ものづくり補助金とは?2025年の申請方法や対象事業、金額などを解説

ものづくり補助金の概要

ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者を対象とした補助金で、「生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発」を目的とした設備投資等を国が補助金で支援する制度です。補助金額は特例を利用すれば最大4,000万円、補助率は1/2・2/3のどちらかとなっており、大規模・高額な設備への投資にも活用できます。

しかし、ものづくり補助金には事業内容に応じた複数の「枠」および「類型」が用意されているほか、申請時には事業計画書をはじめとした様々な書類を用意・提出する必要があります。また、申請した事業者全員が利用できるわけではなく、審査を受け採択されなければなりません。

そこでこの記事では行政書士監修のもと、ものづくり補助金の概要をわかりやすく解説。申請方法や対象事業者の条件などの基本的な情報から、採択基準や加点要素などの実践的なノウハウまでご紹介します。ものづくり補助金に興味がある方は、ぜひ最後までお読みください。

【この記事の監修者】

ライズ法務事務所 行政書士 米山浩史
以前は霞が関(中央官庁)で国家公務員として補助金行政、許認可業務、政策の企画立案等に従事。また、各省庁から複数名ずつ派遣されて創設された省庁横断チームに参画して新しい支援制度の設立も担当した。業務で培った広い視野と制度知識をもとに、企業・事業者の補助金申請をサポートしている。

 

【行政書士 米山浩史氏からのコメント】
ものづくり補助金は、事業を拡大させて今より飛躍させる際に役立つ支援ツールの1つとなっている制度です。しかも補助金は融資と違い、返済の必要がないことが大きな魅力です。

その一方で、誰もが必ず採択される(受給出来る)訳ではありません。制度の理解を深めながらの申請を心がけましょう。

※本記事は、執筆時点の情報をまとめたものです。最新情報と異なる可能性があるため、各種補助金制度の詳しい情報については公式サイトも併せてご確認ください。

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本記事でわかること
・ものづくり補助金とはどんな制度なのか
・申請対象となる事業や補助金額の目安
・申請スケジュール
・申請時の流れや申請に必要な書類
・申請時の相談先

ものづくり補助金とは「中小企業や小規模事業者の革新的投資」を支援する制度

ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者、個人事業主が今後直面する制度変更に対応するための施策、例えば「生産性向上を目的とした革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化」などを支援する補助金です。

2013年に「ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金」としてスタートしたこの制度は、名称や制度内容を更新しつつ、毎年定期的に公募が実施され、現在第18次公募まで実施されています。

かつての補助金は、工場や研究機関を持つ大企業の試作品や、大学における研究開発を中心に大規模に受給されていました。

しかし、ものづくり補助金の目的は、製造業や大学機関の試作品の開発支援のみにとどまりません。なぜなら、ものづくり補助金が、日本の企業体の99%以上を占める中小企業を広く対象にすることで、景気刺激策にも繋がると捉えられるようになったからです。

なお、申請時には「事業計画書」をはじめとした複数の書類を用意し、審査を受け採択される必要があります。書類作成の手間を軽減したい方、採択率を上げたい方は、行政書士をはじめとした専門家への相談もご検討ください。

2025年・令和7年度のものづくり補助金の基本要件・補助金額

2025年度(令和6年度補正予算)の第19次ものづくり補助金の概要は下記の通りです。

【申請枠】
1.製品・サービス高付加価値化枠
2.グローバル枠

 

【補助金額および補助率】
1.製品・サービス高付加価値化枠
補助金額:750万円~2,500万円(※1)
補助率:中小企業は1/2(※2)、小規模事業者・再生事業者は2/3

 

2.グローバル枠
補助金額:3,000万円(※1)
補助率:中小企業は1/2(※2)、小規模事業者は2/3
※1:「大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例」の活用で最大1,000万円の補助上限金額の引き上げあり
※2:「最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例」の活用で補助率2/3への引き上げあり

 

【最新公募(第19次)のスケジュール】
電子申請受付:2025年4月11日(金)17:00~
申請締切:2025年4月25日(金)17:00
採択結果の公表:2025年7月下旬(予定)

