【2024年】IT導入補助金の申請方法を解説!申請に必要な書類とは?

中小企業のITツール導入を支援する「IT導入補助金」。業務効率化や生産性向上に役立つ補助金ですが、交付申請にはいくつかのステップを踏まなければなりません。本記事では、2024年IT導入補助金の申請方法について解説していきます。

【この記事の監修者】

ライズ法務事務所 行政書士 米山浩史
以前は霞が関(中央官庁)で国家公務員として補助金行政、許認可業務、政策の企画立案等に従事。また、各省庁から複数名ずつ派遣されて創設された省庁横断チームに参画して新しい支援制度の設立も担当した。業務で培った広い視野と制度知識をもとに、企業・事業者の補助金申請をサポートしている。

 

【行政書士 米山浩史氏からのコメント】
IT導入補助金は、他の補助金では「汎用品」として補助の対象外になることが多い、PCやタブレット端末といったハードウェアも補助対象に出来る制度です。
その一方で、申請者単独では申請できず、IT導入支援事業者と二人三脚で申請作業を行う必要があるなど専用のルールが存在します。

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IT導入補助金とは

IT導入補助金とは、中小企業や個人事業主がITツールを導入する際に受けられる補助金です。IT導入補助金には、「通常枠」「セキュリティ対策推進枠」「インボイス枠」などいくつかの枠があり、ソフトウェア購入費やクラウド利用料、ハードウェア購入費などが補助の対象となっています。

IT導入補助金は2017年からスタートした制度で、2024年もすでに募集が開始されています。

公募スケジュールについて

IT導入補助金では、各枠に申し込みのスケジュールが設けられており、締め切り時間を過ぎると一切応募手続きを行うことができません。交付申請を行う際は、スケジュールを確認したうえで余裕を持って手続きを進めましょう。

各枠の公募スケジュールについては、下記の記事で詳しく紹介していますので、併せて参考にしてみてください。

【2024年】IT導入補助金スケジュール一覧の記事はこちら

IT導入補助金申請までの流れ

IT導入補助金の交付申請では、次のステップに沿って手続きを進めます。

(1) ITツールとIT導入支援事業者の選定

(2) gBizIDプライムアカウントの取得

(3) SECURITY ACTIONの宣言

(4) みらデジの経営チェック

(5)「申請マイページ」の開設・交付申請書の提出

(6)ITツールの発注・契約・支払い

(7)事業実績報告

(8)補助金交付手続きと事業実施効果報告

それぞれくわしく流れを確認していきましょう。

(1) ITツールとIT導入支援事業者の選定

IT導入補助金では、補助の対象となるITツールが選定されています。まずは、自分の事業にどのITツールを導入したいか検討しましょう。

また、IT導入補助金は、「IT導入支援事業者」と協力しながらITツールの導入を進めていくことが特徴です。IT導入支援事業者は二人三脚で交付申請を進めていくパートナーとなりますので、信頼できる事業者を選びましょう。

なお、対象のITツールやIT導入支援事業者は、IT導入補助金の公式サイトで検索することができます。

IT導入補助金「IT導入支援事業者・ITツール検索」

(2) gBizIDプライムアカウントの取得

次に、IT導入補助金の交付申請に必要となる「gBizIDプライムアカウント」のID・パスワード発行手続きを行います。gBizとは、1つのID・パスワードでさまざまな行政サービスにログインできるサービスです。

アカウント登録の申し込みから発行まで約2週間かかるため、なるべく早めに申し込み手続きを行うようにしましょう。

「gBizIDプライムアカウント」の登録はこちらから

(3) SECURITY ACTIONの宣言

IT導入補助金の交付申請では、「SECURITY ACTION」の一つ星もしくは二つ星の宣言が必要となります。SECURITY ACTIONとは、情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。

段階 概要
一つ星 「情報セキュリティ5か条」に取り組むことを宣言
二つ星 「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」で自社の状況を把握したうえで、「情報セキュリティ基本方針」を定め、外部に公開したことを宣言

宣言後に発行される「自己宣言ID」は補助金交付申請の手続き時に入力しますので、必ず保管しておいてください。

【行政書士 米山浩史氏からのコメント】
「★★二つ星」を宣言するとセキュリティ対策推進枠において加点対象となります。言い換えると、セキュリティ対策推進枠に申請しないのであれば「★一つ星」で十分です。

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(4)みらデジの経営チェック

次に、みらデジの経営チェックを行います。みらデジの経営チェックとは、自社の経営課題に気付くためのチェックツールで、同業他社と比較した経営課題の状況やデジタル化の進捗などが確認できるものです。

みらデジの経営チェックにはgBizIDが必要となりますので、発行が完了したあとはすみやかに経営チェックを行いましょう。

なお、経営チェック完了後はみらデジ事業者マイページにて、gBizID連携が完了していることを必ず確認してください。

(5)「申請マイページ」の開設・交付申請書の提出

IT導入補助金の交付申請は、すべてオンライン上で行います。まずは、IT導入支援事業者より申請手続きを行う「申請マイページ」への招待を受けてください。

申請マイページへの招待メールが届いたら、記載されているURLから申請マイページの開設を行います。その後gBizIDにてログインし、交付申請書の作成を開始しましょう。

