって生まれた余剰時間を総菜製造の仕込み時間に割り当て、生産性向上を図るとともに、困窮する和牛農家の回復支援に寄与しました。

【飲食業を営むAさんの採択事例】

・既存事業:焼肉店

・従業員数:3人

・事業分野:新たな提供方式の導入

・革新性:独自製法を活用し、旨みと鮮度、生産性向上と低価格を両立させた和牛総菜を開発

・生産性:最先端の冷蔵設備と自動会計システム導入により、高効率化、省人化を図る

・交付決定額:720万円

・結果:店舗の生産性は2.4倍に向上、取引先の業績回復にもつながった。

採択事例その2|畳製造業を営む株式会社Bの事例

高いクオリティを誇るBさんの畳は、その一方で手作業工程の多さによる生産性の低さがネックとなっていました。

住宅着工数の増加、さらにい草のCO2削減効果や抗菌作用が注目されていることによる畳の需要の高まりを察知したBさんは、返縫機等を導入し、ボトルネックとなっている工程を効率化。その分高度な技術が必要な工程に力を入れることで、高い生産性と高品質な畳づくりを両立させました。

【畳製造業を営むBさんの採択事例】

・既存事業:畳の製造、販売、メンテナンス

・従業員数:1人

・事業分野:新たな生産方式の導入

・革新性:畳の耐久性低下を防ぐ独自技術を活かした高品質な畳の製造

・生産性:返縫機等を導入しボトルネックとなっている手作業工程を効率化

・交付決定額:750万円

・結果:工場の生産性は2倍に向上した。

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採択事例その3|精密部品製造業を営む株式会社Cの事例

5G通信方式の普及やリモートワークの増加に伴う家電の買い替え需要に伴い、取引先から部品の増産を切望されたCさん。「精密部品=低生産で長納期」という負の方程式を覆すため、専用機器の導入により各工程のばらつき(ロス)の解消に成功。品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)全てにおいて優位性の高い精密部品加工製品を実現させました。

【精密部品製造業を営むCさんの採択事例】

・既存事業:工作機械部品製造

・従業員数:7人

・事業分野:新たな生産方式の導入

・革新性:独自の「加工プログラム」によって、顧客要望を上回る精度の高品質加工製品の生産性向上、短納期化を実現

・生産性:マシニングセンタ、画像測定機等を導入し、リードタイムの短縮と省人化を実現

・交付決定額:1,000万円

・結果:工場の生産性は2.25倍に向上した。

採択事例その4|レンタル業を営む株式会社Dの事例

超高齢化社会の到来により、10年前と比較して要介護認定者数も倍近くまで増加している昨今。

公的機関(BtoB)や個人客(BtoC)からは福祉用具の短納期化を切望されていますが、サスティナブルな取組が推奨される近年では、企業としての社会的責任を果たす義務もあるため、在庫数を増やすことは難しいのが現状でした。

福祉用具のレンタル・メンテナンス業を営むDさんは、この問題を解決するため新たな洗浄設備を導入。レンタル用具の回転率を向上させることで、現在庫数を維持しつつ短納期化を実現させました。

【レンタル業を営むDさんの採択事例】

・既存事業:福祉用具の貸与、メンテナンス

・従業員数:23人

・事業分野:新たな提供方式の導入

・革新性:メンテナンスおよび洗浄工程を自社で実施できる技術を生かし、ベッド等の大型品の貸与サイクル短納期化を実現

・生産性:用具の内部など手作業で行っていた洗浄箇所を新規設備導入により効率化・省人化。貸与までの所要時間を1/3に短縮

・交付決定額:1,250万円

・結果:レンタル間の洗浄作業を大幅に短縮。事業所の生産性は3倍に向上した。

ものづくり補助金の採択事例|公式資料から注目すべきケースを業種別にご紹介

ものづくり補助金を運営する事務局は、過去の採択事例をまとめた「成果事例集」を公開しています。ここからは、成果事例集に掲載されているケースのなかから、建設業や農業など申請数の多い業種の採択事例をピックアップしてご紹介します。

ケース1|山梨県で建設業を営む株式会社Eの事例

近年、日本では高度経済成長期に建設されたインフラの老朽化が問題となってきています。そうしたインフラ点検や整備を主に受注する株式会社Eは、点検用の足場組み作業の危険性と所要時間というふたつの問題を解消するため、高性能ドローンと撮影したデータを管理するクラウドシステムを導入しました。

高倍率ズームと高画質な画像を両立できる高性能ドローンで収集されたデータは、クラウドシステムにより自動でデジタルマップに記録され、事務所・現場間のデータ連携が格段に効率化。結果、現場の省力化(納期の短縮)と高品質な修繕を両立させることで生産性を大幅に向上させました。さらに、自治体との協定に基づく住民の避難場所整備も実施し、地域防災にも貢献しています。