2025年度のものづくり補助金では、企業規模に応じた投資ニーズに対応するために補助金額に係る従業員区分が見直され、補助上限金額が一部拡充されました。

また、申請枠にも変化が見られます。「省力化(オーダーメイド枠)」が廃止されるとともに、「製品・サービス高付加価値化枠」の2類型が統合されました。

中小企業の設備投資を支援する中小企業省力化投資補助金に、オーダーメイド形式の機器も補助対象となる「一般型」が新設されることを受け、ものづくり補助金の「省力化(オーダーメイド枠)」が廃止されたと考えられます。

なお、上記で紹介した内容はあくまで要点に留まります。申請対象者の条件については、記事後半の解説や本サイトの別記事を併せてご確認ください。

2025年のものづくり補助金に設けられている2つの枠

上記で紹介した公募要領の通り、ものづくり補助金には申請要件別に2つの「枠」が設けられています。それぞれの概要をまとめましたので、申請先の検討にご活用ください。

1.製品・サービス高付加価値化枠

「製品・サービス高付加価値化枠」は、2024年度・第16次締切分の「通常枠」「デジタル枠」の内容と共通点の多い申請枠です。

「革新的な製品・サービス開発の取り組み」に必要な設備やシステム投資などを支援します。

取り組みについては、単に新たなサービスを導入するだけでなく、顧客に新たな価値を提供するために自社の技術力などを活かした製品・サービス開発である必要があります。

【活用イメージ】
国際基準に準拠した部品の開発を目的とした最新複合加工機を導入、精密加工を実現。より付加価値の高い新製品を開発した。

また、業種によっては同業中小企業(または同一地域の同業他社)に普及している製品やサービスの開発は補助対象外となる可能性があります。詳細は申請をサポートする専門家にご確認ください。

なお、申請にあたっては下記の「基本要件」を満たす事業計画を策定し、自身が設定した目標値をすべての従業員または従業員代表者、役員に表明する必要があります。

【製品・サービス高付加価値化枠の要件(基本要件)】
革新的な製品・サービス開発を行う中小企業・小規模事業者等が、
①付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加(付加価値額の増加要件)
②「1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上」または「給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加」(賃金の増加要件)
③事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準(事業所内最低賃金水準要件)
④(従業員21名以上の場合のみ)次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員の仕事・子育て両立要件)
以上4点の基本要件を全て満たす3~5年の事業計画に取り組むこと。
※「最低賃金引上げ特例」適用事業者の場合、基本要件は①、②、④のみとなります。

要件を昨年までの基本要件と比較すると、賃上げ状況をふまえ給与支給総額に関する項目に変更が加えられています(昨年までは「給与支給総額が年平均成長率1.5%増加」)。また、新たに「一般事業主行動計画の公表」が要件に追加されています。

【一般事業主行動計画とは】
次世代育成支援対策推進法に基づき、
①従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備
②子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備
などに取り組むにあたり「計画期間」「目標」「目標達成のための対策およびその実施時期」を定めたものです。

策定・届出・公表・周知などは従業員数101名以上の企業には義務付けられているものですが、ものづくり補助金の申請時には従業員21名以上の企業が対象となります。

2.グローバル枠

「グローバル枠」は、海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投資などを支援します。最大3,000万円と大きな補助金額が特徴で、2024年度第16次公募までおこなわれていた「グローバル市場開拓枠」の内容と共通点が多い申請枠です。

【活用イメージ】
海外市場獲得のため、新たな製造機械を導入し新製品の開発を行うとともに、新製品アピールのため海外展示会への出展を行った。

グローバル枠では補助対象となる「海外事業」として下記の通り4つの条件が定義されています。

【グローバル枠の補助対象】
①海外への直接投資に関する事業
②海外市場開拓(輸出)に関する事業
③インバウンド対応に関する事業
④海外企業との共同で行う事業

なお、グローバル枠に申請する場合は下記の追加要件を満たす必要があります。

【グローバル枠の追加要件(グローバル要件)】
①海外事業に関する実現可能性調査を実施していること
→実現性調査とは、市場調査や現地規制調査、取引先の信用調査など、海外事業の実現可能性を判断するための調査のことです。
②社内に海外事業の専門人材がいる、または海外事業に関する外部専門家と連携すること

また、下記いずれかの要件に該当する事業であること

 