交付申請書の作成は3段階に分かれており、詳細は下記の通りです。

段階 入力内容
1.交付申請者の入力 ・基本情報・財務情報・経営情報の入力
・計画数値の入力(セキュリティ対策推進枠のみ)
・必要書類の添付(※)
・申請類型の選択
2.IT導入支援事業者の入力 ・申請者が入力した情報の確認
・IT導入支援事業者担当者情報・計画数値(通常枠のみ)
・導入するITツール情報の入力
3.交付申請者の入力 ・申請要件・内容の確認
・賃金情報の入力

(※必要書類の内容については、記事内でくわしく後述しております)

その後、事務局側にて採否を決定する審査が行われます。

(6)ITツールの発注・契約・支払い

IT導入補助金の交付が決定したら、ITツールの発注・契約・支払いへと進みます。交付決定の前にITツールの発注を行った場合は補助金の対象外となってしまうため、必ず交付決定の連絡後に発注手続きを行うようにしましょう。

また、次のようなツールを購入した場合も補助金の対象外となります。

・対外的に無料で提供されているもの

・リース・レンタル契約のITツール

・中古品

・交付決定を受けたITツールと異なるITツール

なお、ITツールの支払いは「銀行振込」もしくは「クレジットカード1回払い」が対象となります。その他分割払いなどを利用した場合は補助金の対象外となるため注意しましょう。

(7)事業実績報告

ITツールの導入後、事業実績の報告を行います。事業実績の報告では、次のような書類の提出が必要となります。

・請求書(請求明細書)

・支払証憑

・ソフトウェアの利用確認

・補助金受取口座情報

・ハードウェアの納品書

・ハードウェアの写真

・ECサイト制作の画面キャプチャ

・契約書または利用申込書

支払証憑とは、ITツール代金を支払ったことを証明するためのものです。支払証憑として利用できるのは、次のような書類です。

・ATMの利用明細 + 通帳の表紙 + 通帳の取引ページ

・振込依頼書 + 通帳の表紙 + 通帳の取引ページ

・インターネットバンキングの振込完了がわかる書類

・インターネットバンキングの取引状況照会ページ

・クレジットカードの利用明細

必要書類を提出できない場合は補助金が受けられませんので、事業実施に関わる書類はすべて保管しておきましょう。

(8)補助金交付手続きと事業実施効果報告

事業実績報告の完了後、補助金の交付金額が決定されます。「申請マイページ」で補助金額を確認後、受取口座に補助金が振り込まれる流れです。

また、IT導入補助金では「ITツールを導入して事業にどのような効果があったか」という「事業実施効果報告」を行わなければなりません。

入力内容は申請枠によっても異なりますが、当初の計画に達する達成度合いや労働生産性の変化などを入力します。続いて、IT支援事業者側でも実勢効果報告を入力し、申請者が確認したら報告完了です。

事業実施効果報告には期限が定められていますので、必ず期限内に入力するようにしましょう。

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申請に必要な書類について

IT導入補助金の交付申請はすべてオンライン上で行い、必要書類も申請マイページ上で提出します。ここでは、申請に必要な提出書類を確認しておきましょう。

法人の場合

申請者が法人の場合は、次のような書類が必要となります。

必要書類 要件
履歴事項全部証明書 ・登録申請日より3ヶ月以内に発行されているもの
・登記情報提供サービスや現在事項証明書は利用不可
法人税の納税証明書(その1またはその2) ・直近分
・税務署にて発行されたもの
・電子納税証明書の場合はPDF形式のもの

申請マイページでは「法人番号」や「本店住所」、「設立年月日」、「資本金」などの情報を入力しますが、これらの情報は履歴事項全部証明書に記載されている内容と同一になるように正確に入力してください。

また、納税証明書として利用できるのは「法人税」のみです。消費税などは納税証明書として認められませんので注意しましょう。

【行政書士 米山浩史氏からのコメント】
一期の決算を迎えた上での提出が必要となる点に注意が必要です。

個人事業主の場合

個人事業主が交付申請を行う場合は、次の書類の提出が必要となります。

必要書類 要件
本人確認書類 ・運転免許証
・住民票(発行から3ヶ月以内のもの)
・運転経歴証明書
所得税の納税証明書(その1またはその2) ・直近分
・税務署にて発行されたもの
・電子納税証明書の場合はPDF形式のもの
確定申告書 ・令和5年分のもの
・税務署にて受領されていることが確認できるもの

運転免許証や運転経歴証明書は、スキャンすると文字が不鮮明となることがあるため注意が必要です。必ず全ての項目が鮮明に映るように読み取りを行いましょう。

なお、個人事業主の場合は「旧姓で事業を行っており、本人確認書類と確定申告書の名前が異なる」というケースもあるかもしれません。その場合は旧姓と現在の姓の変化が分かる書類の提出が必要です。

また、納税証明書として認められるのは「所得税」のみです。消費税などは納税証明書として認められませんので注意しましょう。

まとめ

IT導入補助金の交付申請にはいくつものステップが設けられており、少々複雑となっています。しかし、交付申請書の作成はIT支援事業者と協力しながら進めていきますので、補助金申請に不慣れな事業者でもしっかりとサポートしてもらえます。ぜひ、事業の業務効率化や生産性向上にITツールの導入を検討してみましょう。

また、申請の手続き方法がなかなか理解できない方には、IT導入補助金の申請をサポートする行政書士や中小企業診断士への相談がおすすめです。補助金の窓口では、無料のLINE電話相談にも対応しています。最適な補助金選び、申請書類作成から受給までをトータルサポートいたしますので、ぜひ一度お気軽にお問合せくださいませ。

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