【総合建設業を営む株式会社Eの採択事例】

・既存事業:建築・土木・舗装工事などを行う総合特定建設

・従業員数:30人

・事業分野:新たな生産方式の導入

・革新性:ドローンによる点検を活用したインフラ整備技術

・生産性:新型高性能ドローンとクラウドシステムの導入による省力化

・交付決定額:1億円

・結果:省力化と品質向上の両立に成功。生産性向上だけでなく、地域防災にも貢献している。

ケース2|奈良県で農業を営む株式会社Fの事例

イチゴは出荷時期が限られた作物で、季節による収量の差が激しい点が課題とされています。大手業者によるハウス栽培により供給体制の安定化は少しずつ進んでいますが、中小規模の農家では跡継ぎ問題も相まって安定した経営が難しい状況が続いています。

この問題を解決するため、イチゴ農園を営む株式会社Fはものづくり補助金を活用してイチゴ冷凍用の大型機器を導入。甘さを保ちつつ冷凍できる最新機器で、こだわりの土耕栽培で作られたイチゴを一年中楽しんでもらえる体制を整えました。

さらに、遠方の顧客にも新鮮なイチゴを楽しんでもらえるよう、直営の実店舗に加えてECサイトの運営もスタート。販路拡大にも積極的に取り組んでいます。

【イチゴ農園を営む株式会社Fの採択事例】

・既存事業:イチゴの生産・販売業

・従業員数:不明

・事業分野:新たな提供方式の導入

・革新性:苗への負担を抑えた土壌・環境づくりに拘ったイチゴ栽培

・生産性:最新の冷凍機器を導入し、一年を通してイチゴを供給できる体制を整備。生産性向上を目指す

・交付決定額:不明

・結果:ワンストップで無添加の冷凍イチゴを提供できる体制を確立し、生産性・業績が向上した。

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採択事例の共通点から見出す「ものづくり補助金のポイント」

本記事で紹介した採択事例には、以下のような共通点があります。

【採択事例の共通点】

・時事の社会動向によって生まれた「新鮮なニーズ」「社会的な需要」に応える取組みである

・独自技術・サービスを保有している

・生産性向上後の数値は各者バラバラであるが、何倍であっても現状より上である

・本事業にて「Ⓐ独自技術+Ⓑ新規設備=Ⓒ生産性向上」を成立させることで『Ⓓ革新的な取組み』を達成している

※ものづくり補助金のポイント方程式:(Ⓐ+Ⓑ=Ⓒ)=Ⓓ

お伝えしたように、ものづくり補助金のポイントは「革新性と生産性向上」であり、事例でもこの2つを柱として、さらにマクロ・ミクロニーズといった背景に応える計画となっています。

2つの柱を立てるためには、まず「Ⓐ独自技術とⒷ新規設備のコラボレーションによってⒸ生産性が向上する」旨を示し、この3要素が合わさることでⒹ革新的な取組みとすることが効果的ですが、新規設備だけが独り歩きしている計画書が非常に多く見受けられます(※上記青枠内の方程式でいうとⒶが抜けている状態)。

ものづくり補助金に限らず、ほとんどの補助金でNGとされているのは「設備依存の事業計画」です。既存設備が老朽化したので最新の設備に変える、新しい設備なら生産量を増やせる、といった内容では採択を勝ち取ることはできません。設備があれば誰にでも実現できてしまう計画では革新的とは言えないからです。

このように、ものづくり補助金の肝である革新性と生産性向上の獲得には、「独自技術と新規設備の融合」、それらのシナジー効果によって生まれる「革新的な取組」が不可欠であり、これらの方程式は誰もが成しえる身近なものといえるのです。

まとめ

ものづくり補助金の申請を検討されている方からよく受ける質問が「革新性がないと申請できないのか?」「生産性(付加価値額)はどのくらいになればよいのか?」というものです。

しかし、上述の採択事例でもわかるように、採択されている事業計画は〝世紀の大発明〟のような内容ではありません。また、実施後の生産性向上率もバラバラです。相談に乗るなかで、申請希望者の革新性や生産性向上に対するイメージが必要以上に高度化(現実と剥離)していることを感じます。

筆者の経験上、特に製造業の事業者様は自社の強み (革新性の元となる高度な技術等)に気づいていない方が多いように感じます。「特別な技術は持っていない」と言いながら、よくよくお話を伺ってみると唯一無二の技術を保有していたというケースは数えきれません。

おそらくこうした事業者様は、日々の業務のなかでその技術を当たり前のように活用されていたために自社技術を客観視できず、結果「革新性はない」という判断に至ったのだと推測しています。

同じ製品を製造する企業は多々ありますが、たとえば段取り替えやバリ取り等の工程一つをとっても、その方法は千差万別であり、小さな工程のなかに貴重な技術(革新性の元)が隠れていることを忘れないでください。

自社の隠れた強みを見つけることに留まらず、今後のビジネスモデルをどのように設計するのか、何を伸ばし、何を強化すればよいのかを診断するためにも、専門家の視点は非常に有用です。

「補助金の窓口」には申請サポート経験の豊富な有資格者が複数在籍しており、補助金に関する豊富な知識、ノウハウをもって、より良い補助金の活用方法をご提案させて頂いております。どうぞお気軽にご相談ください。

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