A.海外への直接投資に関する事業
→日本国内のほかに海外にも補助事業の実施場所を有していること
→国内に所在する本社が申請事業者であり、補助対象経費の2分の1以上が海外支店の補助対象経費である。または海外子会社(発行済株式の総数の半数以上又は出資価格の総額の2分の1以上を補助事業者が所有している、国外に所在する会社)の事業活動に対する外注費(※1)若しくは貸与する機械装置・システム構築費(※2)に充てられること
→国内事業所においても、海外事業と一体的な機械装置等(税抜単価50万円以上)を取得、または設備投資すること
→応募申請時、海外子会社などの事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料を提出すること
→実績報告時に、海外子会社等との委託(貸与)契約書とその事業完了報告書を追加提出すること
※1:ものづくり補助金の補助対象経費の範囲に限ります。一般管理費は含みません。また、費用は事業実施に不可欠な開発・試作にかかる業務等を想定しています。
※2:ものづくり補助金の補助対象経費の範囲に限ります。

 

B.海外市場開拓(輸出)に関する事業
→国内に補助事業実施場所を設け、製品などの最終販売先の2分の1以上が海外顧客であるとともに、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること
→応募申請時、事前のマーケティング調査に基づいた「想定顧客が具体的に分かる海外市場調査報告書」を提出すること
→実績報告時に、想定顧客による試作品等の性能評価報告書を提出すること

 

C.インバウンド対応に関する事業
→国内に所在する本社が申請事業者であり、製品・サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人であるとともに、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること
→応募申請時に「想定顧客が具体的に分かるインバウンド市場調査報告書」を提出すること
→実績報告時に、プロトタイプの仮説検証(※3)の報告書を提出すること
※3:開発に立てた機械装置・システムについて、計画の初期段階で立てた計画通りの機能や操作性が実現できたか、想定していた効果が得られたかを評価した報告書です。

 

D.海外企業と共同で行う事業
→国内に補助事業実施場所を設け、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等があるとともに、その成果物の権利の全部又は一部が申請事業者に帰属すること(※4)
→応募申請時、共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)を提出すること
→実績報告時に、当該契約の進捗が分かる実績報告書を提出すること
※4:外国法人の経費は補助対象外です。

グローバル枠は、補助対象となる海外事業の定義ごとに追加要件が異なる点に注意しましょう。上記内容を把握しつつ、専門家と申請準備をすすめることをおすすめします。

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2025年・令和7年度ものづくり補助金の対象経費

2025年度のものづくり補助金では、下記11種類の経費が対象経費となっています。

【ものづくり補助金の対象経費】
①機械装置・システム構築費(必須)
②技術導入費
③専門家経費
④運搬費
⑤クラウドサービス利用費
⑥原材料費
⑦外注費
⑧知的財産権等関連経費
<以下「グローバル枠:海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ対象>
⑨海外旅費
⑩通訳・翻訳費
⑪広告宣伝・販売促進費

機械装置・システム構築費が「必須」と記しましたが、ものづくり補助金は設備投資の実施が必須となっている補助金です。必ず単価50万円(税抜)以上の機械装置等を取得する必要があります。

2025年・令和7年度ものづくり補助金の注目ポイント

2025年度のものづくり補助金では、3つの大きな動きがありましたここからは、新たに追加された特例や撤廃された納付制度など、申請にあたり抑えておきたいポイントを解説します。

1.大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例

第14次公募から設けられていた「大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例」ですが、申請枠の改変に伴い内容が一新されました。

この特例では、大幅な賃上げに取り組む事業者は、条件を満たせば補助上限額が100~1,000万円上乗せされます。

なお、「大幅な賃上げ」は目標数値が具体的に指定されています。下記のいずれか一方でも未達の場合は補助金の返還義務が発生しますので注意しましょう。

【大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例適用要件(概要)】
①給与支給総額の年平均成長率を+6.0%以上増加させる
②事業所内最低賃金を事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準にする

特例の利用には「給与支給総額」や「事業場内最低賃金」といった項目をふまえた大幅な賃上げの達成に向けた事業計画書の提出が必要です。事業計画書を作成する際には、具体的にどのような手段で賃上げを目指すのかを盛り込むようにしましょう。

また、申請者自身が設定した目標値は全ての従業員または従業員代表者、役員へ表明する必要があります。表明されていない場合は交付決定取り消しや補助金返還が求められるため、必ず交付申請時までに表明するようにしましょう。

2.最低賃金引上げ特例

2025年度より新たに追加された「最低賃金引上げ特例」は、最低賃金の引き上げにも取り組む中小企業などを支援する特例です。特例の申請には、最低賃金引上げ特例に係る状況の確認資料の提出が必要となります。

【最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例適用要件】
2023年10月から2024年9月までの間で、3ヶ月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上いること

上記に該当する事業者は補助率が2/3に引き上げられます2024年度第17、18公募で設けられていた新型コロナ回復加速化特例と異なり、両申請枠での活用が可能です。ただし、小規模事業者・再生事業者は対象外となります。

なお、先述した「大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例」との併用はできません。補助率や補助上限額の引き上げを検討する際にはご注意ください。

3.収益納付の撤廃

今年度のものづくり補助金より「収益納付」が撤廃されました。

これまでは、補助事業の終了後に利益(収益から経費等を差し引いた金額)が出た場合、一部の利益は「収益納付」の対象となり、国へ返納する義務がありました。

しかし、今年度は対象を問わず全ての利益が収益納付の対象外となりましたものづくり補助金を活用した事業の成果をより企業の成長につなげられます。

2025年・令和7年度のものづくり補助金のスケジュール

2025年度・第19次公募のスケジュールは下記の通りです。

【2025年・第19次公募のスケジュール】
公募開始(公募要領の告示):2025年2月14日
電子申請受付:2025年4月11日(金)17:00~
申請締切:2025年4月25日(金)17:00
採択結果の公表:2025年7月下旬(予定)

電子申請の受付開始から申請締切までは2週間と短めの期間となっていますので、申請受付開始前から事業計画の策定や書類の準備を進めておきましょう。

なお、第20次公募のスケジュールは発表されていませんが、2025年夏以降の実施が予想されます。次回の公募が発表され次第、こちらの記事でも改めてスケジュールをお知らせする予定です。

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ものづくり補助金の申請方法

ものづくり補助金は、申請プロセスが完全に電子化されています。準備段階を含め、申請~採択までの流れをまとめたものが下記となります。

【ものづくり補助金申請の流れ】
1.公募要領の確認
→補助金の詳細、対象となる事業や経費、申請期間などを確認
2.GビズIDプライムアカウントの取得
→申請に必要となるアカウントの取得を行う
3.必要書類の準備
→必要な書類を確認し、電子ファイルとして準備する
4.電子申請システムへのログイン
→GビズIDプライムアカウントを使用し、電子申請システムへログインする
5.申請内容の入力
→応募者概要、事業内容、経費・資金調達内訳などを入力する
6.必要書類の添付
→用意した必要書類を電子申請システムへアップロードする
7.システム上での申請内容の自動チェック・送信
→申請内容の形式不備・エラーが無いことが確認でき次第、申請内容を送信する
8.審査の実施・採択通知
→申請の締め切りから約2か月後を目途に採択の通知が行われます

なお、ものづくり補助金は申請手続きだけでなく、採択通知以後の補助事業の中間検査や実績報告、補助金の支払いを含めたすべての手続きが100%電子化されています。専門家への相談も行いやすくなりますので、事前にインターネット・パソコン・プリンター環境の整備を進めておきましょう。

申請前に準備が必要となる「GビズIDプライムアカウント」

先ほど紹介した申請の流れで登場した「GビズIDプライムアカウント」は、ものづくり補助金の電子申請システムを利用する際に事前に取得が必要なデジタルアカウントです。

この「GビズID」は、企業から国への申請に関する行政サービスを一つのアカウントで利用できる認証システムとなっており、ものづくり補助金の申請時だけでなく、他の補助金制度でも利用可能です。

申請はGビズIDのWebサイトより行います。申請時には下記のものが必要となりますので、あらかじめ用意したうえでサイトへアクセスしましょう。

・メールアドレス(アカウントID)
・操作端末(パソコン)
・プリンター
・印鑑証明書と登録申請書
・スマートフォンまたは携帯電話

なお、GビズIDプライムアカウントの取得には2週間ほどの審査が実施されるため、早めの取得を心がけましょう。

なお、法人代表者・個人事業主の方はオンラインでIDの即時発行が可能です。詳しい方法は下記記事をご確認ください。

GビズIDプライムはオンライン手続きが可能!申請方法や2段階認証の手順を解説

申請に必要な書類

 

申請時には事業計画書をはじめとした必要情報を電子申請システムで入力する、または電子ファイルにて作成し提出する必要があります。提出書類は申請する枠組みや事業形態によって異なりますが、共通して提出が必要となる書類は以下の通りです。

【電子申請システムで入力する項目】
・基本情報
→事業者情報、常時使用する従業員数、補助金等の交付実績、事業の内容、経費明細、資金調達計画、加点申請項目等
・事業計画書
→補足の図や画像はPDF形式で提出します
・補助経費に関する誓約書
・賃金引上げ計画の誓約書

【提出書類】
・決算書等(直近2年間分)
→設立1年以上2年未満の企業は、1期分の書類を提出します
→設立間もない企業は、事業計画書および収支予算書を提出します
→個人事業主の場合は確定申告書等を提出します
・従業員数の確認資料
→法人の場合は法人事業概況説明書の写しを提出します
→個人事業主の場合は所得税青色申告決算書または所得税白色申告収支内訳書の写しを提出します

ものづくり補助金で採択されるために抑えるべきポイント

ものづくり補助金を利用するには、申請時に実施される審査を通過し、採択される必要があります。2024年度におこなわれた第18次公募は5,777件の応募に対して採択件数は2,070件となっており、審査通過率は35.8%に留まっています。

申請するからには審査は確実に通過したいものですが、審査内容は非公開であるうえ、企業規模や事業計画書は申請者ごとに異なるため、残念ながら「必ず採択される方法」は存在しません。

しかし、申請において「抑えるべきポイント」は存在します。ここからは、公募要項や過去の採択実績から見て取れる、採択率を上げるためのポイントをご紹介します。

事業計画書に必ず盛り込むべき内容

必須提出書類のひとつである事業計画書には、「付加価値額アップ」「給与支給総額アップ」「地域内最低賃金に上乗せする待遇」を将来的にクリアする旨を盛り込むことが重要です。

申請する企業の付加価値額は一般に、営業利益+人件費+減価償却費として算出します。これら3項目の増加予想値を、平均で3%以上になるよう算出根拠を添えて説明しましょう。

給与支給総額は、年率平均2.0%以上にすることを、事業計画書に盛り込みます。人件費のうちの給与相当額を全従業員で足し合わせて、将来にわたって年ごとに2.0%以上になっていく予想を客観的に根拠立てなければなりません。

参考に、2024年度・第18次ものづくり補助金採択者の付加価値額の年平均成長率中央値は「9.1%」、給与支給総額の年平均成長率中央値は「4.0%」となっています。

最低賃金は、都道府県ごとに定められている水準に30円以上上乗せした金額を盛り込みます。例えば、2025年2月現在で東京都の最低賃金は時給1,163円ですので、東京都の事業者の場合は全従業員を最低でも時給1,193円以上の待遇にしておく必要があります。

【行政書士 米山浩史氏からのコメント】
『計画の実現性』も審査項目となっていますので、例えば付加価値額を無計画に何十%も増加させる計画とするとかえって審査点が得られない可能性があります。

根拠のある計画を作成するようにしましょう。

口頭審査への対応

2024年度の第17次公募より、補助申請額が一定規模以上の申請を行う事業者には、オンラインによる口頭審査が実施されています。

【口頭審査の概要】
審査方法:オンライン形式(Zoomなど)
審査人数:1名(申請事業者自身が対応)
所要時間:15分程度(開始5分前に入室)
必要書類:顔写真付き身分証明書(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
※:実施日時は事務局が指定します。

口頭審査では、事業の適格性・革新性・優位性・実現可能性などを中心に質疑が行われます。専門家のサポートを受けつつ申請を行う場合、これまで以上に事業内容を深く理解する必要があるでしょう。

なお、オンライン通話形式での審査となりますが、ヘッドセットやイヤフォンは使用不可となっています。口頭審査の対象となった際は、Webカメラだけでなくマイク・スピーカーも準備しておきましょう。

審査項目の把握

ものづくり補助金では、下記の6項目に沿って審査がおこなわれます。

【ものづくり補助金の審査項目】
①補助事業の適格性
②経営力
③事業性
④実現可能性
⑤政策面
⑥大幅な賃上げに取り組むための事業計画の妥当性(※)
※:大幅賃上げ特例適用申請者のみ

たとえば事業性の項目では、課題や目標を明確に示せているか、市場規模や動向を分析できているかなどがチェックされます。

各項目に共通して言えるのは、「具体性・実現可能性・投資効果」が事業計画に備わっているかということです。資金繰りや優位性のアピールだけでなく、申請事業が顧客に与える価値とそれに伴う費用対効果を示せるよう、リサーチを重ねながら事業計画を策定しましょう。

加点項目・減点項目の把握

ものづくり補助金では、応募要項にて「加点項目」が紹介されています。加点項目を満たす事業者は、採択に有利となる方向で審査が進みます。いっぽう、採択に不利となる方向で進む「減点項目」も存在します。

2025年度・第19次公募での加点項目および加点を希望する際に必要となる追加提出書類、手続きは下記の通りです。

①経営革新計画(※1)
→経営革新計画承認書の写しを提出

②パートナーシップ構築宣言
→パートナーシップ構築宣言ポータルサイトにて宣言を公表する

③再生事業者
→再生事業者に係る確認書を提出

④DX認定(※1)
→「DX認定」を取得する

⑤健康経営優良法人認定
→「健康経営優良法人2025」に認定された事業者

⑥技術情報管理認証(※1)
→「技術情報管理認証」を取得する

⑦J-Startup、J-Startup地域版
→「J-Startup」「J-Startup地域版」に認定される

⑧新規輸出1万者支援プログラム(グローバル枠のみ)
→「新規輸出1万者支援プログラムポータルサイト」への登録を完了させる

⑨-1事業継続力強化計画/連携事業継続力強化計画(※1)
→事業継続力強化計画を提出(申請システムに入力)

⑩賃上げ
→大幅な賃上げ特例に係る計画書を提出

⑪被用者保険
→特定適用事業所該当通知書を提出

⑫えるぼし認定
→「えるぼし認定」を取得する

⑬くるみん認定
→「くるみん認定」を取得する

⑭-1事業承継/M&A(※2)
→株式譲渡契約書、移動した資産と負債の一覧表などを提出

⑮成長加速マッチングサービス(※1)
→中小企業庁の「成長加速マッチングサービス」の会員に登録し、挑戦課題を登録する

上記のうち、最大6項目について加点申請が可能です。

なお、過去3年以内に、ものづくり補助金の交付決定(採択)を受けたことがある方、過去の申請で採択されながら基本要件・加点項目要件を達成できなかった事業者は減点の対象になります。なお、過去3年以内に2回以上の交付決定を受けた事業者は、申請対象外となります。

上記の通り、より積極的に採択を目指すのであれば、申請前に加点項目を把握し、採択に有利となる書類の作成・提出がおすすめです。

※1:申請締切日時点で有効な場合のみ加点対象となります。
※2:申請締切日を起点に、過去3年以内の事業承継・M&Aが対象。

記事のまとめ:ものづくり補助金は専門家と協力しながらの申請がおすすめ

ものづくり補助金は、約10年の歴史を経て、中小企業経営者の意見や時代の変化を反映しながら、都度進化しています。

令和7年の公募では、2つの枠組みから申請が可能ですので、御社の実情に合った補助金のタイプを見極めて申請してみてください。

なお、申請枠や活用する特例によって、補助額の上限・補助率や提出書類が異なります。申請準備をお一人で進める場合、より専門的な知識と作業時間が必要となるでしょう。

そこで、大胆かつ魅力的な事業計画書を制作して、私達と一緒に御社の未来をものづくり補助金で切り拓いてみませんか。近ごろでは、売り上げが不振な時期でも補助金を駆使し、経営を安定させている経営者も増えています。

「補助金の窓口」では、みなさんからのご相談をお待ちしております。

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